第1層 直感 — 動かして、何が起きているかをつかむ
電源と負荷 — 電圧を上げると、何が変わるか
電圧を上げると、電流が増え、導線の中の電場も強くなり、電子の動く速さが増えます(第2層の検算パネルで数値を確認できます)。 電球やヒーターは、一定の抵抗として扱っています(実際の電球は、温度で抵抗が変わります)。 負荷の抵抗が、線の特性インピーダンス Z₀ に等しいとき、①で反射が起きません。
スイッチを切ると、何が起きる? — 電磁場も、電子も、すぐには止まらない
上の「スイッチ」ボタンは、入れる(ON)/切る(OFF)のトグルです。切っても、線の場は、リセットされず、そのまま続きます。「最初から」で、初期状態に戻ります。
- 電子は、電流が 0 になった所で、止まります(偏りがなくなり、乱雑な運動だけになる)。電流が止まる時刻は、場所によって違い、先端が通り過ぎたあとです。電子が、場に引っぱられて動いていたことの、もう一つの確かめです。
- エネルギーは保存されます。切ったあとの、線に蓄えられたエネルギー + 負荷で使われたエネルギー = 切った時点のエネルギーです(検算済み)。
- 切った時刻にも、入れたときと同じく、電場が、絶縁体で決まる速さ(光の速さ以下)で伝わります。電源から離れた所の電子は、電源が切られたことを、先端が来るまで、知りません。
電圧が変わると、何が変わる? — 変わるもの、変わらないもの
電源の電圧 V を、いまの値と、2倍にしたときで比べます(負荷の抵抗 R、導線は、そのまま)。数値は、いまの設定で、計算しています。
数値の表(いまの電圧と、2 倍にしたときの比較)
- 電圧を上げ過ぎると、絶縁が破れます。導線のあいだの電場が、空気の限界(約 3 MV/m = 3 kV/mm。目安)を超えると、火花(絶縁破壊)が起きます。被覆(絶縁体)は、人やほかの導体と触れて電気が流れてしまう(短絡・感電)のを防ぎ、線どうしの間隔を保つ役目をします。
- 送電を高電圧にする理由: 同じ電力 P = V·I を送るとき、電圧を上げれば電流は小さくなり、導線での損失 I²R が減ります。例: 100 kW を、抵抗 1 Ω の線で送ると、100 V なら I = 1000 A で、損失は 1 MW(電力そのものより大きく、送れない)。10 kV なら I = 10 A で、損失は 100 W(0.1 %)。
① 電場(電圧)の伝わり — 実時間はナノ秒(10億分の1秒)の世界
右端の負荷は、白熱電球(一定の抵抗 R として扱っています)。電球の光は、いま負荷に入っている電力(電圧 × 電流)の、定常値に対する割合です。電場の先端が届くまでは、点きません。実際の電球は、フィラメントが温まるのに ms〜s かかりますが、この図は ns の世界なので、瞬間の電力で光らせています(省いたもの: フィラメントの温度の遅れ・抵抗の温度変化)。
電池をつないだ瞬間、電圧の変化(電場と磁場の波)が導線に沿って伝わります。波が届いた場所から、電子が動き始めます。 電子の粒は、隣の粒に押されて動くのではなく、その場所の電場に押されて動きます。見やすいように速さを大きく拡大しています(倍率は図の左下)。実際の電子の動きは、この時間スケールではほとんど見えません。図は実際よりずっとゆっくり再生しています。 この図は、波を1マスずつ進める数値シミュレーションです(動画ではありません)。電池を入れなくても、導線をクリックして電子を押すと、押された電子が電場をつくり、それが両側へ伝わって、遠くの電子を動かすのが見えます。 波が伝わる速さは、線の形と絶縁体で決まります(第2層)。
別の見せ方(この図は、そのまま残しています): 図面(2面図)(側面図と断面図 A–A。電源・負荷つき。観測点を最大 3 点) / 2D 版(導線を断面から見て、場が円になって広がる様子) / 3D 版(視点を変え、ズームできる。導線に沿った直交する波と、広がる波紋) / 電気力線と等電位線(点電荷 2 つ。電位の地形つき) / 電位・電気力線・波のつながり(V と I が、互いを生み合って、波になる) / ターミネータ(終端抵抗)(線の終わりの抵抗と、反射・定在波・入力インピーダンス)(準備中) / 絶縁破壊と電場の集中(電極の形・間隔・電圧と、破壊の目安)(準備中) / コンデンサとコイル(RLC の振動と、線路の先の C・L)(準備中) / 火花ギャップの回路(充電・火花・放電を繰り返す緩和発振) / 導線の中の電子の時間差(外の電場 → 表面 → 内部の遅れを、ゆっくり再生して見る)(準備中) / 回路の中のコンデンサとコイル(L・C を入れる/入れない。直流・交流。場・電子・エネルギー)(準備中) / LC 回路(自由振動・共振(直列/並列。回るフェーザ)・結合した 2 つの LC)(準備中) / 雷と避雷針(先が細いと電場が集まる理由・降りてくるリーダーと先端の電場) / 避雷針の保護範囲(回転球体法)(準備中) / 発振回路(増幅器+共振回路+正帰還・緩和発振)(準備中) / アンテナ(電子の振動が電波になる。放射パターン・放射抵抗・効率) / 降圧回路(コイルが電流を保つ力で電圧を下げる。バックコンバータ)(準備中) / 磁石とコイル(電磁誘導)(磁束・起電力・レンツの法則・エネルギー)(準備中) / 半導体の中(PN 接合・ダイオード・NPN/PNP トランジスタ。電子・正孔・空乏層・バンド図・ドリフトと拡散を、10 nm から全体まで拡大して) / 高度な動く回路図(ブロックに部品を並べて、自由に回路をつくって動かす。LED・整流・増幅・三相モーター・変圧器・アンテナ・ブラウン管・雷などの見本つき)
電場と電子の、行ったり来たり
この「波」は、次の4つが輪になっているからできます。①の図で、導線をクリックしたときの波の広がり方を見ながら確かめてください。 なお、電子が隣の電子を手渡しで押していく(ところてん式)のではありません。伝わっていくのは電場と磁場(場)で、電子は、その場所の電場に押されて動き、動くことで場の源になります。
- 1. 電場が電子を押す導線の中の電場が、その場所の電子に力を及ぼします。
(電場 → 電子) - 2. 電子が動く(電流)押された電子が動き、電流が流れます。電流のまわりには磁場ができます。
(電子 → 電流・磁場) - 3. 電子が偏り、電場が変わる電子が動くと、ある所で電子が増え、別の所で減ります。この偏り(電荷)が、電場を変えます。
(電子 → 電場) - 4. 変わった電場・磁場が、隣の場所へ伝わる場の変化は、電子がいなくても空間を伝わります(電波や光と同じ)。そこにいる電子が、その場の電場に押されて、また 1 に戻ります。
(場 → 隣の場所の場 → そこの電子)
電子は、場の変化に、ほぼ瞬時に応答します(散乱の間隔が 25 fs ほどで、ns の現象に比べて、ずっと短い)。この輪は、波の速さの足かせにはなりません。波の伝わる速さは、場が隣へ伝わる速さで、線の形と絶縁体で決まります(電子は、導体の表面で電場が面に垂直になる、という条件をつくる役です)。 ①は、「電子が動くと電場が変わる」「電場の傾きが電子を押す」という2つの関係を、そのまま解いています。 電子の偏りは、全電子のごくわずか(第2層の検算パネル参照)ですが、それで十分な電場ができます。
上の1行目が「電場(電圧 V)の傾きが、電流 I を変える」、2行目が「電流が変わる(電子が動く)と、電場が変わる」です。L′ は単位長さあたりのインダクタンス、C′ は単位長さあたりの静電容量です(第2層)。
伝わるのは、電子から電子へ? それとも場?
- 手渡し(ところてん)ではない。電子どうしは接触して押し合うのではなく、電子の電荷がつくる場を通して力を及ぼし合います。電子どうしの力も、場が伝えています。
- 電子がいない所でも伝わる。真空を伝わる電波や光、コンデンサの極板のあいだ(電子がいない隙間)を通り抜ける信号は、場だけで伝わります。
- 場は「隣の場所」へ伝わる。ある場所の場の変化が、すぐ隣の場所の場を変え、それが次の隣へ、と続きます(マクスウェル方程式は、この局所的な形をしています。第2層)。全体が同時に変わるのではなく、遠くへ届くには時間がかかります(①で見えるとおり)。
- 電子は応答して、源になる。電子は、その場所の電場に押されて動きます。動いた電子(電流)は磁場をつくり、電子の偏り(電荷)は電場を変えます。この「場 ⇄ 電子」の行き来が、導線に沿って波が進むときの様子です。導線は、波の通り道を決める役目をします。
速さを比べると、区別できます(銅線 1 A・1 mm²、ポリエチレン絶縁の同軸ケーブルの例):
| 量 | 速さの目安 |
|---|---|
| 電子のドリフト速度(電子全体の流れ) | 約 7×10⁻⁵ m/s(0.07 mm/s) |
| 電子の乱雑な運動の速さ(フェルミ速度。温度によらない、量子力学で決まる速さ。古典的な熱速度 √(3kT/m) は、300 K で約 1.2×10⁵ m/s) | 約 1.6×10⁶ m/s |
| 信号(電場・磁場の波)が伝わる速さ | 約 2×10⁸ m/s |
| 真空中の光の速さ | 約 3×10⁸ m/s |
もし、短距離の接触力だけで押し合って信号を伝えるなら、その速さは電子自身の速さ(10⁶ m/s 程度)が目安です。実際の信号は、それより 100 倍以上速く、絶縁体で決まる、光速に近い速さです。電子どうしも、場を通して押し合い(遅延を含む)、その場の変化が伝わるので、「電子が押す」と「場が伝わる」は、対立ではなく、同じことの 2 つの言い方です。信号の速さを決めるのは、場の伝わる速さです。
② 導線の中の電子 — 実時間は秒〜の世界
導線の断面を拡大した図です。電子は、導線の中にまんべんなくあり、速い乱雑な運動(量子力学では、フェルミ速度。この図では、古典的な熱運動のように、概念表示)で、あらゆる向きに動き回って、ときどき(結晶の振動・不純物で)散乱されます。電場がかかると、その動きに、ごくわずかな偏り(ドリフト)が加わります。この偏りの大きさ(平均の速さ)は、直流では実寸(1 mm = 600 px)です(交流は、振れ幅が小さすぎるので、「振れ幅の拡大」で拡大しています。既定は ×100。倍率は図に表示)。一方、乱雑な運動の速さと散乱の間隔は概念表示です(実際は、この運動のほうが 10¹⁰〜10¹¹ 倍ほど速く、散乱の間隔は 25 fs ほど)。薄い点は、イオンの格子(概念図)で、実際の電子は、規則正しい格子を、ほとんど素通りします。白い線は、2 つの電子の軌跡(ジグザグの動きと、全体の偏り)。電流の大きさは、「電源と負荷」の V と R から決まります(I = V/R)。導線の断面積は、第2層で変えられます。ここは遅い現象(50/60 Hz や直流)なので、表皮深さ(50 Hz で約 9 mm)が導線の半径より大きく、断面全体の電子が電流を担います(①の速い現象では、表面の薄い層だけ)。点の数は代表で、実際は 1 mm³ あたり 10²⁰ 個ほどあります。
③ たとえ話と回路図 — 補助として。成り立たない点は第3層
水でいっぱいのホースの片端を押すと、反対側からほぼ同時に水が出ます。圧力の変化は水中の音の速さ(約 1500 m/s。柔らかいホースならもっと遅い)で伝わり、水そのものは、ゆっくり動くだけです。 電気も同じで、電場の変化は光に近い速さで伝わり、電子はゆっくり動きます。ただし、水のたとえには説明できないことがあります(第3層)。
| 電気 | 水のたとえ | 回路図・このページの図 |
|---|---|---|
| 電池・電源(発電所) | ポンプ | 電池の記号。①の左端の電源 |
| 電圧 V(電位の差) | 水圧の差(高低差) | 電池の+と−のあいだ。①の導線のあいだの電場(色) |
| 電流 I | 1秒あたりに流れる水の量 | 矢印(電流の向きは、電子の動きと逆に約束)。①の電子の矢印 |
| 電子 | 管の中に満ちている水 | 回路図には出てこない。②の点 |
| 導線 | 太い管(流れにくさが小さい) | 線。①の往路・復路の2本線 |
| 抵抗・電球・ヒーター | 細い管・フィルター(流れにくさ。エネルギーは熱になる) | ぎざぎざ(または長方形)の記号。①の右端の負荷 |
| スイッチ | バルブ | スイッチの記号。「スイッチを入れる」ボタン |
| モーター | 水車(水が羽根を回す) | 円にMの記号(今後の教材で扱う予定) |
| 交流 | ピストンで水を押し引きする(水は往復するだけ) | 〜の記号。②の「往復」 |
考えてみよう — 答えは、押すと表示されます
問い1: 電気は、導線の「中」を流れている? それとも「まわり」?
答えを見る
| 流れるもの | どこを | このページで見える所 |
|---|---|---|
| 電荷(電子)の流れ = 電流 | 導線の中。遅い現象(直流・50/60 Hz)では断面全体、速い現象(ナノ秒)では表面の薄い層 | ①②の粒 |
| 電気のエネルギーの流れ | 導線のまわりの空間(導線のあいだの電場と磁場)。導線の中へは、横から入って熱になる分だけ | ①の「エネルギーの流れ」(緑) |
| 電場と磁場 | 導線のまわりと、導線のあいだの空間。導線の中にも、磁場はある(導線の中の電場は、ごく小さい) | ①の電場・磁場、断面図 |
| 変位電流(電場の時間変化) | 導線のあいだの絶縁体の中(コンデンサの極板のあいだと同じ) | 第2層のマクスウェル方程式の ∂E/∂t の項 |
いまの設定では、電力のうち導線の中で熱になる割合は … です(直流の定常状態の見積り)。残りは、導線のまわりの空間を通って負荷に届きます。
これは、電磁気学の標準的な記述(ポインティングの定理)です。エネルギーの「流れ」の定義には不定性があります(第3層)。
問い2: 高周波の信号は、導体のまわりに絶縁体がないと伝わらない?
答えを見る
- 往復2本の線(平行2線・同軸)は、まわりが空気や真空でも、波が伝わります。絶縁体は、2本を離して支えるためと、伝わる速さやインピーダンスを決めるために使います(第2層)。
- 1本だけの裸の導線でも、理論上は、導線の表面に沿う波(ゾンマーフェルトの表面波)が伝わります。ただし、良い導体では、場が導線から遠くまで広がって、ほとんど閉じ込められず、曲がりや支えで漏れて損失が大きくなります。そのため、実用では、導線を絶縁体(誘電体)で被覆する(ゴーボー線)などして、場を閉じ込めます。テラヘルツ帯では、裸の金属線で、低損失に導けた実験もあります。
- 中空の金属管(導波管)は、中が空気で、絶縁体も内側の導線もなくても、マイクロ波が伝わります(電流は、管の壁の表面を流れます)。逆に、周波数が低すぎると伝わりません(カットオフ)。光ファイバーは、金属がなく、ガラスだけで、光(電磁波)が伝わります。
高周波で「難しい」と言われるのは、このように、場を閉じ込める構造(形・間隔・絶縁体)の設計が、結果を大きく左右するためです。どれも、「電子が導線の中を走って信号を運ぶ」のではなく、「電磁場が、構造に導かれて伝わる」ことの裏付けです。出典は、第3層の参考文献にあります。
発電所から電気が来るのは? — 場と電子の、役割と相互作用
| 場所 | 電磁場の役割 | 電子の役割 | 相互作用 |
|---|---|---|---|
| 発電所(発電機) | 回転する磁石がつくる磁場。磁束が時間変化すると、コイルの導体に起電力が生じる(ファラデーの電磁誘導)。電流がつくる磁場は、回転を妨げる力になる(レンツの法則) | コイルの導線の中の電子が、起電力に押されて動く(電流)。電子が、機械のエネルギーを、電磁場のエネルギーに変える媒介をする | 磁場 → 電子(起電力)→ 電流 → 磁場(回転を妨げる)。機械の仕事が、電気に変わる |
| 送電線 | 電圧・電流の波(場)が、導線に導かれて伝わる。エネルギーは、導線のまわりの空間を流れる | 導線の中の電子は、往復するだけ(1 mm² に 1 A のとき、50 Hz で、片道の振れ幅が 0.2〜0.3 µm ほど)。電流と電荷の偏りで、場の形を決める。導線の抵抗で、一部が熱になる(I²R) | 場 ⇄ 電子(このページの①の「行ったり来たり」) |
| 変圧器 | 鉄心は、磁束を導く(磁気回路)。エネルギーは、鉄心の外側、2 つの脚のあいだの空間を、誘導電場と漏れ磁場の積(ポインティング・ベクトル)として流れる(Herrmann & Schmid, 1986)。「鉄心がエネルギーを運ぶ」は、「電流が運ぶ」と同じ種類の省略 | 各コイルの電子が、電流で磁場をつくり、誘導起電力に応答する | 電子 → 磁場 → 電子 |
| 家庭の配線・負荷 | 場が、負荷の導体の電子に力を及ぼす(電力 = 電流密度 J と電場 E の積) | 押された電子が、結晶と衝突して熱(ヒーター)や光(電球)にする。モーターでは、電流が磁場から力を受けて回転する | 場 → 電子 → 熱・光・仕事 |
- 家庭の導線の中の電子は、発電所から運ばれてきたものではありません。導線にもともとある銅の自由電子が、場に押されて、往復しているだけです。届くのは、電子ではなく、エネルギー(場)です。
- 導線は、場の通り道を決めます。導線がなければ、電気のエネルギーは、そのように導かれて流れません。電子(電流と電荷)が、導線のまわりの場の形をつくるからです。
- どちらか一方では説明できません。場だけでも、電子だけでも、発電所から家庭へのエネルギーの輸送は、説明できません。場と電子が、絶えず影響し合っている、というのが、電磁気学の描像です。
発電所の仕組み(直流→単相→三相)は、今後の教材で、式と検算つきで扱います。
ここまでのまとめ
- 電場(電圧)の変化は、導線に沿って、絶縁体で決まる速さ(ポリエチレン絶縁の同軸ケーブルで光速の約 66 %。一様な絶縁体なら c/√εr)で伝わります。
- 電子のドリフト速度は、1 A・断面積 1 mm² の銅線で約 0.07 mm/s。ゆっくりです。
- 電場が届けば、回路のあちこちの電子がほぼ同時に動き始めます。電子が端から端まで走り抜けるのを待つ必要はありません。
- 電場が電子を押し、動いた電子(の偏りと電流)が電場と磁場をつくります。この行ったり来たりが、波として伝わります。
- 電圧を上げると、電流・導線の中の電場・電子の速さが比例して増え、電力は電圧の2乗で増えます(抵抗が一定のとき)。
- 交流では、電子はその場で小さく往復するだけです。それでも、電気のエネルギーは負荷に届きます。
第2層 定量 — 式と数値で確かめる
線路のモデル — 式と図
場が「隣の場所」へ伝わる仕組みは、マクスウェル方程式で書けます。電場の空間的な変化(渦)が磁場の時間変化を決め、磁場の渦が、電流 J(電子の動き)と電場の時間変化で決まります。電子が関わるのは、電流の項 J と、電荷の項 ρです。
導線の往復(2 本の線)に、これを当てはめて、短い区間ごとの「コイル」と「コンデンサ」の連なりとして表します。電流が磁場をつくる分がコイル(単位長さあたり L′)、導線のあいだの電場が蓄える分がコンデンサ(単位長さあたり C′)です。
電圧の傾きが電流を変え、電流が変わると電圧が変わる、という関係から、波が伝わる速さと、電圧と電流の比(特性インピーダンス)が決まります。
進行方向の波 F と、反対向きの波 B の重ね合わせが解になります(①は、これを1マスずつ進めて計算しています)。負荷では、抵抗 RL と Z₀ の違いに応じて、波の一部が反射します。
導線を流れるエネルギーは、電圧と電流の積です。
導線と線路 — インダクタンス・静電容量・インピーダンスを、形から計算する
導線の形・間隔・絶縁体から、L′・C′・Z₀・v を教科書の式(第3層の参考文献)で計算しています。条件を変えると、①が最初からやり直しになります。 省略している効果は、現在の条件での大きさを表に示しています。
表皮効果を見る — 周波数と導線の太さを変えると、電流の流れる深さが変わる
交流の電流は、周波数が高いほど、導線の表面の薄い層に集まります。層の厚さが、表皮深さ δ です。δ が導線の半径 a より十分大きい(a/δ ≪ 1)と、電流は断面全体に一様に流れ、δ が a より小さい(a/δ ≫ 1)と、表面近くに集中します。下のスライダーで、確かめてください。「①の電子に反映」を選ぶと、①の電子の偏りが、この分布になります。
電流密度の分布は、拡散方程式の解です。平らな導体(側面図の厚さ方向)は、|J(y)|/|J(a)| = √[(cosh(2y/δ) + cos(2y/δ)) / (cosh(2a/δ) + cos(2a/δ))]。丸い導線は、ベッセル関数 J₀ による分布です(a/δ が大きいときは、漸近形)。①の電子は、平らな導体の式を使っています。①の速い現象(a/δ ≒ 300)では、層が薄すぎて見えないので、図では、δ/a ≧ 0.08 に拡大しています。検算(自作の検算プログラム(非公開)): a ≪ δ で一様、a ≫ δ で、深さ δ で 1/e、ベッセル関数の零点・漸近形との一致。
数値で確かめる(検算パネル)
電子のドリフト速度は、電流を、電子の数密度 n・電気素量 e・導線の断面積 A で割ったものです。導線の中の電場は、電流を、導電率 σ と断面積で割ったものです。 銅の自由電子密度 n = 8.49×10²⁸ m⁻³、電気素量 e = 1.602×10⁻¹⁹ C、導電率 σ = 5.96×10⁷ S/m を使っています。 n は、銅の密度 8.96 g/cm³・原子量 63.55 から、原子1個につき自由電子1個として計算した値です(文献により 8.47×10²⁸ とする値もあり、差は 0.3 % 未満)。
線路に蓄えられる電荷による、電子の偏りの割合 δ は、次の式です(V は電圧、C′ は単位長さあたりの静電容量)。
エネルギーは、どこを流れるか
電場 E と磁場 H から、エネルギーの流れ S(ポインティング・ベクトル)が決まります。導線のあいだの断面で足し合わせると、電圧と電流の積 V·I になります。導線の中へは、表面から横向きに入る分があり、導線の抵抗 R′ による熱(単位長さあたり I²R′)に等しくなります。
銅の導線では、導線の中の電場は、電流 I と抵抗 R′ の積(Ez = I·R′)で、導線の表面の磁場は、アンペールの法則(Hφ = I/2πa)で決まります。この 2 つの積が、表面から入る電力です。
導線の中の電子と、動きを妨げるもの
導線の中の電子は、電場に押されて加速しますが、結晶の中で、ある時間 τ ごとに「散乱」されて、進む向きがばらばらになります。加速と散乱の繰り返しが、一定のドリフト速度(と、抵抗)になります(ドルーデ模型)。
金属の電子の速さの目安は、自由電子模型(電子を、箱の中の波として数える)から決まります。フェルミ波数・フェルミ速度・フェルミエネルギーは、次の式です。
銅の自由電子の密度 n は、第2層の検算パネルと同じ値(8.49×10²⁸ m⁻³)を使っています。
細い線・抵抗が高いと、なぜ流れにくい? — 場・電子・結晶の、役割分担
電流を「押す」のは電場(電磁場)です。それなのに、導線が細かったり、抵抗が高かったりすると、電流が小さくなります。電場は、導線の中で、何に邪魔されているのでしょうか。下の図は、同じ電源につないだ、3 つの区間(太い銅線 — 中の区間 — 太い銅線)です。中の区間の太さと抵抗率を変えて、電流・電場・電子の速さ・電圧・熱が、区間ごとにどう変わるかを見てください(直流の、落ち着いた状態の値です)。
そして、直列の回路では、電流はどこでも同じです(落ち着いた状態では、電荷は、どこにも溜まり続けません)。細い区間は、同じ I を通すために、電場を強くしなければなりません(E = ρI/A)。電源の電圧 V は、導線に沿った電場の合計(∫E·dl)なので、強い電場が必要な区間があるほど、押しきれる電流は小さくなります(I = V/ΣR)。細い区間の電子は、むしろ速いのに(図の表)、全体の電流は、その区間に決められてしまいます。
役割分担: 電磁場・電子・結晶(ほかの物質)は、何をしている?
- 電磁場: ①導線の中の電子を押す(導線の中の電場 E)。この E は、電池が保つ電位差のもとで、導線の表面に並んだ電荷がつくり、曲がり角や太さの変わる所でも、導線に沿った向きに整います。②エネルギーを運ぶ。エネルギーは、導線の外の空間を、E×H(ポインティング・ベクトル)として流れ、表面から導線に入ります(図の緑の矢印。単位長さに入る電力は、I²R′ に等しい)。
- 電子: 電荷の担い手。E に押されて加速し、散乱で勢いを失う。その平均が、電流です。ドリフト速度は、図の表のとおり、とても遅い(この図の設定で µm/s〜mm/s の桁。光の速さの 10¹⁰〜10¹⁴ 分の 1)。電子どうしの相互作用や、量子力学的な性質(フェルミ速度で動き回ること)は、ドルーデ模型では、散乱の間隔 τ にまとめています。
- 結晶(ほかの物質): 散乱の相手。イオンの熱振動・不純物・欠陥・表面が、電子の進む向きを乱します。電子から受け取った運動量とエネルギーが、ジュール熱(結晶が熱くなること)です。結晶の邪魔が強い(τ が短い)ほど、抵抗率 ρ = m/(n e² τ) が大きい。
「場が主役」か「電子が主役」かは、役割で分けると答えやすくなります(エネルギーを運ぶのは場、電荷を運ぶのは電子、邪魔をするのは結晶)。くわしくは、第 1 層の「発電所から電気が来るのは?」と、「諸説・異論」。
細い区間では、何が起きている? — 電流が決まるまでの 4 つのステップ
- 電源をつなぐと、電池の端子の電位差が、導線に沿って、光に近い速さで広がり、導線の表面に電荷が並びます。この電荷の並びが、導線の中の電場を、導線に沿った向きに揃えます。
- 電子は、その電場に押されて動き出します。細い区間は、同じ電場なら、通れる電子の数が少ない(断面積が小さい)ので、手前の太い区間から来る電流が、細い区間を通る電流より大きくなります。その差の分、細い区間の入口(電流 I が入る側。電子は、ここから出ていく)に、電子の不足(+の電荷)が、出口(電子が入ってくる側)に、電子の余り(−の電荷)が、溜まります。
- 溜まった電荷は、細い区間の電場を強め、手前の太い区間の電場を弱めます。この調整は、電流が、どこでも同じになるまで続きます(ナノ秒の桁。①の図が、その伝わりの途中経過です)。
- 落ち着いた状態: 電流は、どこでも同じ I。細い区間は、電場が強く(E = ρI/A)、電子の速さも速く(vd = I/(nAe))、電圧が大きく下がり(ΔV = IR)、熱も多い。太い区間は、電場が弱く、電子はゆっくり、電圧はほとんど下がらない。
②③の「電荷が溜まって電場を調整する」説明は、表面電荷の文献の定性的な筋です。Sherwood & Chabay の原稿(1999)と Härtel(キール大)の教材〔該当節を読んだ〕に、同じ筋(細い所で電場が大きい・手前と先に、符号の逆の電荷が溜まる)があり、Heald 1984・Jackson 1996・Müller 2012・Chabay & Sherwood 2019 は、要旨を確認しました(本文は未読)。この図は、落ち着いたあとの値を、式で出したもので、調整の途中は、計算していません。導線の表面の電荷の量は、導線のまわりの空間の形で決まる、3 次元の問題です(図の「表面の電荷(模式)」は、電位に比例させた概念図で、量の計算ではありません)。
抵抗率が高いと、なぜ流れにくい? — 結晶の邪魔が強いとき
- ドルーデ模型: m dv/dt = −eE − m v/τ。落ち着くと、vd = eτE/m(τ に比例)、J = n e vd = (n e² τ/m) E = σE。電場は、電子を加速し続けるためでなく、散乱で失う勢いを、補うために、かかり続けています。
- τ が短くなる(散乱が増える)と、ρ が大きくなる: 金属は、温度が高いほど、結晶の熱振動が大きく、散乱が増えます(デバイ温度より上では、ρ はほぼ温度に比例。銅は約 80〜800 K でほぼ直線)。不純物・欠陥が多い(合金など)ほど、ρ が大きい。
- n(動ける電子の数)が少ないと、ρ が大きい: 半導体は、動ける電子が金属より桁違いに少なく、温度を上げると n が急に増えるので、金属と逆に、ρ が下がる傾向があります。絶縁体は、動ける電子が、ほとんどありません。
- 抵抗率が高い区間では、同じ I を通すために必要な E が大きく、電圧が多く下がり、熱(I²R)も多くなる。電子は、散乱のたびに、電場からもらった勢いを、結晶のイオンの振動に渡します(結晶が熱くなる)。
- 抵抗が 0 の超伝導体では、落ち着いた電流のとき、導体の中の電場も 0 です。ドルーデ模型では説明できず、量子力学(BCS 理論)が要ります。
もっと細く: 限界と、まだ議論のあること
- この図が成り立つ範囲: 直径が、電子の平均自由行程より、ずっと大きいとき(図の最小の直径 約 32 µm は、銅の平均自由行程(室温で約 39〜40 nm。複数の文献で確認)の約 800 倍)。R = ρL/A が、そのまま使えます。
- 直径が平均自由行程に近づくと: 導線の表面や粒界での散乱が加わり、抵抗率が上がります(Fuchs 1938・Sondheimer 1952・Mayadas & Shatzkes 1970。総説: Josell ら 2009、Gall 2020)。目安: 厚膜の近似式 ρ/ρ₀ ≈ 1 + 3(1−p)λ/(8d)(p は表面の鏡面反射率。Stasyuk 1999)で、直径が平均自由行程の 10 倍(銅で約 0.4 µm)なら数 %、同程度なら数十 %〔p = 0 での自作の計算。近似の範囲の外では、目安〕。この図の最小の直径(約 800 倍)では、約 0.05 %。
- 原子数個の幅では: 電子の波としての性質が効き、抵抗は、電子の通れる「通路」の数で決まります。1 つの通路が運べる最大のコンダクタンスは G₀ = 2e²/h = 77.48 µS(逆数は 12.906 kΩ)で、通路が短ければ、長さにはよりません(弾道輸送。ランダウアーの考え方)。数値は、NIST の CODATA(定義値から決まる厳密な値 7.748 091 729…×10⁻⁵ S)と、e と h からの自作の計算で一致しました。
- 説明のしかたに、異論があります: 導線の中の電場の源を、表面電荷で説明する立場(Chabay & Sherwood、Jackson など)と、起電力と回路理論で済ませる、伝統的な教科書の立場があります。どちらも、電流・電圧・熱の予言は同じですが、「何が電子を押しているか」の語り方が違います。
- 省いたこと(大きさ): ①電源の内部抵抗(理想電源)。②発熱による ρ の上昇(銅の温度係数は、20 °C で約 0.0039 /K(NBS の銅線表 0.00393・CRC 0.00393)。100 K 上がると、約 4 割増える〔自作の計算〕。図の熱は、この上昇を入れていない)。③全区間で n は同じ。④交流(表皮効果で、電流が表面に集まり、実効の断面積が減る。表皮効果を見る)。⑤表面電荷の量(3 次元の問題)。⑥絵の太さは直径の √、電子と矢印の長さは √ で圧縮(本当の数値は表)。
なぜ、抵抗で電圧が下がる? — 導線の外の電場と、エネルギーの流れ
この図で分かること: 上の図と同じ 3 つの区間(上のつまみ・例と連動)のまわりの空間で、①電位が、どこで・どれだけ下がるか(黄の等電位線が、抵抗の大きい区間の表面に集まる)②導線の表面に並ぶ電荷と、それが外につくる電場(赤の電気力線)③電源からのエネルギーが、導線の外を通って、どの区間の表面から入って熱になるか(緑)、の 3 つです。下の段は、導線の中の電子 1 個が、電場で加速されては、結晶にぶつかって、もらったエネルギーを熱として渡す様子(模式)です。
図の読み方と、導線の外の電磁場 — 表面の電荷・磁場・エネルギーの流れ
- 導線の表面の電位は、上の図の電位のグラフのとおり、区間ごとに直線で下がります。導線の外は電荷のない空間なので、電位はラプラス方程式に従い、表面の電位と、戻りの導線(0 V)の電位で決まります。図は、それを数値で解いたものです(下の「模型」)。
- 表面の電荷(+): 導線の外の電場が表面で終わる所には、電荷があります(σ = ε₀E⊥)。この模型では、電源に近いほど電位が高いので、電荷も多く、下流ほど少なくなります。この電荷の「勾配」が、導線の中の電場を、導線に沿う向きにそろえています(表面電荷の文献の筋。出典の欄)。抵抗の大きい区間では、電位が急に下がるので、電荷も急に減ります。
- 導線の外の電場には、表面に垂直な成分(表面の電荷から出る)と、導線に沿う成分があります。導線に沿う成分は、表面のすぐ外で、導線の中の E と同じ大きさです(電場の接線成分は、境界で連続)。だから、赤の電気力線は、表面から真横ではなく、少し下流へ傾いて出ます。傾きは、抵抗の大きい区間ほど大きくなります。
- 磁場: 電流 I は導線を巻く向きの磁場 H = I/(2πr) をつくります(アンペールの法則。図の右の ⊙・⊗ が向き。上側は手前へ、下側は奥へ)。これは、区間の太さ・抵抗によらず、どの区間のまわりでも同じです(直列なので、電流は同じ)。
- エネルギーの流れ S = E × H: H が導線を巻く向きだけなので、S は、図の面の中で、E に垂直 = 等電位線に沿って流れます。隣りあう 2 本の等電位線のあいだを流れる電力は、ちょうど I × (電源の電圧の 1/10)〔自作の計算: 流れの関数 Ψ = Iφ〕。等電位線が導線の表面に着く所で、その電力が導線に入り、熱になります。だから、等電位線の足が集まる区間(抵抗の大きい区間)ほど、多くのエネルギーが表面から入り、熱くなります。表面から入る電力の合計は、その区間の I²R に等しくなります(ポインティングの定理。上の図の緑の矢印と同じ話)。
- 電子の段(模式): 電子 1 個の、電場から得た速さ(導線に沿う成分)。衝突のあいだは、eE/m の割合で直線に増え、衝突で 0 に戻ります(オレンジの点 = 結晶にエネルギーを渡す瞬間)。衝突の間隔は、平均 τ の、ばらばらな長さ(指数分布)にしてあり、このとき、速さの時間平均が、ちょうど vd = eEτ/m になります〔自作の計算・検算〕。本当の電子は、フェルミ速度(銅で約 1.6×10⁶ m/s)で、ばらばらの向きに飛び回っていて、図の速さは、それに重なる、とても小さな「片寄り」の部分だけです。
模型と、省いたこと(大きさ): ①戻りの導線を、まわりを囲む円筒(抵抗 0・電源の − = 0 V)にした、同軸ケーブルの形の模型です。戻りの導線の場所が違うと(2 本を離して張るなど)、表面の電荷の量と、電場の形は変わります。この模型では、内側の導線の電荷はすべて + で、− は円筒の内面に並びます。②長さ方向を縮めています(区間の長さ 120 マス × 3・円筒の半径 60 マス・太い銅線の半径 8 マス。中の区間の半径は、直径の比の √ 倍・最小 2 マス)。実寸(長さ 0.5 m・直径 1 mm)のままでは、図になりません。どの区間で何 % 下がるかは、実寸の回路の計算の値で、空間の電場の形が、縮めた模型の形です。③左右の端は、図の外へ、同じ太さで続くとみなしました(端の厳密解を与える)。④定常(直流)・空間に電荷なし・導線のまわりは真空。⑤数値の誤差: 一様な導線では、厳密解 φ = φs(z)·ln(b/r)/ln(b/a) との差が、電源の電圧の 0.1 % 未満、表面の電荷の差が 2 % 未満(自作の検算プログラム(非公開))。太さの段差の角は、格子の階段で近似しています。⑥電気力線の本数は、表面の電荷に比例させています(26 本)。
2 本線の見方 — 往路と復路のあいだを、エネルギーが流れる
- 実際の回路の形: 電源の + から負荷へ行く導線(往路)と、負荷から電源の − へ戻る導線(復路)が、離れて並びます。「戻りの導線」の切り替えで「2 本線」を選ぶと、この形の図になります(上が往路、下が復路)。
- 表面の電荷: 往路の、復路に向いた面に +、復路の、往路に向いた面に − が並びます。量は、その場所の 2 本の電位の差に比例します(一様な線路では σ = ε₀·(φ往路 − φ復路)/(2 本のあいだの距離)〔自作の計算・検算〕)。電源に近いほど電位の差が大きいので、電荷も多く、抵抗の大きい区間を過ぎると、ほとんど 0 になります。
- 電気力線は、往路の + から、復路の − へ渡ります。導線に沿う向きにも傾いているのは、往路の表面に沿って電位が下がる(導線の中の電場と同じ接線の電場がある)からです。
- エネルギーの流れ: 2 本のあいだでは、電流がつくる磁場 H が図の面に垂直(奥へ)で、S = E × H は、等電位線に沿って、電源から負荷の向きに流れます。等電位線が往路の表面に着く所(抵抗の大きい区間の、復路に向いた面)から、エネルギーが導線に入って熱になります。復路は、抵抗 0 としたので、表面のどこも 0 Vで、表面に沿う電場がなく、エネルギーは入りません。
模型と、省いたこと(大きさ): ①2 次元の近似: 2 本を含む面の中だけで、ラプラス方程式を解きました。これは、導線を、図の面に垂直な方向に、どこまでも広い帯(リボン)とみなすことにあたります(平行な 2 枚の帯の線路)。帯の線路では、電場・磁場・エネルギーの流れは、2 本のあいだに閉じこもります(往路の外側の面の電荷は ≈ 0)。丸い 2 本の線では、場が線のまわりを回り込み、外側にも流れます。目安: 丸い 2 本(半径と中心間の距離の比が、この図と同じ 8 : 60)の断面で、導線に沿って運ばれるエネルギーの流れ(Sz ∝ |E|²。線電荷と線電流の近似)のうち、2 本の中心を結ぶ帯の中を通るのは約 67 %、残り約 33 % は外側を通ります〔自作の計算〕。②計算の範囲の外側(点線の枠)では、電場が外へ出ないとしました(∂φ/∂y = 0)。③復路の抵抗を 0 にしました(同軸の見方と同じ回路。実際の復路にも、往路の太い銅線と同じ程度の抵抗があり、その分、復路の電位も下がり、復路にもエネルギーが入ります)。④長さ方向を縮めた模型(区間 120 マス × 3、2 本の中心のあいだ 60 マス、太い銅線の太さ 16 マス)で、どの区間で何 % 下がるかだけが、実寸の回路の値です。⑤数値の確かめ: 一様な線路では、厳密解(あいだは電位が 1 次式)と、差 10⁻⁹ 以下。往路の + と復路の − の合計は、5 % 以内で等しい。往路のすぐ下を横切る電力の割合は、太さが同じ区間で、発熱の割合と 3 % 以内(自作の検算プログラム(非公開))。
出典と、確認の状況
2026/10/10 に、運営者の依頼で、独立した複数のページで裏取りしました(ページを開いて確認したものと、開けなかったものを区別)。2026/10/11 に、第 2 の図(導線の外の電場)の分を足しました(下の、日付つきの項目)。
- 〔自作の計算〕図と表の値: 直列の合成 I = V/ΣR・J = I/A・E = ρJ・vd = J/(ne)・ΔV = IR・発熱 I²R・表面から入る電力(S = E×H に表面積を掛けたもの)が発熱に等しいこと。
自作の検算プログラム(非公開)で検算(ΣΔV = V、Σ発熱 = VI、ポインティングの積分 = 発熱、ドリフト速度が model.js の式と一致、τ = m/(ne²ρ) など)。 - 〔要旨のみ〕表面電荷と電場・エネルギーの流れ(要旨は Crossref・OpenAlex・Semantic Scholar で確認。本文は未読): M. A. Heald, Am. J. Phys. 52(6), 522–526 (1984), DOI 10.1119/1.13611/J. D. Jackson, Am. J. Phys. 64(7), 855–870 (1996), DOI 10.1119/1.18112(表面電荷の 3 つの役割: 回路の電位を保つ・導体の外の電場をつくる・電流を導線の中に閉じ込める)/R. Müller, Am. J. Phys. 80(9), 782–788 (2012), DOI 10.1119/1.4731722/R. Chabay and B. Sherwood, Am. J. Phys. 87(5), 341–349 (2019), DOI 10.1119/1.5095939(要旨: 「単純な回路では、表面電荷のほぼ一定の勾配が、回路素子の中の電場をつくる主な役割をもつ」)。
- 〔該当節を読んだ〕細い線の電場と、電荷の溜まり方・符号: B. A. Sherwood and R. W. Chabay, “A unified treatment of electrostatics and circuits”(原稿、1999。matterandinteractions.org)/H. Härtel, “Basics about the Electric Circuit” §2.4(キール大学)。細い所では電場がずっと大きい・電子の流れの手前に電子が溜まり(電流の入口側が+・出口側が−)、その電荷が電子を押す、という筋が、2 つで一致しました。
- 〔要旨のみ〕銅の電子の平均自由行程(室温で約 39〜40 nm): D. Gall, J. Appl. Phys. 119, 085101 (2016), DOI 10.1063/1.4942216(要旨を確認。要旨に数値はない)。39.9 nm の数値は、同論文を引用した M. J. Hagmann の arXiv 論文(arXiv:2304.14910・2310.16860。同じ著者なので、独立 2 件とは数えない)で確認。原論文の表は未確認。独立な別の値: 39 nm(Yarimbiyik ら 2009、NIST 掲載の要旨)、40 nm(Gall ら 2014、AVS 抄録)、3.9×10⁻⁸ m(Ratzinger & Wang, arXiv:2211.00135・Hyperphysics。ドルーデ模型の τ × vF)。
- 〔要旨のみ〕〔書誌のみ〕寸法効果: K. Fuchs, Proc. Camb. Phil. Soc. 34, 100 (1938)〔要旨〕/E. H. Sondheimer, Adv. Phys. 1, 1 (1952)〔書誌のみ〕/A. F. Mayadas and M. Shatzkes, Phys. Rev. B 1, 1382 (1970)〔書誌のみ〕/D. Josell, S. H. Brongersma, Z. Tőkei, Annu. Rev. Mater. Res. 39, 231 (2009)〔要旨〕/D. Gall, J. Appl. Phys. 127, 050901 (2020)〔要旨。粒界の寄与は、結晶粒が線幅の 10 倍より大きければ無視できる〕。厚膜の近似式: Z. V. Stasyuk, J. Phys. Stud. 3, 102 (1999)〔該当節を読んだ〕。
- 〔全文を読んだ〕コンダクタンス量子: NIST CODATA “conductance quantum”(7.748 091 729…×10⁻⁵ S。定義値から決まる厳密な値)/F. Rana, Cornell ECE 407 Handout 28(2009)/Wikipedia “Conductance quantum”・“Landauer formula”・“Ballistic conduction”(補助)。R. Landauer, IBM J. Res. Dev. 1, 223 (1957)〔書誌のみ〕。
- 〔全文を読んだ〕銅の温度係数 ≈ 0.0039 /K: NBS(現 NIST)Misc. Publ. No. 17 “Copper Wire Card”(0.00393 at 20 °C)/Hyperphysics の抵抗率の表(CRC 64th: 0.00393)/Wikipedia(0.00404)/Kanthal C11000 データシート(0.00393〜0.00397)。値の幅は 0.0039〜0.0040 /K。
- 〔全文を読んだ〕抵抗率の温度依存: Hyperphysics “Resistivity and Temperature”/Babeș-Bolyai 大学の講義資料(Bloch–Grüneisen。銅は約 80〜800 K でほぼ直線)/PVEducation “Intrinsic Carrier Concentration”(半導体は、温度で n が増える)。
- 〔該当節を読んだ〕ポインティング・ベクトルの流入: ファインマン物理学 第 II 巻 第 27 章 27–5(抵抗線の段落。公式サイトの本文で確認。27–4 の「場のエネルギーの位置の不定性」も原文で確認)/E. Y. Tsymbal(ネブラスカ大学)講義ノート Section 2「保存則」(−∮S·n da = I²R)/イリノイ大学 Phys 436 Discussion Week 2(Griffiths の Example 8.1 の展開。Griffiths の本は〔書誌のみ〕。「p. 348」は 3 版か、推測)。
- 〔全文を読んだ〕ドルーデ模型の τ(銅、室温): S. Calatroni, CERN Accelerator School 2017 講義録(arXiv:2006.02842)τ ≈ 2.5×10⁻¹⁴ s/Ratzinger & Wang(arXiv:2211.00135)2.46×10⁻¹⁴ s/X. Blase, UGA 講義ノート 2020(273 K で 2.7×10⁻¹⁴ s)。式 σ = ne²τ/m は Wikipedia “Drude model”・Hyperphysics。Ashcroft & Mermin は〔書誌のみ〕(出典の一覧を参照)。
- 開けなかったページ: AIP の論文ページ(403)、Gall 2016 の本文・表、Müller 2012 の TU Braunschweig の PDF(404)、copper.org(403。抜粋のみ)。
- (2026/10/11・第 2 の図)〔自作の計算〕導線の外の電位: 軸対称のラプラス方程式 ∇·(r∇φ) = 0 を、有限体積法と SOR で解いた(
resistfield.js)。一様な導線の厳密解 φ = (A+Bz)·ln(b/r)/ln(b/a)(代入で確かめた)・表面の電荷 σ/ε₀ = φs/(a ln(b/a))・接線の電場の連続・最大値の原理・エネルギーの流れの関数 Ψ = Iφ(S = E×H が等電位線に沿う)・のこぎりの歯の時間平均 = vd を、自作の検算プログラム(非公開)で検算。 - (2026/10/11)〔該当節を読んだ〕抵抗のある内側の導線をもつ同軸ケーブルの、導線のあいだの電位・電場と表面の電荷: K. T. McDonald, “Hidden Momentum in a Coaxial Cable,” arXiv:physics/0312028(プリンストン大学。ar5iv の HTML 版で、式 (6)〜(9) を確認)。電位 V(a<r<b, z) = −IRz·ln(r/b)/ln(a/b)(上の厳密解の B = −IR′・A = 0 の場合と同じ形)、導線の中の電場を、導線に沿う向きにそろえるには、内側の導線の表面に、z とともに変わる電荷 Q(z) が要る、という筋。ポインティング・ベクトルの向き(内側へ)は、同論文の式 (9) の符号から、Claude が読み取ったもの。
- (2026/10/11)〔要旨のみ〕同じ模型で、外の導体にも抵抗があるときの表面の電荷と、ケーブルの外の電場: A. K. T. Assis and J. I. Cisneros, IEEE Trans. Circuits Syst. I 47(1), 63–66 (2000)(著者のページの PDF は、画像のため本文を読めず、検索結果の要約で内容を確認。巻・号・ページは、PDF の URL と Claude の知識による)。
- (2026/10/11)〔該当節を読んだ〕衝突で失うエネルギーが、ジュール熱になる(ドルーデの仮定): M. Kiwi and J. Rössler, “The Drude Model,” Rev. Bras. Ensino Fís. 46 (2024), DOI 10.1590/1806-9126-RBEF-2024-0199(SciELO の公開版。仮定 (d)「衝突は電子の速度を熱平衡に戻し、そのエネルギーの損失が、金属の抵抗による発熱にあたる」)。表面電荷の勾配が中の電場をつくることは、上の Chabay & Sherwood 2019〔要旨のみ〕。ポインティング・ベクトルが表面から入り、I²R に等しいことは、上のファインマン 27–5・Tsymbal の講義ノート。キルヒホッフの電圧則(電圧降下の和 = 電源の電圧)と σ = ε₀E⊥ は、電磁気学の標準的な結果〔Claude の知識・この図の検算で数値を確認〕。
交流では? — 電流は表面に集まり、電圧降下は電流より進む
この図で分かること: 上と同じ回路を、交流で動かしたときの、①太い銅線と中の区間の断面の電流密度(色。その瞬間の向きと大きさ)と、中心から表面までのグラフ、②表皮の深さ δ(白の点線)と、抵抗の増え方、③導線の中の電場(= 単位長さの電圧降下)と電流の位相のずれ、の 3 つです。中の区間の太さ・抵抗率は、上のつまみと連動します。
交流の図の読み方と、式 — 表皮の深さ・内部インピーダンス・エネルギーの出入り
- 表皮の深さ δ = √(2ρ/(ωμ₀))(ω = 2πf)。銅で、50 Hz → 約 9.2 mm、60 Hz → 約 8.4 mm、1 MHz → 約 65 µm、10 MHz → 約 21 µm。抵抗率が高い区間ほど、δ は深くなります(ρ の √ に比例)。
- 断面の電流密度: J(r) = J(a)·J₀(kr)/J₀(ka)、k = (1 − j)/δ(J₀ はベッセル関数。複素数)。表面から深さ d の所では、大きさが約 e−d/δ 倍に減り、位相が約 d/δ ラジアン遅れます(δ ≪ a のとき)。図の断面の色とグラフの実線は、この J の、その瞬間の値です。深い所ほど遅れるので、色の輪が、外から内へ動いて見えます。
- 内部インピーダンス(単位長さ): Z = (ρk/(2πa))·J₀(ka)/J₁(ka)。低い周波数で Z → Rdc = ρ/(πa²)(と、内部インダクタンス μ₀/(8π) の小さなリアクタンス)、高い周波数で Z → (1 + j)ρ/(2πaδ)(抵抗とリアクタンスが等しく、位相 45°)。図の「電圧降下 v」は、導線の表面の電場(導線に沿う成分)× 長さで、Z·I です。
- エネルギーの出入り(模式): 導線の表面を内向きに入る電力(単位長さ)は、その瞬間の v·i です。時間で平均すると ½ I²Rac(熱)。v が i より進んでいるので、1 周期のうちに、v と i の符号が逆の時間があり、そのあいだ、エネルギーは表面から出ていきます(導線の中の磁場に蓄えた分を返す。無効電力 ½ I²ωLi)。緑の矢印は、この v·i の向きと大きさ(規格化)を、表面の 8 か所に同じ長さで描いた模式です。
- 電子: 電子は、その場所の電場に押されて動くので、表面の電子は大きく、中心の電子は小さく、遅れて揺れます(くわしくは、このページの表皮効果の節)。
省いたこと(大きさ): ①導線の外のインダクタンス(回路の形・2 本の間隔で決まる)を含めていません。回路全体の電流と電源の電圧の位相は、ふつう、こちらが大きく効きます(例: 太さ 1 mm・間隔 1 cm の 2 本では、外のインダクタンスは 1 m あたり約 1.2 µH で、低周波の内部インダクタンス 0.05 µH(2 本分 0.1 µH)の約 12 倍〔自作の計算: μ₀/π·arccosh(d/2a)〕)。図の位相は、導線の中の電場と電流の位相だけです。②無限に長い、まっすぐな丸い導線(区間の境目・曲がり角・となりの導線による電流の片寄り(近接効果)は省略)。③準静的(変位電流を無視。銅では ω ≪ σ/ε₀ ≈ 7×10¹⁸ /s なので、誤差は無視できる)。④電子の慣性を無視(ωτ ≪ 1。10 MHz で ωτ ≈ 1.6×10⁻⁶)。⑤抵抗率は、周波数によらない(ドルーデ模型の直流の値)。⑥再生は、周波数によらず、1 周期を 3 秒にした、ゆっくり再生です。⑦数値: ベッセル関数は、|z| ≤ 25 でべき級数、それより大きいと漸近展開(resistac.js)。既知の値(J₀(1)・ber(1)・bei(1))・低い周波数と高い周波数の極限・電流密度の積分 = 電流を、自作の検算プログラム(非公開) で検算。
交流の図の出典
- (2026/10/11)〔全文を読んだ〕表皮の深さの式 δ = √(2ρ/(ωμ))・銅の値(60 Hz で 8420 µm、1 MHz で 65.2 µm、10 MHz で 20.6 µm)・丸い導線の電流密度 J(r) = J(R)·J₀(kr)/J₀(kR)(k = (1−j)/δ)・内部インピーダンス Z = (kρ/(2πR))·J₀(kR)/J₁(kR)・δ が小さいとき Rac/Rdc が半径/δ の半分に近づくこと: Wikipedia “Skin effect”(英語版。版 1305941429。式は、この図の計算で確かめた)。
- (2026/10/11)〔該当節を読んだ〕同じ式(丸い導線の表面インピーダンス Z′ = (1−j)/(2πaσδ)·J₀((1−j)a/δ)/J₁((1−j)a/δ)): Altair Feko のユーザーガイド “SK card”(2021 版。表皮効果とオーム損失)。上の式と、ρ = 1/σ で同じ形。
- 〔自作の計算〕低い周波数・高い周波数の極限(J₀(x)/J₁(x) → 2/x、→ j)・Z = ρJ(a)/I・時間平均の電力 ½I²R・内部インダクタンス μ₀/(8π)(低い周波数の Z の虚部から)・外のインダクタンスの目安・丸い 2 本で帯の中を通るエネルギーの割合(約 67 %)。
自作の検算プログラム(非公開)・自作の検算プログラム(非公開)で検算。 - 〔Claude の知識〕ベッセル関数の漸近展開(ハンケルの展開。Abramowitz & Stegun 9.2.5・9.2.9・9.2.10 の形)と、ケルビン関数の値 ber(1) = 0.98438…・bei(1) = 0.24957…(ber・bei の定義は、J₀(x e3πj/4) = ber x + j bei x)。べき級数で独立に計算した値と、テストで一致を確かめた。
- 〔自作の計算〕この図の電流密度の分布は、このページの表皮効果の節と同じ式(
model.jsの丸い導線の表皮効果の計算)で、値が一致することを、テストで確かめています。
第3層 厳密さと限界 — どこまで正確で、何を省略したか
省略したこと(大きさの目安つき)
省略した効果は、現在の条件での大きさを、第2層の「導線と線路」の表で確かめられます。
| 省略したこと | 影響の大きさ・成り立つ条件 |
|---|---|
| ①の電子(粒)の位置。ns の速い現象では、電流は表皮深さ(µm 程度)の薄い層を流れるので、粒は導線の表面に置いた。粒の速さは大きく拡大し、数は代表 | 電流が導線の中へしみ込む時間は τ ≈ μ₀σa²(a = 0.56 mm の銅で約 24 µs)。それより遅い②では、断面全体を流れる。しみ込む途中(µs〜数十 µs)の電流分布は扱っていない(拡散方程式が必要) |
| 導線の内部インダクタンスと表皮効果。L′ には、導線の外の磁場による分(外部インダクタンス)だけを入れた | 高周波で、導線の半径 a が表皮深さ δ より十分大きいとき成り立つ。低周波・直流では、導線1本あたり μ₀/(8π) = 50 nH/m が加わる(同軸の既定値で L′ の約 2 割)。表に値を表示 |
| 導線の抵抗 R′ と絶縁体の損失 G′。①の波は無損失 | R′ℓ が Z₀ に比べて十分小さいとき成り立つ(表に R′ℓ/Z₀ を表示。既定の 3 m で 0.1 % 程度)。長距離の送電では成り立たない(送電の教材で扱う) |
| 絶縁体は一様で、εr は周波数によらない | 実際のケーブルの絶縁体は、周波数で εr が変わり、損失もある。数値は代表値 |
| 伝送線路の TEM モード。放射、曲がり、接続点の不連続、端効果は無視 | 線の長さと間隔が波長に比べて小さいうちは成り立つ |
| 導線の内部で電場ができる仕組み(導線の表面の電荷の分布)は詳しく扱っていない。導線の中の電場は平均値 E = I/(σA) | 直流・低周波で、導線が一様なとき成り立つ。曲がりや断面の変化では、表面電荷が電場の向きを決める(Chabay & Sherwood) |
| 電子の描像は古典的(ドルーデ模型)。ドリフト速度 I/(neA) と μE は、この模型での結果 | 実際の金属では、伝導電子はフェルミ速度(銅で約 1.6×10⁶ m/s)で動き、電場でそのまわりの分布がわずかにずれる。ドリフト速度の値は、この描像でも同じになる |
| 電池は内部抵抗0の理想電圧源、スイッチは理想、負荷は一定の抵抗。立ち上がり時間は 0.3 ns | 電球の抵抗は温度で変わる。モーター・コイル・コンデンサは、今後の教材で扱う |
| ②の電子の数・熱運動は概念表示。交流は中心位置のまわりの往復 | 直流のドリフトの動きだけ実寸(交流の振れ幅は拡大。既定 ×100) |
| 数値計算の精度: ①は線を 660 マスに分けて波を1マスずつ進める | 解析解(反射を何度も繰り返したあとも)と 10⁻⁹ で一致。ステップ入力は 0.3 ns で滑らかに立ち上げている |
| 「電子を外から押す」操作は、導線の途中に、短い時間だけ直列の起電力(パルス)を入れることで表している | 実際には、アンテナで受けた電波や、電磁誘導が似た働きをする |
| 交流の電流は実効値、負荷は抵抗のみ | コイル・コンデンサがあると、電圧と電流の位相がずれる(今後の教材) |
たとえ話・回路図の限界
水のたとえで説明しきれないこと
- 電流のまわりにできる磁場に、水の管にあたるものは、ありません(①の「磁場」)。
- 水のエネルギーは管の中の水が運びます。電気のエネルギーは、電磁気学では導線のまわりの電場と磁場を通って運ばれると考えます(ポインティング・ベクトル。①の「エネルギーの流れ」)。
- 電圧は、導線のあいだの空間にもできる電場です。水圧は管の中だけの量です。
- 往復 2 本を合わせると電気的に中性で、1 本ずつは、線の静電容量ぶん、わずかに帯電します(電子の偏りは全電子の 10⁻¹³ 倍ほど)。水のたとえでは、この「ごくわずかな偏りで電場ができる」感じが出ません。
回路図の約束と、成り立つ条件
- 回路図は、線の長さを無視してよい(集中定数)ときの簡略図です。①は、その約束を外して、波の伝わりと反射を描いています。
- 線の長さ ℓ が波長 λ より十分短い(目安: ℓ/λ ≦ 0.1)と、回路図で近似できます。交流の検算パネル(第2層)で、①の周波数と家庭の配線(50/60 Hz)を比べられます。
- 50/60 Hz の波長は約 3000〜6000 km(伝わる速さによる)。家庭の配線では、回路図でほぼ正確です。100 MHz で線が 3 m だと波長 2 m に近く、回路図では説明できず、波として扱う必要があります。
量子力学・スピンが関わるところ — 今後の教材の予定
導線の中の電流の「流れ方」は、古典的なドルーデ模型でも、結果(ドリフト速度・抵抗)を再現できます。ただし、なぜそうなるかは、量子力学が必要です。関わるところを、整理しておきます。
- 自由電子と、そのほかの電子。銅は、1 原子あたり 1 個(4s 電子)だけが、結晶の中を自由に動きます。1s〜3p は、原子に束縛された芯電子です。3d 電子は、バンドをつくりますが、バンドが満ちていて(パウリの排他原理)、直流の電流を担いません(ただし、光の吸収・反射には効きます。「電磁場が主役なら、光子が主役?」の節を参照)。電流を担うのは、4s 由来の 1 個です。
- 何が電子の動きを妨げるか。完全に周期的な結晶は、電子(波として)を散乱しません(ブロッホの定理)。抵抗は、(i) 結晶格子の振動(フォノン)、(ii) 不純物、(iii) 欠陥・結晶粒の境界・表面、による散乱が原因です。温度が上がると格子振動が増えて、抵抗率が上がります(室温付近で、ほぼ温度に比例)。電子は、散乱されるまでに、格子定数の約 100 倍進みます(第2層の表)。
- 電流を担うのは、フェルミ面の近くの電子。電子は、パウリの排他原理で、1 つの状態に 1 個(スピン ↑ と ↓ の 2 個まで)しか入れず、エネルギーの低い状態から順に詰まっています。電場がかかると、詰まり方の全体が、ごくわずか(ドリフト速度 ÷ フェルミ速度 ≒ 10⁻¹¹)ずれるだけです。①②で動かしている粒は、このずれを、見やすく大きくしたものです。
- 導体・半導体・絶縁体の違い。電子が詰まっている状態と、空いている状態のあいだのエネルギーの隙間(バンドギャップ)の有無・大きさで決まります。
- スピン。電子のスピンは、(a) パウリの排他原理(上の「2 個まで」)、(b) 強磁性体(鉄など)の磁化の源(変圧器・発電機・モーターの鉄心)に関わります。電線を流れる電流そのものの記述(マクスウェル方程式)には、スピンは直接は出てきません。
- 超伝導(電子が対になって、抵抗が 0 になる)は、ここでは扱いません。
図(案): ①結晶格子とイオンの振動の中を進む電子の波/②エネルギーの準位がバンドになる図(金属・半導体・絶縁体)/③フェルミ球と、電場によるずれ(大きく誇張)/④スピンの向きと、強磁性体の磁化。いずれも、概念図で、誇張した部分は明記します。分子の結合や結晶構造は、化学の教材で扱う予定です。
電磁場が主役なら、光子が主役? — 光子は、導体の外と中で、どう働くか
- 数が、ものすごく多い。光子 1 個のエネルギーは h·f です。50 Hz なら 3.3×10⁻³² J。①の例(12 V・50 Ω、電力 2.88 W)を、光子の数で数えると、毎秒 約 8.7×10³¹ 個。100 MHz でも、約 4.3×10²⁵ 個/秒。これだけ多いと、光子の数のゆらぎは、無視できる大きさになり、古典の場(コヒーレント状態)と、見分けがつきません(コヒーレント状態: R. J. Glauber, Phys. Rev. 131, 2766 (1963)。書誌は確認済み)。個々の光子を数える描像は、この範囲では、ほとんど役に立ちません。
- 導体の外(絶縁体・真空)。往復 2 本の線に導かれた波(TEM 波)を量子化すると、その量子が、線に導かれた「マイクロ波の光子」です。超伝導の回路では、これを、1 個ずつ扱う実験があります(回路量子電磁力学。A. Blais, A. L. Grimsmo, S. M. Girvin, A. Wallraff, Rev. Mod. Phys. 93, 025005 (2021) の総説。書誌は確認済み)。絶縁体の中では、光子は、物質の分極と結びついた状態(ポラリトン)になり、伝わる速さが c/√εr に下がります(このサイトの、場の伝わる速さと同じ話です。〔Claudeの知識〕)。
- 導体の中。金属の中には、電磁場と、電子の集団の動きが、強く結びついています。周波数が、プラズマ周波数(自由電子模型では、銅で ωp ≒ 1.6×10¹⁶ rad/s = 光子のエネルギーで約 11 eV、紫外。実際の銅は d 電子の影響で、反射の変わり目は、もっと低い)より低いと、場は、金属の中へ波として入れず、表面から指数関数的に弱まります(これが、表皮効果の、高い周波数側の姿です)。さらに、ここで扱っている低い周波数(50 Hz〜GHz)では、電子の散乱の頻度(1/τ ≒ 4×10¹³ s⁻¹)より、ずっと遅いので、導体の中の場は、波ではなく、拡散(∇²E = μ₀σ ∂E/∂t)として動きます。光子として走ってはいない、と言えます。導体の表面の層に入った場のエネルギーは、電子に渡されて、ジュール熱になります(量子の言葉では、光子が吸収されて、電子の運動と格子の振動に、エネルギーが移る)。
- 静的な場(直流の電場・磁場)は?量子の理論の計算(摂動論)では、静的な場も、「仮想光子」の交換として、書けることがあります。これは、計算の便利な言い方で、検出できる光子が、飛んでいるわけではありません。静的な場も、場が、基本です(解釈には、諸説があります)。
- では、光子が必要な場面は?1 個ずつ数える実験(光電効果・単一光子・超伝導回路)、原子や半導体の、光の吸収と放出(光のエネルギーが、hf ずつ)、黒体放射、など、エネルギーのやりとりが、1 個ずつになる所です。電線・変圧器・モーターのような、巨視的な電気の話では、必要ありません。
この節の、定性的な説明(場の量子論での光子の位置づけ、金属の中の電磁場とプラズマ周波数)は、標準的な教科書(Jackson、Ashcroft–Mermin など)に書かれている内容ですが、節・式の番号は、まだ確認していません。プラズマ周波数の値は、自由電子模型(n = 8.49×10²⁸ m⁻³)の計算値です。専門家の確認を、お願いします。
「導線」という名前 — 何が、導かれているのか
- 英語の conductor。ラテン語の conducere(con = いっしょに + ducere = 導く)が、語源です(一般的な説明。〔Claudeの知識〕。辞典名は未確認)。電気の分野で、electrical conductor の語を作ったのは、J. T. Desaguliers とされます(1740 年代。王立協会のブログ「Gray and gold」を読んで確認。conductor と insulator の両方を作った、とするのは、Wikipedia の出典のない 1 文だけで、確認できていません。原典 A Dissertation concerning Electricity(1742)は未読)。その土台は、S. Gray の 1729 年ごろの実験で、麻ひもなどをつたって、電気の「力」が、遠くまで伝わることを示しました(Wikipedia・同ブログによる。金属線については、Gray は短い針金しか持たず、金属が導体である意義を理解していなかった、という記述もあり、「金属線」とは言い切れません)。
- 日本語の「導体」「導線」。「導体」は、幕末の蘭学書『気海観瀾広義』(川本幸民 訳述、1851〜58 年)に用例が見え、オランダ語 geleider の訳とされます(『精選版 日本国語大辞典』の用例。辞書サイトで確認。原本は未確認。「不導体」の用例は、片山淳吉『改正増補物理階梯』、1876 年)。つまり、マクスウェル(1861〜65 年)より前からある語で、場の理論から付けた名前ではないと考えられます。明治に入り、物理学の訳語を決める会が、1883〜85 年(明治 16〜18 年)に開かれ、1888 年(明治 21 年)に、東京数学物理学会から『物理学術語和英仏独対訳字書』が出ています(日本物理学会『年表(第二版)』のPDFで確認)。「絶縁体」は、1886 年の『工学字彙』に見えるとされます(辞書の用例による。原本は未確認)。電気工学では、conductor を「導線」「心線」と訳す、といわれます(出典は未確認)。「導線」の初出は、未確認です。「導」は、「みちびく(lead・guide)」を表す字で、conductor の「導く」に、そのまま、対応します。
- 物理のほうの「導く」。電気は、導線の中を流れる、と見るのが、古い見方です。この教材で見たように、エネルギーは、導線のまわりの空間を、場として流れ、導線は、その場を、導いています(導かれた波。往復 2 本なら、TEM 波)。この見方は、導線に沿って進む電磁波の理論(A. Sommerfeld、1899)、被覆した 1 本の線(F. Harms、1907。G. Goubau、1950)、そして導波管(waveguide = 波 + guide)へ、つながっています(検索で確認)。
- つまり、「導線」の名前は、場の理論から付けたのではなく、歴史の名前が、あとから、現代の理解と、よく合った、というめぐり合わせです。名前に引きずられて、「電気(電子)が、導線の中を、導かれて走る」とだけ考えると、導かれているのは、場、という、大事な半分が、見えなくなります。
この節の、語源・年代・人名は、Web 上の資料(Wikipedia・王立協会のブログ・辞書サイト・論文のサイト)で確認した範囲です。原典は、まだ読んでいません。専門家(科学史・日本語史)の確認を、お願いします。
導線と真空は、何が違う? — 電子があることの意味。光子との関係
| 場所 | 場の広がり | 伝わる速さ | 直流・ごく遅い変化 | 電子の役割 |
|---|---|---|---|---|
| 自由空間(真空・空気) | 広がる(点源からは、球面状。電力密度は 1/r²) | c(真空) | 流せない(電荷がない。真空中の電子ビームは、電流を運べる) | いない。放射は、加速された電荷(アンテナ)から出る |
| 往復 2 本の導線 | 導線のまわりに閉じ込められる(長さ方向へ進み、横へ広がらない。TEM 波) | c/√εr(まわりの絶縁体で決まる) | 使える(カットオフがない) | 表面に電荷・電流をつくり、導体の表面で、電場が、(ほぼ)面に垂直になるという条件をつくる。損失は、I²R′ |
| 1 本の導線(表面波) | 裸の線は、ゆるく閉じ込める。被覆や加工で、閉じ込めを強くできる(Sommerfeld 1899、Goubau 1950) | ほぼ c | (戻り道が、別に必要) | 表面の電流が、場を導く |
| 導波管(中空の金属の筒) | 筒の中に閉じ込める | 位相速度は c より速い(情報は運ばない)。群速度は c より遅い(vp·vg = c²) | 使えない(カットオフ周波数より低い波は、通れない) | 壁に流れる電流が、境界条件をつくる |
- 電子があることの意味(導体の中)。導体の中の自由電子は、電場に応じて、すぐに動き、表面に電荷をつくって、導体の中の電場を、ほぼ 0 にします(遮蔽)。この結果、導体の表面では、電場が面に(ほぼ)垂直(接線成分が、ほぼ 0。完全導体の近似で、電流が流れる実際の導線では、接線成分は Ez = I·R′。横向きの電場の 10⁻⁷ 倍ほど(既定の同軸・12 V・50 Ω で約 2×10⁻⁷)で、これが、表面から入って、ジュール熱になる分です)という条件がつき、この条件が、導かれた波の形を決めます。
- 場 ⇄ 電子(相互作用)。電子の動き(電流)が、まわりに磁場を、電荷の分布が、電場をつくります(電子 → 場)。場は、電子を押します(場 → 電子)。この双方向の関係が、電源や負荷で、エネルギーを、場 ⇄ 電子の運動(熱・光・仕事)に変えます。
- 電子が「ない」所(真空・絶縁体)でも、場は伝わります。電子の動き(伝導電流)がなくても、電場の時間変化 ∂E/∂t(変位電流)が、電流の役割をして、波が進みます(マクスウェルが加えた項)。往復 2 本の導線のあいだの絶縁体の中で、回路の電流が、導線の中の伝導電流とあいだの変位電流で、つながっています。絶縁体の中では、電子は、原子に束縛されて、少しだけずれる(分極)ので、波の速さが c/√εr に遅くなります。
- では、電子の有る無しで、何が違うか。「場が伝わる」ことは、どちらも同じです。違うのは、(a) 境界条件(導体があると、場の行き先を決められる)、(b) 電流が流れること(エネルギーを、取り出し、つぎ込み、熱にする)、(c) 導体の中では、場が入れず、表皮に集まること、の 3 つです。
- 光子との関係。真空では、自由な光子(場の励起の単位。横波、速さ c)として、広がります。往復 2 本の導線では、導かれた光子(TEM モードの量子。マイクロ波の光子)になります。導体の中では、光子は走れず、電子に吸収されて、ジュール熱になります。電子と光子は、エネルギー・運動量をやりとりします(吸収・放出)。電子が加速されると、光子(電磁波)が放射されます(アンテナ。放射の電力は、加速度の 2 乗に比例: ラーモアの公式)。直流の場は、光子が飛んでいる、というより、場そのものです(前の節)。
この節の、定性的な説明(境界条件、遮蔽、変位電流、導波路のカットオフ)は、標準的な教科書(Jackson の導波路・境界値問題の章など)の内容ですが、節・式の番号は、まだ確認していません。導波管の群速度・位相速度の関係は、一般的な事実です。専門家の確認を、お願いします。放射の電力が加速度の 2 乗に比例することは、このサイトで、遅延場から検算しています(自作の検算プログラム(非公開)。ラーモアの公式との一致)。
高周波と絶縁体・導波管・光ファイバー — 導線を流れるだけではない、という裏付け
| 構造 | 導体 | 絶縁体 | 伝わるもの・注意 |
|---|---|---|---|
| 往復 2 本の線(平行 2 線・同軸) | 2 本 | なくてもよい(空気・真空でも) | TEM 波(進行方向に垂直な向きにだけ電場と磁場がある波)。導体に導かれる TEM 波には、導体が 2 本以上要る(中空の 1 導体の導波管には、TEM 波は存在できない。自由空間の平面波は、導体なしの TEM 波。Wikipedia「Waveguide (radio frequency)」を読んで確認) |
| 1 本の裸の導線 | 1 本 | 不要 | 表面波(ゾンマーフェルト波)。良い導体では、場が導線から遠くまで広がり、ほとんど閉じ込められない。テラヘルツ帯では、低損失・低分散で導けた実験がある |
| 被覆した 1 本の導線(ゴーボー線) | 1 本 | 被覆が必要 | 被覆や表面の加工で、場の広がりを制御できる |
| 中空の金属管(導波管) | 管 | 不要(中は空気) | TE・TM モード。カットオフ周波数より低いと伝わらない。例: 幅 a = 22.86 mm(WR-90)の長方形導波管で、fc = c/2a ≒ 6.56 GHz。電流は、管の壁の表面を流れる |
| 光ファイバー | なし | ガラス(誘電体)だけ | 光(電磁波)が、屈折率の差で閉じ込められて伝わる |
| 電波(無線) | アンテナ | 不要 | 空間を、場の波として広がる(2D 版で、広がる様子を確かめられます) |
「高周波の信号は、導体のまわりに絶縁体がないと伝わらない」という話は、このうち、「1 本の裸の導線では、場を閉じ込められず、実用が難しい」「被覆(絶縁体)で場を閉じ込める」という点に当たると考えられます。ただし、絶縁体そのものが必要なのではなく、往復 2 本の線や導波管のように、場を導く構造があれば、まわりが空気でも伝わります。
この話を、どこで見聞きされたかは、特定できていません。ここでの記述は、下の一次文献・教科書に基づいています。出典(書誌情報)は、参考文献の一覧にあります。
出典の確認状況 — 出典があっても、疑う
「エネルギーは導線の外を流れる」という説明は、教科書にも、動画やウェブの解説にもあります。ここでは、何についての主張か(エネルギーか、電荷か)、前提は何か(定常か、理想的な導体か)、定義に不定性はないかを確かめたうえで、出典と、確認できたかどうかを、分けて書きます。
| 主張 | 出典 | 確認状況 |
|---|---|---|
| 電気のエネルギーは、導線のまわりの電場と磁場を流れる。抵抗のある導線には、表面から半径方向に入って、熱になる | J. H. Poynting (1884)。ファインマン物理学 第II巻 第27章 “Field Energy and Field Momentum”(抵抗線の例)。Griffiths、Jackson の教科書 | ファインマンの該当部分(抵抗線に、ポインティング・ベクトルが半径方向の内向きで、熱に等しいエネルギーが入る)は、27–5 の原文で確認(2026/10/10。公式サイトの本文)。Poynting と教科書は、書誌のみ(未再確認) |
| エネルギー密度とエネルギーの流れの定義には、不定性がある(発散が 0 のベクトルを足しても、保存則は変わらない) | ファインマン物理学 第II巻 第27章。K. T. McDonald, “Alternative Forms of the Poynting Vector”。“Does the Poynting vector always represent electromagnetic power flow?”(arXiv:1507.07804) | 題名と、ファインマンの該当部分の要旨は、検索で確認。McDonald と arXiv の中身は、精読していない |
| 「電流のエネルギーは電線の外を流れる」(記事。運営者が示した参考資料) | 松田卓也、「電流のエネルギーは電線の外を流れる」、NPO法人知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん(基礎科学研究所)「科学の散歩道」、2011/3/10。解説記事で、査読論文ではありません | 読んだ(取得した要約による。原文の細部・引用の正確さは未確認)。主張を、下の表で一つずつ検証した。参考文献のうち、Galili & Goihbarg (2005) と Heald (1984) は、書誌と要旨を検索で確認 |
| 日本語の動画(YouTube の先生の解説) | (どの動画か、特定できていない) | 未確認。特定できたら、何を主張しているか(エネルギーか、電荷か)を、上の点で確かめて、ここに追記する |
参考にした記事(松田 2011)の主張の検証
記事の内容は、取得した要約に基づきます(原文の細部は未確認)。判定: ○=この教材の式・数値、または標準的な物理と一致/△=条件つきで正しい、または誤解を招く/未確認=確かめられていない/たとえ=定量的な裏づけのない比喩。
| 記事の主張 | 検証 | 判定 |
|---|---|---|
| 1 A・直径 1 mm の電線で、電子のドリフト速度は 0.1 mm/s 程度 | vd = I/(neA) で、約 0.094 mm/s(検算テストあり)。「カタツムリより遅い」も妥当 | ○ |
| 電流の「速さ」は光速に近い(スイッチの影響が速く伝わる) | 場の変化の伝わる速さは、c/√εr(同軸ケーブルで光速の約 66 %)。「光速に近い」は正しいが、光速そのものではない。なお、「電流の速さ」という言い方は、ドリフト速度と紛らわしい。「信号(場の変化)の伝わる速さ」が、正確な言い方 | ○(用語に注意) |
| 水のたとえ(ところてん式)では、伝わる速さは水中の音速(約 1500 m/s)程度で、電流は説明できない | 水中の音速は約 1500 m/s(柔らかい管では、もっと遅い)。もし、短距離の接触力だけで押し合うなら、速さは電子自身の速さ(フェルミ速度 約 10⁶ m/s)程度が目安。実際の信号(2×10⁸ m/s)は、それより 100 倍以上速い。電子どうしの力も、場を通して伝わる(遅延を含む)ので、「電子が押す」と「場が伝わる」は、同じことの 2 つの言い方。信号の速さを決めるのは、場の伝わる速さ(このページの「伝わるのは場」) | ○ |
| エネルギーは、導線の中ではなく、導線のまわりの空間を運ばれる | 電磁気学の標準的な記述(ポインティングの定理)。導線の表面から入る電力 = I²R′(検算テストあり)。Galili & Goihbarg (2005) の要旨も、エネルギーは、電池の端子から主に導線の近く(導線の中ではなく)を通って負荷へ流れ、負荷で熱になる、と述べている。ただし、局所的な「流れ」の定義には不定性がある(記事の要約には、この点への言及が見当たらない) | ○(不定性に注意) |
| 同軸ケーブルでは、エネルギーと信号は、導体の中ではなく、誘電体の中を電磁波として運ばれる | 環状の誘電体で、ポインティング・ベクトルを積分すると V·I になる(検算テストあり)。導体の中を軸方向に流れる分は、完全導体なら 0。「電磁波として」は、導線に導かれた波(TEM 波) | ○ |
| フェルミ速度は、光速の 1 % 程度 | 銅では約 0.52 %(1.57×10⁶ m/s。検算テストあり)。桁は合うが、「1 %」は 2 倍ほど大きめ | △(桁は一致) |
| 導線は帯電している | 導線には、表面電荷があり、電場をつくる(Heald 1984 など。このページの電荷の表示も、導線上の局所的な+と−)。往復 2 本を合わせると中性だが、1 本ずつは、線の静電容量ぶん、わずかに帯電している(例: 100 pF/m・12 V で、1 m あたり約 1.2 nC。全電子の 10⁻¹³ 倍ほど)。さらに、表面電荷は、長さ方向にも分布をもつ | ○(意味に注意) |
| 発電所から家庭への電気は、「細い電線を通じてではなく、電線とアースの間の空間を、電磁波として流れてくる」 | エネルギーが、導線のまわりの空間を流れる、という部分は標準的。ただし、誤解を招く: (a) 導線がなければ流れない。導線が、場の通り道(境界条件)を決める。(b) 「電磁波」は、導線に導かれた波で、アンテナのように放射するのではない(50 Hz の波長は約 6000 km で、送電線の長さに比べて、とても長い)。(c) 「アースとの間」だけでなく、導線どうし(三相は 3 本のあいだ)も含む | △(要注意) |
| ファインマン: 電子は、導線の中で押された電場ではなく、遠い電荷から来た電場で駆動される。エネルギーは、導線の外から流れ込む | 後半(エネルギーが外から流れ込む)は、ファインマン第 II 巻第 27 章 27–5 の抵抗線の例と一致(2026/10/10 に原文で確認)。前半は、導線の中の電場が、導線の表面の電荷の分布でできる(Heald、Chabay & Sherwood)こととは矛盾しない。ただし、前半がファインマンのどの箇所の主張かは、まだ確かめていない | 未確認 |
| 空間がゴム紐のように緊張し、スイッチで空間がピンと張る。電灯近くの緊張が解放されて光になる | 電場・磁場に、力線に沿った張力と、垂直な方向の圧力がある、という描像(マクスウェルの応力)は、静的な場の力の計算では正確。しかし、この文章全体は比喩で、定量的な裏づけはない | たとえ |
| 今井功、原康夫、Beaty、Furry Elephant、Wikipedia などの引用 | 記事が挙げているもので、こちらでは読んでいない | 未確認 |
評価: 記事の中心の主張(エネルギーは導線のまわりの空間を流れる/電子のドリフトは遅く、信号は速い)は、標準的な物理と一致します。一方で、「電線を通じてではなく」「電磁波として」のような言い方は、導線の役割を軽く見せるので、誤解を招きます。導線は、電流(電荷)の通り道であり、かつ、場の通り道を決める役目をします。比喩の部分は、物理の根拠としては使いません。
この教材の検算が確かめていること/いないこと
- 確かめていること: 式の内部の整合。例: ポインティング・ベクトルを断面で積分すると V·I になる、導線の表面から入る電力が I²R′ に等しい、数値シミュレーションが解析解と一致する。
- 確かめていないこと: 「エネルギーが、実際に、その場所を、そう流れている」という解釈そのもの。ポインティング・ベクトルによる「流れ」の描像は、保存則と、測れる量(電力)とは矛盾しませんが、局所的な流れの定義には不定性があります。
出典を読むときに、確かめること
- 何が流れると言っているか。「エネルギーが導線の外を流れる」は標準的な記述ですが、「電流(電子)が導線の外を流れる」「電子は信号に関係ない」は誤りです。
- 前提。定常か、過渡か。理想的な導体か、損失があるか。2 本線か、1 本か。
- 実験・計算で確かめられているか。たとえば、長いループの電球が、どれだけ早く点くかのような過渡の議論は、線路の特性(インピーダンス・反射)で結果が変わり、見解が分かれます。①の数値シミュレーションで、条件ごとに確かめられます。
理解の歴史 — どうして、このようにわかってきたか
年代・人名は、広く知られた科学史の通説です。この教材では、書誌(論文・書籍)を確認できたものと、確認していないものを、区別して書きます。確認できた書誌は、参考文献の一覧にあります。
| 時代 | 出来事(実験/理論) | わかったこと | 残った疑問・見方 |
|---|---|---|---|
| 〜18世紀 | 静電気の研究、クーロンの法則(1785、実験)、ボルタ電池(1800、実験) | 電荷の間に力がはたらく。電池で、持続する電流がつくれる | 力は、離れた物体に直接はたらく(遠隔作用)と考えられた |
| 1820 | エルステッド:電流のまわりで、磁針が振れる(実験)。アンペール:電流どうしの力(1820〜26) | 電流が磁場をつくる。電気と磁気はつながっている | やはり、遠隔作用の考え方が主流 |
| 1831 | ファラデー:電磁誘導(実験)。「力線」の考え | 磁場が変わると、電場(起電力)が生じる。空間そのものが状態(場)をもつ、という直感 | 「場」は、まだ、数式にはなっていない。遠隔作用との対立 |
| 1861〜65 | マクスウェル:ファラデーの考えを数式化し、変位電流を導入(理論)。電磁波の存在と、その速さが光の速さに等しいことを予言 | 電場と磁場は、一体の場として、波として伝わる。光は電磁波。場は、空間を、有限の速さで伝わる | 波を伝える「エーテル」が必要か、という疑問 |
| 1880年代 | ポインティング(1884):エネルギーの流れのベクトル。ヘヴィサイド:マクスウェル方程式を現在の形に整理(1884〜85。電信方程式は、1876 年の論文から。Wikipedia「Telegrapher's equations」で確認)。ヘルツ(1887〜88):電磁波を実験で確認 | エネルギーは、導線のまわりの空間を流れる。場は、実在し、波として伝わる | エネルギーの流れの「局所的な」定義は、一意ではない(後述) |
| 1890年代〜1900 | ローレンツの電子論、J. J. トムソンによる電子の発見(1897、実験)、ドルーデの金属の電子模型(1900) | 物質中の電流は、電子の運動。電子が、場の源となり、場の力(ローレンツ力)を受ける。金属の電気伝導が、自由電子で説明できた | 電子は、古典的な粒として扱われた(量子論以前) |
| 1905 | アインシュタイン:特殊相対性理論(理論) | マクスウェル方程式は、どの慣性系でも同じ形。電場と磁場は、見る系で混ざり合う、同じ場の2つの面。エーテルは不要で、場そのものが実在 | — |
| 1920年代 | 量子力学(パウリの排他原理 1925、ディラックのスピン 1928、ブロッホのバンド理論 1928〜29 など) | 金属の電子は、波として、結晶の中を進み、フェルミ面の近くの電子が電流を担う。完全な結晶は電子を散乱しない。導体・半導体・絶縁体の違いは、バンド構造で決まる | 古典的なドルーデ模型は、結果の一部(ドリフト速度・抵抗)は再現するが、理由は量子論が必要 |
| 1940年代〜 | 量子電磁力学(朝永・シュウィンガー・ファインマンら) | 電磁場も量子化され(光子)、電子どうしの力は、場を介して(光子の交換として)記述される。古典のマクスウェル方程式は、その、大きな系での極限 | 「光子の交換」の描像の解釈(仮想粒子は計算の道具か)は、今も議論がある |
| 1959 | アハラノフ・ボーム:磁場がない所でも、電磁ポテンシャルが、電子の量子的な干渉に効く(理論。同じ効果は、Ehrenberg と Siday が 1949 年に先に予言。実験は Chambers 1960、決定的な確認は外村 1986。Wikipedia「Aharonov–Bohm effect」で確認) | 古典では「場」で十分だが、量子では、ポテンシャル(のループの位相)が効く | 場とポテンシャルのどちらが基本か、は解釈が分かれる |
| 1984〜2010 | 回路の表面電荷とエネルギーの流れの研究(Heald 1984、J. D. Jackson 1996、Galili & Goihbarg 2005、Harbola 2010 など) | 導線の表面電荷が、導線の中の電場の向きを決める。エネルギーは、主に導線のまわりの空間を、電池から負荷へ流れる。定量的にも確かめられた | どの語り方を教えるか(場/電子)は、教育の分野で議論されている |
| 2000年代〜 | 導波路・材料の研究(裸の金属線でテラヘルツ波を導く 2004、メタマテリアルなど)、トポロジカル物質 | 場を閉じ込める構造の設計が、高周波・光の伝送を決める。物質によっては、電流が物質の表面や端を流れる(トポロジカル絶縁体・量子ホール効果などの描像) | 「電流は、どこを流れるか」は、今も、物質ごとに答えが変わる研究テーマ |
理解のつながり: このページの「電場が電子を押し、動いた電子が電場をつくる」は、ファラデー・マクスウェル(場)と、ローレンツ・ドルーデ(電子)の、2つの流れが合わさったものです。「ところてん式(隣へ手渡し)」は、力が接触で隣へ伝わるという、素朴な近接作用の像です。歴史的な対立は、瞬時の遠隔作用か、有限の速さで伝わる場かで、ヘルツの実験(有限の速さで伝わる波)は、後者を確かめました。ただし、場を独立の実体とせず、電荷どうしの遅延した直接作用で書く定式化(J. A. Wheeler と R. P. Feynman、1945・1949。Wikipedia「Wheeler–Feynman absorber theory」を読んで確認)もあり、予言は同じです。場を実在とみる理由としては、放射がエネルギーと運動量を運び去ることが、よく挙げられます(〔Claudeの知識〕。異論あり)。
諸説・異論 — 先端の議論を含む
主流の見方と、異論・別の見方を、並べて書きます。「確認状況」は、2026/10/03 時点で、こちらが書誌・内容を確かめられたかどうかです。
| 論点 | 主流の見方 | 異論・別の見方・注意 | 参考・確認状況 |
|---|---|---|---|
| エネルギーの局所的な流れの定義 | ポインティング・ベクトル S = E × H が、エネルギーの流れ。保存則と、測れる全電力(V·I など)と矛盾しない | 発散が 0 のベクトル(回転)を S に足しても、保存則は変わらない(不定性)。そのため、「エネルギーが、そこを、実際にそう流れている」という局所的な像は、解釈の問題。ポインティング・ベクトルが、常に電力の流れを表すか、という検討もある | ファインマン第II巻第27章、K. T. McDonald、arXiv:1507.07804。ファインマン 27–4 は原文で確認(2026/10/10)。McDonald は、冒頭 3 ページと脚注を読んだ(全文は未読) |
| 「エネルギーは導線のまわり」か「電子が運ぶ」か | 輸送の経路は、場(導線のまわりの空間)。電子には、局所的に、J·E で渡される | 電荷(電子)が電位エネルギー(qV)を運び、負荷で手放す、と語る教え方もある(回路論・初等教科書の標準的な語り。ドリフトの運動エネルギーは、無視できるほど小さい)。全電力 V·I は同じで、局所的な「どこを流れるか」の語りが異なる。教育の分野で、どう教えるかが議論されている | Galili & Goihbarg (2005)、Harbola (2010)、J. D. Jackson (1996)。書誌・要旨を確認(Jackson 1996 は、Am. J. Phys. 64(7), 855–870 を確認) |
| 導線の中の電場は、何がつくるか | 導線の表面電荷(と電池)の分布が、導線の中の電場を決める | 初等の教科書では、表面電荷に触れないことが多く、「電池が電場をつくる」とだけ書かれる。導線の形が複雑だと、表面電荷の分布は、数値で求めるしかない | Heald (1984)。書誌・要旨を確認。Chabay & Sherwood の教科書は未再確認 |
| 場とポテンシャルの、どちらが基本か | 古典電磁気学では、場(E, B)で十分。ポテンシャルは、ゲージの自由度をもつ | 量子論では、場が 0 の領域でも、ポテンシャルが、電子の干渉に効く(アハラノフ・ボーム効果)。これを、場の非局所性とみるか、ポテンシャルの実在性とみるかなど、解釈が分かれる | Aharonov & Bohm (1959)。書誌を確認。解釈の議論の文献(arXiv:2509.19407 など)は、題名のみ確認 |
| 誘電体(絶縁体)の中の、光の運動量 | 電磁場のエネルギーと運動量の、媒質中での表し方 | アブラハムとミンコフスキーが、約 100 年前に、異なる式を提案。どちらかが正しいのでなく、「どの電磁場のテンソルも、単独では完全でない(物質側の寄与とあわせて、はじめて保存則が成り立つ)」というのが、2007 年の総説の結論。このページでは、絶縁体は、波の速さと Z₀ を決める量(εr)としてだけ扱う | Pfeifer ほか (2007)。書誌・要旨を確認 |
| 電子の描像(古典か量子か) | ドリフト速度と抵抗は、ドルーデ模型(古典)で、桁が合う。理由は量子論(フェルミ面・バンド・散乱) | ドルーデ模型は、電子の熱的な性質(比熱など)では、結果が合わない。電子の速さの見積り(熱速度か、フェルミ速度か)も、古典と量子で、桁が違う。このページは、両方の数値を並べている | Ashcroft & Mermin の教科書。書誌のみ(未再確認) |
| 電子間の力の「光子の交換」という描像 | 量子電磁力学では、電子どうしの力は、光子の交換として計算される | 「仮想光子」が、実在する粒か、計算の道具かは、解釈が分かれる。このページの、場を介した力という説明(古典的な場)は、その、大きな系での極限 | 標準的な量子場の教科書の話題。具体的な文献は未確認 |
| 裸の 1 本の導線で、高周波が伝わるか | 表面波(ゾンマーフェルト波)が伝わるが、良導体では、場が広がり、ほとんど閉じ込められない。被覆や加工で、閉じ込めを制御できる | テラヘルツ帯では、裸の金属線が、低損失・低分散で、導波路になった実験がある。「難しい」の程度は、周波数と構造による | Sommerfeld (1899)、Goubau (1950)、Wang & Mittleman (2004)。書誌を確認 |
このページ自体の、不確かさ
- 歴史の表は、広く知られた科学史の通説で、一次資料(原論文)を、ひとつずつは確認していません。年代・人名は、専門家のレビューで確かめる必要があります。
- 「諸説」の表の、「異論・別の見方」は、確認できた文献の題名・要旨にもとづきます。本文を精読していないものは、そう書きました。
- 先端の議論は、日々、更新されます。最新の状況は、論文で確かめてください。
議論のある点・注意
- 「流れているのは、導線の中か、まわりか」: 電荷(電流)の流れは導体の中、エネルギー(電磁場のエネルギー)の流れは導線のまわりの空間が主で、別の量について述べているので、矛盾しません。完全導体なら、導線の中へ入るエネルギーは 0 で、すべてがまわりの空間を流れます。
- エネルギーの流れ: ポインティング・ベクトルは、エネルギー保存則を満たす定義のひとつです(回転を加えても保存則は変わらない、という不定性が知られています)。伝送線路では、断面で積分した流れが V·I になり、測れる量(電力)と一致します。①の表示は、この意味での「流れ」です。
- 「電子が隣の電子を押して伝える」という説明(ところてん式)は、このページでは採りません。電子どうしの力も場を介して伝わり(遅延を含む)、信号の速さは電子の速さではなく、絶縁体で決まる場の伝わる速さです。一方で、電子が関わらない(場だけが伝わる)という説明も採りません。電子は、場の源であり、場に応答するものです。
- 「電子は流れていない」「電場だけが伝わる」といった断定的な説明は、このページでは採りません。電子の動き(電流)と、電場・磁場の両方が必要で、互いに影響し合う、という立場です。
- 内容は、専門家のレビューを受けていません。間違いや不正確な点を見つけたら、教えてください。
出典・参考文献
このサイトは、Claude(Anthropic の AI)の支援で作っています(Powered by Claude)。できる限り Web で裏づけを取りましたが、限界があります。間違いがあれば、教えてください(お問い合わせのページから)。紙の書籍は、読んでいません。
確認の種別(各項目の頭のタグ): 〔全文を読んだ〕 URL・PDF を開いて、本文を読んだ / 〔要旨のみ〕 検索結果・要旨・解説ページだけを見た / 〔書誌のみ〕 著者・題名・誌名・巻・ページを、検索で確認した(本文は未読) / 〔Claudeの知識〕 Claude の学習済みの知識による(Web では裏づけを取れていない。書誌も未確認。本文は未読) / 〔未確認〕 書誌や対応する章・節が、記憶による推定で、確かでない。〔自作の計算〕は、このサイトのコードでの計算と、その検算テスト(非公開)。確認日: 2026/10/03。確認は、Claude(照査を担当した AI を含む)が、URL を取得して行いました。動画(YouTube など)は、参考にしていません。本文中の数値・定性的な説明のうち、出典の表示がないものは、〔Claudeの知識〕または〔自作の計算〕です(個別のタグ付けは、これから)。
〔Claudeの知識〕の項目は、「標準的な教科書・文献に載っている結果の所在」を示す関連文献です。読んだものではなく、内容の裏づけとしては、弱いものです(章・節・式番号は、確認していません)。主張の裏づけは、〔自作の計算〕(検算つき)と、〔書誌のみ〕〔要旨のみ〕〔全文を読んだ〕で確認した範囲です。〔Claudeの知識〕〔未確認〕のものは、Web で確認できるまで、断定の根拠にしません。
- 〔書誌のみ〕書籍。書誌は検索で確認(2026/10/03、照査)。本文は未読で、内容・章節は未確認:J. D. Jackson, Classical Electrodynamics, 3rd ed., Wiley (1999)(マクスウェル方程式、ポインティングの定理、表皮効果)。
- 〔書誌のみ〕書籍。書誌は検索で確認(2026/10/03、照査)。本文は未読:D. J. Griffiths, Introduction to Electrodynamics, 4th ed., Cambridge University Press (2017)(電磁誘導、ポインティング・ベクトル、回路のエネルギー)。抵抗線へのエネルギー流入(Example 8.1)は、講義資料(ネブラスカ大学 Tsymbal・イリノイ大学 Phys 436)で、内容を確認(2026/10/10)。
- 〔書誌のみ〕書籍。書誌は検索で確認(2026/10/03、照査)。本文は未読で、内容・章節は未確認:D. M. Pozar, Microwave Engineering, 4th ed., Wiley (2011)(伝送線路の理論、同軸・平行2線の L′・C′・Z₀)。
- 〔書誌のみ〕書籍。書誌は検索で確認(2026/10/03、照査)。本文は未読で、内容・章節は未確認:R. Chabay and B. Sherwood, Matter & Interactions, 4th ed., Wiley (2015)(回路中の表面電荷と電場)。
- 〔書誌のみ〕書籍。書誌は検索で確認(2026/10/03、照査)。本文は未読で、内容・章節は未確認:N. W. Ashcroft and N. D. Mermin, Solid State Physics, Holt, Rinehart and Winston (1976)。出版社は、照査で補正(Saunders は後の刷り)(ドルーデ模型、銅の電子密度)。
- 〔書誌のみ〕検索で確認:A. Sommerfeld, “Über die Fortpflanzung elektrodynamischer Wellen längs eines Drahtes,” Ann. Phys. Chem. (Neue Folge) 67, 233–290 (1899)(裸の 1 本の導線に沿う表面波)。
- 〔書誌のみ〕検索で確認:G. Goubau, “Surface waves and their application to transmission lines,” J. Appl. Phys. 21, 1119–1128 (1950)(被覆・加工した 1 本の導線で、場の広がりを制御する)。
- 〔要旨のみ〕抄録を確認(Semantic Scholar。Nature 本体は未取得):K. Wang and D. M. Mittleman, “Metal wires for terahertz wave guiding,” Nature 432, 376–379 (2004)(裸の金属線で、テラヘルツ波を低損失で導く)。
- 〔要旨のみ〕Wikipedia・ブログ記事(二次資料)。原典は未確認:「導線」「conductor」の語源・歴史: J. T. Desaguliers(Wikipedia)、Stephen Gray(Wikipedia)、Gray and gold(王立協会のブログ、2020)、Goubau line(Wikipedia)。いずれも、検索で確認した範囲(原典は未確認)。
- 〔要旨のみ〕APS の抄録で確認:R. J. Glauber, “Coherent and incoherent states of the radiation field,” Phys. Rev. 131, 2766–2788 (1963)(コヒーレント状態。巨視的な場と光子の関係。書誌は確認済み)。
- 〔要旨のみ〕APS の抄録で確認:A. Blais, A. L. Grimsmo, S. M. Girvin and A. Wallraff, “Circuit quantum electrodynamics,” Rev. Mod. Phys. 93, 025005 (2021)(超伝導線路の、マイクロ波の光子。書誌は確認済み)。
- 〔書誌のみ〕書誌は検索で確認(DOI 10.1098/rstl.1884.0016)。本文は未読(全文は archive.org にあるが未読):J. H. Poynting, “On the transfer of energy in the electromagnetic field,” Phil. Trans. R. Soc. Lond. 175, 343–361 (1884)(エネルギーの流れ)。
- 〔書誌のみ〕書誌は検索で確認。本文は未読:K. C. Kao and G. A. Hockham, “Dielectric-fibre surface waveguides for optical frequencies,” Proc. IEE 113, 1151–1158 (1966)(光ファイバー)。
- 〔該当節を読んだ〕R. P. Feynman, R. B. Leighton and M. Sands, The Feynman Lectures on Physics, Vol. II, Chapter 27 “Field Energy and Field Momentum”(Addison-Wesley, 1964。公式サイト)。2026/10/03 は題名・要旨のみ。2026/10/10 に、公式サイトの本文で、27–4・27–5(抵抗線の例)の原文を確認。
- 〔要旨のみ〕抄録を確認(要旨・出版社の抄録ページ):I. Galili and E. Goihbarg, “Energy transfer in electrical circuits: A qualitative account,” Am. J. Phys. 73, 141–144 (2005)(回路のエネルギーが、主に導線のまわりを流れること。表面電荷のモデル)。
- 〔要旨のみ〕AIP の抄録ページで確認:M. A. Heald, “Electric fields and charges in elementary circuits,” Am. J. Phys. 52, 522–526 (1984)(回路の導線の表面電荷と、まわりの電場)。
- 〔要旨のみ〕解説記事。本文を取得し、取得ツールの要約で確認(逐語の精読ではない):松田卓也、「電流のエネルギーは電線の外を流れる」、NPO法人知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん「科学の散歩道」(2011)(記事)。解説記事。主張は上の表で検証した。
- 〔要旨のみ〕抄録を確認(要旨・出版社の抄録ページ):M. K. Harbola, “Energy flow from a battery to other circuit elements: Role of surface charges,” Am. J. Phys. 78, 1203–1206 (2010)(電池から抵抗へのエネルギー輸送と、表面電荷の役割)。
- 〔要旨のみ〕書誌・要旨を Crossref・Semantic Scholar で確認(2026/10/10。AIP の本文ページは 403 で、本文は未読):J. D. Jackson, “Surface charges on circuit wires and resistors play three roles,” Am. J. Phys. 64(7), 855–870 (1996), DOI 10.1119/1.18112(表面電荷の 3 つの役割: 回路の電位を保つ・導体の外の電場をつくる・電流を導線の中に閉じ込める。ポインティング・ベクトルの図で、電池から抵抗へのエネルギーの流れを示す)。
- 〔要旨のみ〕要旨を Crossref・OpenAlex・Semantic Scholar で確認(2026/10/10。本文は未読):R. Müller, “A semiquantitative treatment of surface charges in DC circuits,” Am. J. Phys. 80(9), 782–788 (2012), DOI 10.1119/1.4731722。R. Chabay and B. Sherwood, “Polarization in electrostatics and circuits: Computing and visualizing surface charge distributions,” Am. J. Phys. 87(5), 341–349 (2019), DOI 10.1119/1.5095939(要旨: 「単純な回路では、表面電荷のほぼ一定の勾配が、回路素子の中の電場をつくる主な役割をもつ」)。N. W. Preyer, Am. J. Phys. 68(11), 1002–1006 (2000), DOI 10.1119/1.1286115。〔該当節を読んだ〕B. A. Sherwood and R. W. Chabay, “A unified treatment of electrostatics and circuits”(原稿 1999、matterandinteractions.org)/H. Härtel, “Basics about the Electric Circuit” §2.4(キール大学)。第 2 層「細い線・抵抗が高いと、なぜ流れにくい?」で参照。
- 〔要旨のみ〕銅の電子の平均自由行程: D. Gall, “Electron mean free path in elemental metals,” J. Appl. Phys. 119, 085101 (2016), DOI 10.1063/1.4942216(要旨を確認。要旨に数値はない)。銅 39.9 nm は、M. J. Hagmann の arXiv:2304.14910・arXiv:2310.16860 の引用で確認(同じ著者。2026/10/10)。原論文の表は未確認。独立な別の値: 39 nm(Yarimbiyik ら 2009)、40 nm(Gall ら 2014 の AVS 抄録)、3.9×10⁻⁸ m(Ratzinger & Wang, arXiv:2211.00135)。細い配線で、表面・粒界の散乱が抵抗率を上げることは、Fuchs 1938(要旨)・Josell ら 2009(要旨)・Gall 2020(要旨)で確認。
- 〔書誌のみ〕検索で確認:Y. Aharonov and D. Bohm, “Significance of electromagnetic potentials in the quantum theory,” Phys. Rev. 115, 485–491 (1959)。
- 〔要旨のみ〕抄録を確認(要旨・出版社の抄録ページ):R. N. C. Pfeifer, T. A. Nieminen, N. R. Heckenberg and H. Rubinsztein-Dunlop, “Colloquium: Momentum of an electromagnetic wave in dielectric media,” Rev. Mod. Phys. 79, 1197–1216 (2007)(アブラハム・ミンコフスキー論争の総説。正誤表: RMP 81, 443 (2009))。
- 〔要旨のみ〕冒頭 3 ページと脚注を読んだ(全文ではない):K. T. McDonald, “Alternative Forms of the Poynting Vector,” Princeton University, 2018/7/13(2025/10/15 更新)(PDF)。エネルギーの流れの定義の不定性(Heaviside 1887 と Feynman II-27-4 を引用)。著者は、2025 年の脚注 4 で、「分極・磁化電流を含めれば S = (c/4π)E×B に落ち着き、代替形の論争は、おおむね重要でない」と述べている。
- 〔要旨のみ〕arXiv の要旨を読んだ:C. Wang, “Does the Poynting vector always represent electromagnetic power flow?” arXiv:1507.07804(Optik 126, 2703–2705 (2015))。無損失・異方性媒質の平面波についての、単著の主張で、導線の回路の議論とは距離がある。
- 〔未確認〕章の対応も記憶による:J. D. Jackson(第 8 章: 導波管と共振器)、D. M. Pozar(第 3 章: 伝送線路と導波管): TEM 波が導体 2 本以上で存在すること、導波管のカットオフ周波数。
- 〔要旨のみ〕APS の抄録ページで書誌を確認。値の照合は、まだ(NIST の定数ページで照合する):E. Tiesinga et al., “CODATA recommended values of the fundamental physical constants: 2018,” Rev. Mod. Phys. 93, 025010 (2021)(μ₀、ε₀、e、電子の質量)。
- 〔全文を読んだ〕PDF を取得して本文を読んだ(AI(Claude)による照査。2026/10/03):F. Herrmann and G. B. Schmid, “The Poynting vector field and the energy flow within a transformer,” Am. J. Phys. 54, 528–531 (1986)(PDF)。変圧器のエネルギーは、鉄心の外側の、2 本の脚のあいだの空間を流れる。
- 〔全文を読んだ〕Wikipedia のページを読んだ(二次資料。AI(Claude)による照査。2026/10/03):Wheeler–Feynman absorber theory(Rev. Mod. Phys. 17, 157 (1945);21, 425 (1949))、Telegrapher's equations(1876 年の Heaviside の論文)、Aharonov–Bohm effect、Waveguide (radio frequency)。原典(一次文献)は、読んでいない。
- 〔要旨のみ〕辞書サイトの用例を読んだ(原本は未確認):『精選版 日本国語大辞典』の「導体」「不導体」「絶縁体」(『気海観瀾広義』1851–58、『改正増補物理階梯』1876、『工学字彙』1886)。
- 〔全文を読んだ〕PDF を取得して読んだ(AI(Claude)による照査):日本物理学会『年表(第二版)』(PDF)。物理学訳語会(1883 年)と、『物理学術語和英仏独対訳字書』(1888 年)。
- 〔書誌のみ〕書誌は検索で確認。本文は未読:F. Harms, “Elektromagnetische Wellen an einem Draht mit isolierender zylindrischer Hülle,” Ann. Phys. 328(6), 44–60 (1907), DOI 10.1002/andp.19073280603(被覆した 1 本の線)。
- 〔要旨のみ〕講義ノートなどの検索要旨で式の形を確認(本文は未読):J. D. Jackson, Classical Electrodynamics, 3rd ed., Eq. (9.18)(振動する電気双極子の場。3D 版と、双極子の検算で引用)。
- 〔全文を読んだ〕J. R. Dwyer and M. A. Uman, “The physics of lightning,” Physics Reports 534, 147–241 (2014), doi:10.1016/j.physrep.2013.09.004(著者サイトの PDF。通常の破壊電界 約 3×10⁶ V/m × 空気密度比、コロナの定義、雷の開始が未解明であること、雷の数値)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕A. V. Gurevich and K. P. Zybin, “Runaway breakdown and the mysteries of lightning,” Physics Today 58(5), May 2005(記事。通常の破壊電界 約 2 MV/m、雲内の電場はそれより 1 桁小さい、というランナウェイ破壊の提案者側の解説)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕F. W. Peek Jr., Dielectric Phenomena in High-Voltage Engineering, McGraw-Hill, 2nd ed. (July 1920)(archive.org の OCR スキャン。コロナ開始の式 gv = g0δ(1 + 0.301/√δr)、g0 = 30 kV/cm(最大値)。OCR のため式の記号は崩れている)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕D. J. Tedford, “Time-lag studies with uniform-field spark gaps,” PhD thesis, University of Glasgow (1957)(PDF。Bruce の経験式 V = 24.22 S + 6.08√S kV を引用。OCR が粗い。原典 F. M. Bruce, J. IEE 94 Pt II, 138 (1947) は〔書誌のみ〕の孫引き)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕Wikipedia「Paschen's law」「Peek's law」「Electrical length」「Atmospheric electricity」(二次資料。パッシェンの式と A = 15、B = 365、327 V の最小値、式の精度が落ちる範囲)。J. Lux, “Gaseous breakdown & Paschen's law”(個人の技術ページ。γ = 0.01、最小火花電圧の表、V = B·pd/(C + ln pd))。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕Ch. Helling ほか, “Ionisation in atmospheres of Brown Dwarfs and extrasolar planets III. Breakdown conditions for mineral clouds,” arXiv:1301.7586 (2013)(Table 1 に Raizer (1991) の値として空気の A = 15、B = 365 を掲載。天体物理の論文で、パッシェンの専門文献ではない)。確認日 2026/10/04。
- 〔書誌のみ〕F. Paschen, “Ueber die zum Funkenübergang in Luft, Wasserstoff und Kohlensäure bei verschiedenen Drucken erforderliche Potentialdifferenz,” Ann. Phys. 273(5), 69–96 (1889), doi:10.1002/andp.18892730505(Crossref で書誌確認。本文は Wiley が 403 で未読)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕S. Nijdam, J. Teunissen and U. Ebert, “The physics of streamer discharge phenomena,” Plasma Sources Sci. Technol. 29, 103001 (2020), arXiv:2005.14588(§2.2: Meek の条件 ᾱ(E)d ≈ 18。強く曲がった電極では 9〜10)。確認日 2026/10/04。
- 〔要旨のみ〕針(双曲面)と平板の先端電界 E ≈ 2U/(r ln(4d/r))(r ≪ d): chombo-discharge/Incept1D の文書(ソフトウェアの文書で査読なし。独立の検算を添えて確認)。根拠として引かれる R. Coelho and J. Debeau, J. Phys. D 4, 1266 (1971) は〔書誌のみ〕。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕V. A. Rakov and M. A. Uman, Lightning: Physics and Effects, Cambridge University Press (2003)(Library of Congress が公開しているサンプル PDF の、第 1 章の抜粋と Table 1.1 のみ。晴天時の電場 約 100 V/m、第 1 帰還雷撃のピーク電流 30 kA、ステップトリーダー 50 m・2×10⁵ m/s ほか)。確認日 2026/10/04。本文全体は読んでいない。
- 〔全文を読んだ〕C. B. Moore, G. D. Aulich and W. Rison, “The case for using blunt-tipped lightning rods as strike receptors,” J. Appl. Meteor. 42(7), 984–993 (2003)(PDF。鋭い先端が受雷に有利だという根拠は確立していない、丸い先端の棒のほうが受雷しやすかった野外試験)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕晴天時・雷雲下の地表の電場: フィンランド気象研究所関連ページ「Fair-weather atmospheric electricity」(ページ。著者名はページ上で未確認。晴天時 約 100 V/m、雷雲の下は「tens of kV/m」)/アリゾナ大学 ATMO 489/589 講義 “The Global Electrical Circuit”(ページ。晴天時 100〜300 V/m、雷雲の下は 1000s of V/m。担当教員名は未確認)/A. Chilingarian, “Variations of the Near-Surface Electric field measured at Aragats during Geomagnetic Storms,” arXiv:2505.16271 (2025)(雷雨時 −30〜+20 kV/m。高山の観測所)。確認日 2026/10/04(出典調査 261004。調査は AI(Claude)。私が個別に再取得はしていない)。雷雲の下の標準的な代表値を 1 つに決める一次の教科書記述は未確認。
- 〔全文を読んだ〕避雷針の保護範囲(回転球体法): 日本産業規格 JIS Z 9290-3:2019「雷保護-第3部:建築物等への物的損傷及び人命の危険」の条文テキスト(第三者サイト kikakurui.com による転載。§5.2.2、A.2 など。表 2(球の半径)の数値は転載テキストで欠落)/ABB (Furse), “Total Solution to Earthing & Lightning Protection” の IEC/BS EN 62305 解説(メーカー資料=二次資料。球の半径 I 20 m・II 30 m・III 45 m・IV 60 m、最小雷電流 3・5・10・16 kA)。確認日 2026/10/04(出典調査 261004。AI(Claude)による)。IEC 62305-3 の本文は未読。
- 〔要旨のみ〕球の半径と最小雷電流の式 R = 10·I0.65(R [m]、I [kA]): 検索スニペットのみ。3・5・10・16 kA で 20.4・28.5・44.7・60.6 m となり、ABB の表の値に合うことだけを確認した(計算)。原典は未確認。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ(目次のみ)〕D. M. Pozar, Microwave Engineering, 4th ed., Wiley (2011): Library of Congress の目次(2.3 The Terminated Lossless Transmission Line、2.5 The Quarter-Wave Transformer、2.8 Transients on Transmission Lines ほか)。本文は読んでいない。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕D. B. Leeson, “Waves and impedances on transmission lines,” 講義ノート, University of San Diego, EEE 194 RF(PDF。Γ、SWR、Zin、λ/4 変換の式)。確認日 2026/10/04。
- 〔全文を読んだ〕終端の目安: Texas Instruments, SLAP086 (2003)(tr < 2×伝搬時間)/E. Bogatin, “The critical length of a transmission line” (2004)/H. Johnson, “Line length,” High-Speed Digital Design Online Newsletter 3(14) (1999)/R. Rao, National Semiconductor AN-610 (1989)(RS Components のミラーで確認。終端 5 方式)/C. Katrai, Diodes Inc. Application Brief 23(終端 4 方式)。Analog Devices MT-097 は〔要旨のみ〕(本文は接続できず未取得)。確認日 2026/10/04。経験則で、係数は 1/2〜1/10 と幅がある。
式の導出と値の出どころは、ソースコード(model.js)のコメントにも書いてあります。確認の状況は、各項目のタグのとおりです(2026/10/03 時点)。〔書誌のみ〕は、書誌が実在することを検索で確認しただけで、本文の内容は読んでいません。〔要旨のみ〕は、要旨・解説を見ただけです。〔Claudeの知識〕〔未確認〕の項目は、Web で確認できるまで、断定の根拠にしません(確認できない項目は、この一覧から外します)。
レビュー状況・修正履歴
未レビュー 専門家による確認は、まだ受けていません。間違いや不正確な記述を見つけたら教えてください(お問い合わせのページから)。
このサイトは、物理に興味のある一般の方から、物理を学ぶ方、専門家までを想定しています。たとえ話は補助として使い、主張は式と検算で裏づける方針です。簡略化した点と、近似が成り立つ条件は、数値と一覧で示します。
- 2026/10/10 v0.8 第2層に「細い線・抵抗が高いと、なぜ流れにくい?」(動く図・数値の表・場/電子/結晶の役割分担の解説・限界と異論・出典)を追加。「電圧が変わると、何が変わる?」の表を、折りたたみに。①の負荷を、白熱電球の記号に(電場の先端が届くまで点かない)。
- 2026/10/03 v0.7 電子の表示を、電子ガス(ドルーデ模型のモンテカルロ)に変更: 全員が熱運動で動き回り、電場の分だけ偏る。まんべんなく分布し、塊やベルトコンベアにならない。「発電所から電気が来るのは?」(第1層)、「理解の歴史」と「諸説・異論」(第3層)を追加。
- 2026/10/03 v0.6 ①の導線を 3 倍の太さにして、導線の中の電子をすべて表示(電流を担うのは表面の薄い層。断面全体への切替つき)。スイッチと、スイッチを入れる前の電場(電池の電位差)。電磁場の表現に「教科書の図(直交する波)」を追加。別ページ: 図面(2面図: 側面図・断面図 A–A・観測点 最大 3 点・電源と負荷つき)。
- 2026/10/03 v0.5 電子を粒で表示(導線を太くし、①は表面の薄い層、②は断面全体)。「伝わるのは電子か場か」「導線の中か、まわりか」「高周波と絶縁体」の問いと答え、導体の中の電子(散乱・フェルミ速度)、量子力学・スピンが関わる点、出典の確認状況(確認済み/未確認)を追加。別ページ: 2D 版(場が円になって広がる)。不具合修正: 交流専用のスライダーが、直流のときにも表示されていた。
- 2026/10/03 v0.4 式を数式(MathML)で表示し、「式を表示する」スイッチで非表示にできるようにした(本文は式がなくても読める)。式ごとに「検算済み」の表示。図を追加(線路の等価回路、導線の形に連動する断面図=電場の線と磁場の線)。
- 2026/10/03 v0.3 インピーダンス・インダクタンス・静電容量を、導線の形・間隔・絶縁体から計算する方式に変更(同軸・平行2線)。省略した効果の大きさを数値で表示。ページを3層構成に変更。
- 2026/10/03 v0.2 ①を数値シミュレーションに変更。電荷(電子の偏り)の表示、クリックで電子を押す操作、電圧・抵抗の連動、水のたとえ・回路図との対応を追加。
- 2026/10/03 v0.1 初版(ローカル試作)。