サイエンスラボ α版(試作)ver1.1.0-alpha34 — 内容は未レビューです。間違いを見つけたら、お知らせください(はじめに・免責)。

場が円になって広がる 2D 版 v0.1・未レビュー

「電流の正体」の①は、電場の波が導線に沿って進む様子でした。ここでは、導線を真正面(断面)から見て、電場と磁場が導線のまわりの空間いっぱいに広がる様子を、マクスウェル方程式をそのまま解いて見ます。 導線に電流が流れ始めると、電場も磁場も、光の速さで、円になって広がっていきます。

「電流の正体」のページ(①②)は、そのまま残してあります。もとのページへ / 3D 版へ

導線の断面(紙面に垂直な導線)

電場 E(紙面の手前向き) 電場 E(奥向き) 磁場 H(矢印。導線のまわりを回る) 波面(光の速さで進んだ距離 r = c·t)
表示:

導線の中の電子(断面の拡大・イメージ) — 電流と同期して、電子が動く。表皮と内部の違いも

例:

観測点の電場(時間変化) — 光の速さで届くことを確かめる

図の「観測点」(右の白い印)での電場 E の時間変化です。波が届くのは、スイッチを入れてから「距離 ÷ 光速」あとです(点線)。

見えること

  1. スイッチを切る: 導線の電流が 0 になり、場が消える先端(赤い円)が、光の速さで広がります。先に出た場は、殻になって遠ざかります。2 次元(無限に長い導線)では、波が通り過ぎたあとにも、場が尾を引いて、ゆっくり減ります(2 次元の波動方程式の性質で、ホイヘンスの原理が成り立たないため。3 次元の点源では、尾を引きません)。
  2. 導線 1 本で直流のスイッチを入れる: 電場と磁場が、導線を中心に円になって、光の速さで広がります。磁場は、導線のまわりを右ねじの向きに回ります。電流が増えている間、導線のまわりの電場は、電流と逆向きです(ファラデーの法則 E = −∂A/∂t。電流の増加を妨げる向きなので、レンツの法則の例でもあります)。電流が一定になったあとも、電場は、すぐには 0 になりません。2 次元(無限に長い導線)では、波の先端が通り過ぎたあとにも、電場が尾を引いて、ゆっくり小さくなります(理由は、前の「スイッチを切る」の項と同じ)。
  3. 往復 2 本(逆向きの電流)にする: 2 本の波が遠くで打ち消し合い、外へ出る場はずっと小さくなります。間隔 d が、変化の長さ(波長)に比べて小さいほど、よく打ち消します。往復の線は、場を導線のまわりに閉じ込めます。①の線路の図は、この「閉じ込められた場」のなかの波です(ただし、この 2D の計算には、線路の電圧にあたる、導線のあいだの横向きの電場は含まれません。下の「省略したこと」を参照)。
  4. 交流で、間隔 d や波長 λ を変える: d が λ に比べて十分小さいと、ほとんど外へ出ません。d が λ に近づくと、外へ広がります(アンテナは、往復の導線を開いて、電流が打ち消し合わないようにして、電波を出します。ここでは、打ち消しが d/λ でどう弱まるかが見えます)。
伝わるのは場です。導線の電子が動く(電流が流れる)と、そのまわりの場が変わり、その変化が隣の場所へ、また隣へと、光の速さで円になって広がります。電子がいない空間でも、場は広がります。

用いている式

導線が紙面に垂直(z 方向)に無限に長く、z 方向に一様だと仮定すると、場は、電場 Ez と磁場 Hx・Hy だけになります。次の 3 本のマクスウェル方程式を、差分法(Yee 格子)で解いています。Jz が導線の電流(電子の動き)です。

単位は、光速 c = 1(1 マス進むのが時間 1)に正規化しています。1 マスを 1 cm とみなすと、時間 1 は約 0.033 ns です。波の形は、この大きさによらず同じです。

省略したこと・検算

  • 電流は与えた値です。導線の電流 I(t) を与えて、場を計算しています。電子が場に押されて動く側(場 → 電子)は、「電流の正体」の①で扱っています。この図では、電流の向きを ⊙(手前向き)・⊗(奥向き)で示します(電子は電流と逆向きに動きます)。
  • 導線の内部の電流分布は解いていません(断面に一様に与えています)。導線の半径は 2.5 マスです。
  • この 2D では、導線に沿う電場 Ez(電流の変化がつくる誘導電場)と磁場だけを解いています。線路の電圧にあたる、導線のあいだの横向きの電場(導線にたまる電荷がつくる場)は、z 方向に一様で電荷がたまらない仮定のため、含まれません。それは、図面・3D 版の断面の線で見られます。
  • 外側の境界は、完全整合層(PML)です(以前は、簡易なスポンジで、交流を長く流すと、反射で輪が 10〜20 % ゆがんでいた。PML では、輪の上の振幅のずれが 1 % 未満: 検算済み)。図の縁が暗くなるのは、吸収層の中で、波が吸い込まれているためです。
  • 単純な差分法なので、数値分散・異方性が数 % あります(波長が長いほど小さい)。立ち上がりは、滑らかな段(直流)にしています。
  • 導線は無限に長いと仮定した 2 次元の計算です。実際の有限の導線や 3 次元的な広がりは扱いません(3 次元は 3D 版で、線路の場として表示します)。

検算(自作の検算プログラム(非公開)、9 件が通過): ①アンペールの法則(導線を囲む ∮H·dl = I、誤差 6 % 未満)、②磁場は右ねじの向きで 1/r、③波の到着が r/c、④円対称(同じ距離で比べた E_z の差は、軸の向きで 10 % 未満・斜め 45° で 12 % 未満)、⑤往復 2 本の打ち消し(外へ出る場は d に比例し、変化の時間に反比例。逆向きの電流の対の理論どおり)、⑥2 本を囲む ∮H·dl = 0、⑦交流の位相速度が c の ±7 % 以内、⑧⑨吸収層(PML): 交流を長く流しても輪が同心円に保たれる、パルスが出たあとに残るエネルギーがごくわずか。

出典・参考文献の一覧(確認の種別つき)は、電流の正体のページの「出典・参考文献」にあります。