側面図 — 電源 → 線路 → 負荷
教科書の図(直交する波)は、線の軸に沿って、各点の電場 E(赤・縦)と磁場 B(青・奥行き)の大きさと向きを、軸に垂直な矢印で描いたものです。E ⟂ B ⟂ 進行方向になります(導かれた波=TEM 波の場合)。交流では、波長 λ を示します。側面図をクリックすると、切断位置 A–A を動かせます。電場は、電圧が正のとき下向き(上の導線が+)です。エネルギーは、導線のまわりの空間を電源から負荷へ流れ、負荷で熱になります(負荷が線に整合しているときは一方向。整合していないと、反射した波が戻るあいだ、逆向きに流れる時間があります。この図は、逆向きの分を描いていません)。往復 2 本では、導線のあいだに最も多く流れますが、それぞれの導線の外側にも流れます(上の導線の上、下の導線の下の緑の矢印。長さは、その場所の S の平方根に比例。外側は弱い)。電子は、導線の中に、まんべんなくあり、熱運動で動き回って、ときどき散乱されます(薄い点は、イオンの格子の概念図)。電流のある所では、その動きに、ごくわずかな偏り(ドリフト)が、電流と逆向きに加わります(速い現象なので、表面の薄い層の電子だけ。偏りは、見えるように拡大しています)。
観測点(最大 3 点) — 電源・中間点・負荷、または任意の位置の、電圧と電流の時間変化
観測点は、側面図の軸の上に、番号つきの印で示されます。波が、電源から負荷へ届くまでの遅れ(図の目盛りの印)と、負荷で反射して戻ってくる様子が見えます。負荷が Z₀ に等しい(整合)と、反射がなく、電源端・中間点・負荷端の電圧は、遅れて同じ形になります。
断面図 A–A — 電源側から負荷側を見る
この図の作り方・省略したこと
- 電圧・電流は、①と同じ数値シミュレーション(テレグラファー方程式)の結果です。電源は理想電圧源、負荷は抵抗。負荷が Z₀ と違うと、反射が起きます。
- 線のまわりの場の形は、導線の断面で決まる形(TEM モード)で、大きさが電圧・電流に比例して変わります。平行2線は、2本の導線の「焦点」を通る円(電場の線)と、各導線をかこむ円(磁場の線)、同軸は放射状と同心円です。導線の太さ・間隔は、断面の中では、実際の比率で描いています(長さ方向は、断面に比べて約 270 分の 1 に縮めています。既定の長さ 3 m のとき。長さに比例して変わります)。
- 「別々に描く」の線は、各導線が、単独で(もう 1 本がないものとして)つくる線です。電場は、導線の中心から放射状(上の導線は+で外向き、下の導線は−で内向き)、磁場は、導線をかこむ同心円です。2 本の場を足し合わせる(重ね合わせ。マクスウェル方程式は、真空・絶縁体の中では線形なので、場の足し算は正確に成り立つ)と、全体の場になります。ただし、「合成した線」は、単に 2 本の単独の線を足したものではありません。2 本が近いと、互いの場の影響で、各導線の表面の電荷・電流の分布が、偏ります(近接効果)。合成の線は、その偏りを含んだ解(導線の表面が等電位になる解)で、電荷が、導線の中心より焦点側(内側)に集まっているのと同じ形になります。この「相互作用」(偏りがどう生まれ、どれだけ線が変わるか)を、段階的に見せる図は、これからの課題です。導線が細く、間隔が広いほど(d/(2a) が大きいほど)、単独の線の足し算に近づきます。
- 進行波が 1 つのときは、電場と磁場の比は、媒質で決まる η = E/H(TEM 波)です。反射があると、E ∝ V、H ∝ I で、比は場所と時刻で変わります。図の電場と磁場は、同じ形で、向きと意味が違います。
- 線路の端(電源・負荷)での、場の乱れ(端効果)と放射は含みません(導かれた波だけ)。端の近くでは、実際はもっと複雑です。端での放射まで含めて解くのは、2D 版(マクスウェル方程式を直接解く)の仕事です。
- 導線の内部の電流分布は、表面の薄い層として描いています(速い現象)。層の厚さは、見やすいよう拡大しています(図では半径の約 30 %。実際は、銅・100 MHz・断面積 1 mm² で、表皮深さ 6.5 µm、半径の約 1 %)。直流でも、スイッチを入れてから電流が断面全体にしみ込むまでに、約 24 µs かかり(μ₀σa²)、この図の時間(ns)では、まだ表面を流れています。損失は省略(100 MHz で、往復 2 本の交流抵抗は 1 m あたり 1.5 Ω ほどで、3 m で約 4 Ω。Z₀ ≒ 139 Ω の約 3 %)。
- 電子の数と、粒の速さは、見やすいように拡大した代表です。
出典・参考文献の一覧(確認の種別つき)は、電流の正体のページの「出典・参考文献」にあります。