① 先が細いと、電場が集まる — 一様な電場の中に、地面に立つ導体
地面に立つ導体(銅色)のまわりの、断面。色は、電場が地表の電場 E₀ の何倍か(対数。いちばん暗い紺は E₀ の半分(0.5 E₀)以下、桃は最大 = 導体の先端の値)。白い線が電気力線(上の一様な領域で、軸からの距離が等間隔になる点から出発させた。軸のまわりに回した立体の電束を等分した線ではないので、線が集まる所は強い、という大まかな目安であり、電場の強さそのものは色で読んでください)、灰色の細い線が等電位線、桃色の線が E = Eb(空気の破壊の目安 3 MV/m)。導体は、回転楕円体の上半分(高さ h、先端の曲率半径 ρ)の近似。
高さ h を固定して、先端の曲率半径 ρ を変えたときの、集中係数 β = E先端/E₀(左の目盛り。右の目盛りは、いまの E₀ のときの先端の電場)。桃色の破線は Eb。白い点がいまの設定。細いほど β は大きく、E₀ が小さくても、十分に細ければ先端で Eb を超える。
② 雷のリーダーが降りてくると — 地表の電場と、先端の電場
左: 模式図(縮尺は合っていません)。明るい線が降りてくるリーダー(まっすぐな線電荷の近似。実際は枝分かれ・ジグザグ。③で描きます)。右: リーダーの先端の高さ(横軸。左から右へ降りる)と、地表の電場・①の避雷針の先端の電場(縦軸は対数)。桃色の破線が Eb。灰色の帯は、リーダーが棒の高さの数倍より近く、「一様な電場」の近似が成り立たない範囲。
③ リーダーの実際の形と、そのまわりの場 — ステップで降りる・ジグザグ・枝分かれ(形の一例)。そのときの電気力線・電位・電場・磁場
左: 全体(5 km 四方。縮尺は合っています)。右: 先端の 60 m 四方の拡大。リーダーは、止まっては一気に数 m 伸びる(ステップ)をくり返しながら、平均 2×10⁵ m/s で降ります。伸びた瞬間に、新しい部分と、その上の数十〜200 m が光ります(光の残る時間は、見やすさのため、画面で 0.12 秒以上にしています)。右の図の、先端の前のうすい筋はストリーマ(模式)、次のステップの手前に光る短い線が「空間ステム」、青い帯は、電場が空気の破壊の目安 Eb を超える範囲の目安(計算)です。形は、乱数で作った一例です。実際の雷ごとに違います(「別の形の例」で変わります)。枝は、既定で2 本(わかりやすさのための形。実際の枝分かれは、下の折りたたみ)。「落雷(帰還雷撃)まで見せる」(既定でオン)では、リーダーが地面に届いたあと、地面から雲へ走る明るい光(ふつう「落雷」として見える光)が出ます(リーダーとのちがいは、下の折りたたみ)。
上の絵の落雷(帰還雷撃)と同じ時計で動く、チャネルの電位の模式図(自作。主の経路だけ)。リーダーが降りているあいだ、琥珀の線(雲から先端まで)は、雲の負電荷で、電位がそろっています(−V₀。地面に対して負。図の縦軸は、その大きさ)。先端と地面のあいだは空気で、電気を通しません。つながった瞬間に、変わるのは下端だけ(地面の電位 0 V になる)。その変化は、チャネルの中を、有限の速さで上へ伝わり、水色の線(通ったところ)では、電荷が地面へ流れ出して、ほぼ 0 V になります。始まるのが下だから、進むのも下から上です(くわしくは、下の折りたたみ)。
上の絵と同じ時刻の場(リーダーの経路が入る、鉛直な断面)。左: 全体、右: 先端のまわりの拡大(先端が降りるにつれ、窓が小さくなります。左の図の点線の枠)。電位は地面が 0 V、リーダーのまわりは負の高い電位(色)。電気力線は、地面の電荷(=地面に入る電場)が等しくなる間隔で地面から出発させたもので、地面に垂直に入り、先端の真下に集まります(断面の上の線なので、本数は電場の強さに厳密には比例しません)。電場の強さの地図の桃色の線は E = Eb(3 MV/m)。磁場は、リーダーを流れる電流(雲から先端へ電子が降りる分。平均で数百 A)がつくる輪で、断面の上では面に垂直(左右で向きが逆)です。
リーダーと落雷(帰還雷撃)は、何がちがう? 枝分かれは、実際どのくらい?(調べた結果)
ひとことで: 「雷が落ちた」と見える、あの明るい光は、リーダーではなく、リーダーが地面につながったあとに、地面から雲へ向かって走る「帰還雷撃」です(R1・R2)。リーダーは、雲から地面までの道を作りながら、雲の電荷を、その道に置いていく役目で、光はかすかです。帰還雷撃は、その道をさかのぼって、置かれた電荷を中和し、大きな電流が流れて、道ぜんたいが明るく光ります。下へ走るように見えますが、実際は上へ進みます(R2。NWS は、人の目では、リーダーと帰還雷撃を見分けられないと書いています)。
| リーダー(下向き・負極性) | 帰還雷撃(落雷の光) | |
|---|---|---|
| 向き・役目 | 雲から地面へ伸びる。道を作り、雲の電荷を道に置く | 地面から雲へ、リーダーの道をさかのぼる。置かれた電荷を中和する(R1) |
| 進む速さ | 約 2×10⁵ m/s(高速度カメラの観測で、中央値 2.2×10⁵・範囲 0.9〜20×10⁵。光速の約 0.07 %。R5) | 約 1×10⁸ m/s(初撃の平均 9.6×10⁷。初撃・後続を合わせた範囲は 2.9×10⁷〜2.4×10⁸。光速の約 1/3。R1)。リーダーの約 440 倍(初撃の平均 9.6×10⁷ ÷ リーダーの中央値 2.2×10⁵。自作の計算) |
| 電流 | 平均 100〜200 A・ステップの瞬間のパルスは 約 1 kA 以上(下の出典の表。R&U・D&U)。下向きのリーダーの電流の波形は、2014 年の時点で、測られていなかった(R8) | ピーク電流の中央値: 初撃 約 30 kA・後続 約 12 kA(初撃の 90 % が 約 14〜80 kA の間。R1) |
| 運ぶ電荷 | このページの既定の形の例で 約 8 C(λ = 1 mC/m での自作の計算。文献は約 5 C。下の出典の表) | 1 回で、中央値 初撃 約 5 C・後続 約 1.4 C(R1) |
| 見た目 | かすか。光るのは、ほぼ先端(R2・R3) | 道ぜんたいが明るく光る。夜空の「雷」(R2) |
| 続く時間 | 数 ms〜数十 ms(ある観測で、見えている時間の平均 9〜12 ms・最長 40〜45 ms(本文は 40 ms・表は 45 ms)。接地点の多い雷だけの、偏った試料。R9) | 電流の立ち上がりが 数 µs、最大の半分に下がるまで 初撃 約 78 µs・後続 約 30 µs(中央値。R1)。道ぜんたいを駆け上がるのに 数十 µs(このページの模型で約 70 µs) |
| チャネルの温度 | (新しい出典は見つからなかった) | ピーク 約 30,000 K かそれ以上(R1) |
異論あり(速さ): アメリカ気象局(NWS。一般向けの説明)は、リーダー 約 20 万マイル毎時(≈ 8.9×10⁴ m/s)・帰還雷撃 約 2 億マイル毎時(≈ 8.9×10⁷ m/s)と丸めて書いています(換算は自作)。リーダーは、研究の観測(R5)より約 2.5 倍遅い値なので、研究の値を使いました。また、R5 の試料の数は、要旨で 46 例、本文の表で 62 例と食い違っています。
リーダーが「着いた」とき(接続): 地面や高い物からも、上向きのリーダーが出て、下向きのリーダーと出会います。出会って、雲から地面まで道がつながった瞬間に、帰還雷撃が始まります(R1・R2)。観測: 高さ 52 m の避雷針で、上向きのリーダーが出たときの、下向きの先端までの距離(打撃距離)は 62〜120 m(3 例。電流が大きいほど長い。R6)。写真に最後に写った、2 つの先端のすき間は 約 13 m(自然の雷 1 例。R7。要旨のみ)。NWS は、「枝が地面から約 50 m まで来ると、上向きのストリーマとつながる」と説明しています(R2)。いずれも、2 次元の画像から求めた値で、実際より短く出ます。このページの模型では、リーダーの先端が高さ 20 m まで降りたところで、上向きのリーダーと出会う、と仮定しました(観測値は 13 m〜120 m の範囲。上向きのリーダーの伸び方は、省いた)。
枝分かれは、実際どのくらい?(R3・R4・R1): 1 本のリーダーは、全体で数十回枝分かれします(パリの高速度カメラの観測 4 例で 33〜74 回。うち、地面に届いた主の枝の上で 11〜29 回。残った新しい枝は 5〜14 本。R3)。1 回の枝分かれでは、ほとんどが 2 つに分かれます(まれに、地面の近くで 3 つ。主の経路の枝分かれのうち、枝として残るのは 27〜57 %。R3)。地面に届く枝は、ふつう 1 本です(中国の観測 37 回のうち 32 回、86.5 %。R4)。同じ 1 本のリーダーが 2 か所以上に届く割合は、雷の約 15 %(中国で 11〜20 %、フロリダの推定 16 %。R1)。雷(フラッシュ)全体では、1/3〜1/2 が 2 か所以上に落ちますが、大部分は、後続のリーダーが新しい道をたどるためです(R1 §2.7)。1 本のリーダーの枝が「平均 2 本」、「全体が 2 本に分かれるのが典型」と言える出典は、見つかりませんでした(1 回の分かれ目が 2 つになることは R3)。多くの雷から集めた、枝の本数の分布・枝分かれの角度・枝の出る高さの統計も、見つかりませんでした。
だから、このページの既定「枝の数 2 本」は、わかりやすさのための形です(実際は、数十回の枝分かれのうち、地面まで届くのは、ふつう主の 1 本で、途中から出た枝は、伸びて止まる)。枝の数は 0〜6 本で変えられ、「枝を乱数でたくさん出す」では、多数に分かれた形(主の 1 本 + 数〜数十本)が見られます(枝の角度・頻度は、写真の印象に合わせた自作の設定で、統計値ではない)。
落雷のあと、枝はどうなる?: 帰還雷撃の前線が分かれ目を通ると、枝の中へも伝わり、リーダーのあいだ見えなかった枝が、もう一度光ります(R3・R4)。その光は、1 ms 以内に消えます(R4)。地面に届かなかった枝は、接続の瞬間に伸びるのが止まるのがふつうです(R4)。このページの図でも、前線が分かれ目から枝の中へも進んで、枝が光ります。枝を流れる電流の大きさの観測値は、見つかりませんでした。
この模型で省いたこと(大きさつき): ①帰還雷撃の前線の速さは、1 つの値(9.6×10⁷ m/s)で一定。実際は 2.9×10⁷〜2.4×10⁸ m/s の範囲で、高さによっても変わる(雲の下の平均は光速の 1/3〜1/2、地面から 100 m までは 1/3〜2/3。R1)②光の強さは、前線が通ったあと、時間とともに暗くなる絵で、実際の光の波形ではない③上の場の図(電気力線・電位・磁場)は、落雷のあいだ、リーダーが届いた瞬間のまま(帰還雷撃の場は計算していない)④表示の時間は、実際の約 4 万分の 1 前後の速さ(形の例によって変わる。画面に倍率を出しています。実際は 約 70 µs で、画面では 3 秒で前線が雲に届く)⑤上向きのリーダー・後続の雷撃(2 回目以降)・チャネルの温度や圧力の変化・雲の中の枝分かれは描いていない⑥実際の帰還雷撃は、接続した点から上と下の両方へ進む(Wang ら 1999。R4 の序論の紹介で、原論文は読んでいない)。この模型は、地面から上へだけ(20 m を 10⁸ m/s で進む時間は 約 0.2 µs で、全体の 約 70 µs に比べて無視できる。自作の計算)。
出典と、どう参照したか(調査は AI(Claude) 2026/10/18。転載はしていません): R1 CIGRE Technical Brochure 549「Lightning Parameters for Engineering Applications」(2013、Rakov ほか) §2.1・§2.7・第 3 章・第 5 章〔全文を読んだ。118 ページ〕。R2 アメリカ気象局(NWS)「Lightning Science」の 3 ページ(negative charged flash・connection to ground・return stroke)〔全文(短いページ)〕。R3 Buguet ら、ICAE 2014 予稿(パリ・14,000 コマ毎秒・負極性 4 例)〔全文〕。R4 Jiang, Qie ら、ICAE 2014 予稿(山東・10〜290 kコマ毎秒)〔全文〕。R5 Campos, Saba, Warner, Krider, Cummins, Orville「Does the average downward speed of a lightning leader change as it approaches the ground? – An observational approach」(会議資料。年は PDF に書かれていない。Vaisala 掲載の PDF)〔全文〕。R6 Saba, de Paiva, Schumann ら「Lightning attachment process to common buildings」(会議資料。年は PDF に書かれていない。事例は 2014〜2015 年)〔全文〕。R7 Nag ら, Geophys. Res. Lett. 50 (2023)・Qi ら, GRL 46 (2019)〔要旨のみ〕。R8 Miki ら、ICAE 2014 予稿〔全文〕。R9 Gin ら、ICAE 2014 予稿〔全文〕。数値は、元の表・本文から写し、光速との比・倍率は自作の計算です。開けなかった・使わなかった: Rakov 2013(Surv. Geophys.)・Hill ら 2011・Biagi ら 2009 は、開けなかった/書誌のみ。
なぜ、落雷の光は、地面から上へ走るの? 上から下ではないの? リーダーは見えないの?(理由・調べた結果)
Q1. 稲妻(帰還雷撃)は、なぜ、地面から雲へ(下から上へ)走るの? 上から下ではないの?
答え: 変化が起きるのが、「地面につながった下端」だからです。その変化の知らせが、チャネルの中を、有限の速さで上へ伝わっていきます(上の「チャネルの電位」の図)。
- つながる前: リーダーのチャネルは、よく電気を通す細い道(導体)で、雲の負電荷がたまっています。だから、チャネルの下端も、ほぼ雲の電位(−V₀。このページの表では約 50 MV〜1 億 V)です。一方、地面から伸びた上向きの放電の先端は、地面の電位(0 V)です(R10)。
- つながる瞬間: 下端と、上向きの放電の先端のあいだの、強い電場で、空気が絶縁破壊して、大きな電流が流れ始めます(R10)。その結果、チャネルの下端が、地面の電位(0 V)になります。雲の負の電位から 0 V へ、電位が急に変わる——これが帰還雷撃のきっかけです(R12)。変わったのは、下端だけです。雲の側の上端は、まだ何も変わっていません。
- 上へ広がる: 電荷が、下端から地面へ流れ出すにつれて、「電位に差のあるところ」が上へ移り、その上の部分にも大きな電流が流れます。これをくり返して、電位差の波が、チャネルを上っていきます(R10)。NWS も、「電荷の動きは、接触した点から始まり、チャネルの電荷が抜けるにつれて、上へ広がる」と説明しています(R11)。研究では、「あらかじめ帯電させた縦の導線の、下の端を、地面につなぐ(スイッチを閉じる)」として、模型を作ります(R13)。Rakov(1998)は、帰還雷撃は「古典的な」(線形の)進行波に似ていて、電離は起こるが、波の伝わり方への影響は比較的小さい、と推定しています(R14 の §5.5。これは Rakov の推定で、速さが電流の大きさで決まる、という古い提案もありました。観測では、支持されていません。R14)。
- たとえ(NWS。R11): 跳ね橋の前で止まっていた、長い車の列は、橋が下りると、橋のいちばん近くから動き出し、動き出しが、列の後ろへ伝わっていきます。光る前線が上へ進むのに、負の電荷(電子)は下へ流れる(電流の向きで言えば、地面から雲へ上向き)、という点も同じです(R11・R10・R15)。
- だから、上からは始まりません: 上端(雲の側)には、「つながった」という知らせが、まだ届いていないからです(R12・R13 の説明を、私の言葉で言い直しました)。
「上から下」に見えるのは、なぜ? 目は、帰還雷撃の動き(数十 µs)を見分けられるほど速くないので、チャネルの全部が、同時に光ったように見えます(Uman の雑誌記事(1972)と著書(1969)を引用した解説〔二次引用〕。R15)。NOAA の JetStream は、「一瞬なので、肉眼では、逆(上から下)に見える」と書いています(R15)。見え方の書き方は、出典でそろっていません(異論あり・小)。高速度カメラ(4000 コマ毎秒の例)なら、枝分かれしたリーダーが下へ降りてきて、つながると、明るい帰還雷撃が上へ駆け上がるのが、別々に見えます(R11)。
補足・異論: 前線(電位のすき間)は上へ進みますが、負の電荷(電子)は下へ流れ、地面へ入ります(電流の向きは、地面から雲へ上向き。R10・R11・R15)。光の前線の速さ(光速の約 0.45 倍)と、電流のパルスの速さ(ほぼ光速)は、違いうるという、模型計算の結果もあります(Liang ら 2014・Cooray & Theethayi 2008。R12 の序論の紹介で、原論文は読んでいません)。模型の大きさ: 上の図は、チャネルの抵抗・コロナ・電荷の分布を省いた模式図です。実際は、前線が通ったあとも、チャネルの抵抗による電圧降下が残り、完全な 0 V にはなりません(R12 の模型では、チャネルの抵抗のため、電流がピークに達する時間が、高さとともに遅くなります)。また、電流の波は、上へ行くほど弱まります(R13)。
Q2. 落雷のとき、リーダーは(人の目に)見えないの? なぜ?
答え: ふつう、肉眼では、見分けられません。リーダーはかすかに光りますが、直後に来る帰還雷撃の光が、はるかに強く、速いからです。
- 見えるか: 感度のよい高速度カメラでは、枝分かれしながら降りるリーダーが見えます(R11・R18)。肉眼では、ステップト・リーダーは、見えない・ほとんど見えない、とされています(R18。一般向けの記事)。NWS は、リーダーもかすかに光り、夜のほうが見えやすいが、速すぎて、帰還雷撃と区別できない、と書いています(R2)。肉眼でステップト・リーダーを見た、という報告は、見つかりませんでした。
- 理由 1: 光るのは、ほぼ先端だけ。リーダーの光のパルスは、先端で生まれます。先端から数十 m〜200 m ほどを過ぎると、強く弱まり、その上は、ほぼ一定の弱い光です(Chen ら 1999。R17。要旨のみ)。R2・R3 も、光るのは、ほぼ先端と書いています。
- 理由 2: 雷の光のほとんどは、帰還雷撃。NOAA は、「雷の光の 99 % 以上」が帰還雷撃と書いています(R15。一般向けの言い切りで、根拠の測定は書かれていません)。参考の数値: 2 回目以降の雷撃の、ダートリーダー(ステップト・リーダーではありません)の光は、続く帰還雷撃のピークの 約 19.5 ± 6.7 %(777 nm の光で・33 例。R16)。地面の近くの光のパルスは、帰還雷撃がダートリーダーの 2〜3 倍(Jordan ら 1997。R17。要旨のみ)。ステップト・リーダーと帰還雷撃の光の比を、測って示した出典は、見つかりませんでした(Krider 1974 が、その種の論文ですが、書誌のみで、値は確かめていません)。昼の空では、23 本のダートリーダーのうち 12 本が、背景より暗くて写真に写りませんでした(Jordan ら 1997。R17)。
- 理由 3: 速すぎて、目が強い光に圧倒される。雷の各段階は、1 秒の何分の 1 かで起こり、明るい帰還雷撃に圧倒される目では、見分けられません(NWS。R11)。リーダーが雲から地面まで降りるのに 数十 ms、帰還雷撃が雲へ戻るのに 約 100 µs です(R18)。
- 理由 4: 電流の大きさの差(ここは、数字は出典つきで、「電流が小さいので暗い」と結びつけるのは、自作の説明)。リーダーの平均の電流は 100〜200 A、ステップの瞬間のパルスは 約 1 kA 以上(下の出典の表。R&U・D&U)。帰還雷撃のピークは 約 30 kA(R1)。電流は 2 桁ほど違います。明るさと電流の関係を、リーダーについて測った出典、「リーダーは電流が小さいので暗い」とはっきり書いた出典は、見つかりませんでした(電流の大きさの違いと明るさを結びつけるのは、私の説明です)。
- 注意(温度): 「リーダーは冷たいから暗い」とは、言えません(ここは、測定値を比べた、私の推論です)。ダートリーダーは 約 15,000 K で、続く帰還雷撃は、平均で 約 3,500 K 高いだけでした(R16)。強いステップト・リーダー 1 例は、平均 約 25,000 K でした。帰還雷撃のピークは、23 例の平均で 約 35,000 K(R16。このページの表の「約 30,000 K かそれ以上」= R1 と、同じ桁)。明るさの差の理由は、この論文には、書かれていません。
- 写真に写る、枝分かれした雷の姿は、多くが、帰還雷撃が光らせたものです。リーダーのあいだ見えなかった枝は、すべて、帰還雷撃で、もう一度光ります(R3)。多重の雷撃をカメラを振って撮った写真で、枝分かれしたチャネルが写るのは、初撃の帰還雷撃です(R18。Arizona ATMO 489)。2 回目以降の帰還雷撃は、ふつう、枝分かれしません(NWS。R11)。
出典と、どう参照したか(調査は AI(Claude) 2026/10/18。転載はしていません。R1〜R9 は、上の折りたたみ): R10 アリゾナ大 ATMO 589(雷の講義)の講義ノート「Mar. 28」(2017。講師名はページにない)〔全文〕。R11 NWS の「Return Stroke」「Subsequent Dart Leaders and Return Strokes」「Slow Motion Video」の 3 ページ(R2 と同じ NWS の別ページ)〔全文〕。R12 Kašpar, Kolmašová, Santolík, J. Geophys. Res. Atmos. 127, e2022JD037459 (2022)〔全文〕。R13 Baba & Rakov, J. Geophys. Res. 112, D04102 (2007)〔全文〕。R14 CIGRE TB 549 の §4・§5.5・§6(R1 と同じ文献の別の節)〔全文〕。R15 HyperPhysics「Lightning Sequence」(Uman 1972 の引用。二次引用)・NOAA JetStream「Keeping in Step」〔どちらも全文〕。R16 Wemhoner ら, Sci. Rep. 16, 4068 (2026)〔全文。CC BY 4.0〕。R17 Jordan, Rakov, Beasley, Uman, JGR 102, 22025 (1997)・Chen ら, JGR 104 (1999)〔どちらも要旨のみ〕。R18 Eos(Gannon 2016)・アリゾナ大 ATMO 489 Lecture 15〔どちらも全文〕。開けなかった・書誌のみ: Bruce & Golde 1941(書誌のみ。R10 の文献表で確認。電流がチャネル全体で同時に変わる、という非現実的な模型として、R10 に出てくる)・Krider 1974(書誌のみ)・Rakov & Uman『Lightning』第 4・7 章・Uman『The Lightning Discharge』(開けず)・Britannica(403 で開けず)。
この図の作り方(場の計算・形の作り方)
- 場の計算: リーダーの経路を折れ線にし、各線分に一様な線電荷 λ(負。既定 1 mC/m = ②と同じ)を置きます。地面(z = 0)は完全導体として、鏡像(地面の下の、逆符号の電荷)を足します。線分 1 本の電位・電場は解析式(対数と 1/r の式)で、それを全部の線分で足します。線のすぐ近く(半径 a = 1 m より内側)は、電荷がその範囲に広がっているとして丸めています。磁場は、各線分の電流からビオ・サバールの式(これも線分ごとの解析式)で、地面の鏡像の電流(水平の成分は逆向き、鉛直の成分は同じ向き)を含めます。
- 電流は、電荷の保存から決めます: ある場所を通る電流 = λ ×(その先で伸びている先端の、伸びる速さの和)。主の経路だけなら、λ × 2×10⁵ m/s × 折れ曲がりの分 ≈ 200〜300 A、枝が伸びている間は、その分だけ多く、この図の形の例では 約 200〜600 A です。文献の平均の電流は 100〜200 A(Rakov & Uman・Dwyer & Uman)なので、この図は 1〜3 倍ほど大きめです。ステップの瞬間のパルス電流(約 1 kA 以上、µs 程度)は、平均に含めて描いていません。「電位をそろえる」を選ぶと、電流は、各点の先にある電荷の時間変化(少し前の状態との差)から出します。
- 形の作り方: 平均の降りる速さ(2×10⁵ m/s)と、ステップの間隔(上空 3 km で 50 µs、地面で 10 µs。その間は高さに比例してつなぐ)から、1 回のステップで降りる長さ(≈ 10 m → 2 m)を決めます。向きは、ステップごとの小さなゆらぎ(標準偏差 10°)と、ときどきの大きな折れ(平均 60 m ごと、標準偏差 22°)、下向きへ戻る性質を合わせた乱数の歩み。枝は、既定の「枝の数」を決める方式では、主の経路が降り始めから地面までの (k+1)/(n+1) の高さを通るとき、鉛直から 50〜62° の向き(主の経路がいま傾いていれば反対側。まっすぐなら左右交互)に出て、主より遅く伸びて、約 0.8〜1.1 km 伸びて止まります(わかりやすさのための形)。「乱数で枝を出す」方式では、主の経路から平均 500 m ごと(「枝分かれの量」1 のとき)に、下向きに斜めに分かれ、主より遅く伸びて、数百 m で止まります。これらの角度・頻度・長さは、写真の印象に合わせた自作の設定で、文献の統計値ではありません。雲の中の部分(高さ 3〜5 km)は、最初からあるとしました(②と同じ)。
- 電気力線は、場の格子(97 × 97 点)から補間した電場をたどります(2 次のルンゲ・クッタ)。地面の電荷(∝ 地面での電場)が等しい間隔で 26 本を出発させました。
- 計算を軽くする工夫: 線電荷が一様なので、場は線分ごとの足し算です。新しいステップの分だけを、格子に足していきます。拡大の窓を作りなおすときは、窓から遠い部分を、まとめて長い線分にします(電荷は保存)。
できること・できないこと(省いたことと、その大きさ)
- 準静的: 電場は電荷の分布から、磁場は電流から、遅れなしで決めています。光が 5 km を進む時間は約 17 µs で、ステップの間隔(10〜50 µs)と同じ桁なので、ステップの瞬間の速い変化(パルス)は、この近似では表せません。リーダー全体が降りる時間(約 15 ms)の変化に対しては、遅れは 0.1 % 程度で、十分に小さい。
- 電荷の分け方は、2 つの単純な模型: 「一様」は、どこも同じ λ(②と同じ)。「電位をそろえる」は、リーダーを導体とみなして、全体の電位がそろうように電荷を分けたもの(全電荷は一様のときと同じ。線分ごとに一定の電荷を置いて解く、モーメント法)。電位をそろえると、電荷は先端や枝の先に集まり(先端の線分の λ は、平均の 約 2〜5 倍。先端が低いほど大きい)、先端の下の地表の電場は、一様のときの約 2 倍になります(先端が 20 m のとき、一様で 約 1 MV/m、そろえると 約 2〜3 MV/m。形の例による)。実際のリーダーには、チャネルの中にも電位の差があると考えられ、どちらの模型が近いかは、このページでは確かめていません〔未確認〕。
- リーダーの電位: 一様な λ では、計算した電位は場所でそろわず、先端の約 200 m 上で 約 −80〜−210 MV、先端で 約 −25〜−55 MV です(電荷が広がる半径 a = 0.5〜5 m、形の例 5 つ)。電位をそろえると 約 −120〜−200 MV。値は a に対数で依存します。文献のリーダーの電位は、約 50 MV(Rakov & Uman の表)〜約 1 億 V(NOAA)で、この図の値は、その 1〜4 倍と大きめです。全電荷も、この図では 約 7〜9 C(形の例による)で、文献の約 5 C より多い。λ = 10⁻³ C/m は「地面の近くで」の値(D&U)で、それを、折れ曲がりと枝の分だけ長い経路の全部に置いたことが、大きめに出る一因と考えられます(ほかの原因は、確かめていません)。
- 含まないもの: 雲の電荷(雷雲の電場 E₀ は、ここでは 0 として、リーダーの電荷だけの場)・空間電荷(コロナが出ると、その電荷がまわりの電場を変える)・風や雨・地面の凹凸や建物・上向きの放電(受雷過程)(「落雷まで見せる」では、先端が 20 m まで降りたところで会う、と仮定して、絵に描くだけ)・帰還雷撃の場(光の前線は描くが、電場・磁場は計算しない)。地面は完全導体としました。電場については、地面の電荷が動く時間 ε/σ が 約 10〜100 ns で、ms の変化よりずっと短いので、よい近似です。磁場については、大地の表皮の深さ δ = √(2/(ωμ₀σ)) が、リーダー全体の降下(約 15〜20 ms。数十 Hz)に対して 約 0.6〜5 km、ステップの間隔程度(約 1 kHz)に対しても 約 0.2〜0.5 km あり、地中の電流は地面の近くに集まらず、深く広がるので、地面の近くの磁場は、完全導体としたこの図と違いえます(大地の導電率 10⁻³〜10⁻² S/m〔ITU-R 勧告 P.832 の標準値・FCC の M3 地図 0.5〜30 mS/m・Ellingson の教科書 10⁻⁴〜10⁻¹ S/m。いずれも全文を読んだ〕、比誘電率 10〔Claudeの知識〕での〔自作の計算〕。2026/10/10 に、1 kHz で 5〜16 km としていた誤りを直した)。雷雲の地表の電場(数〜数十 kV/m)は、先端が数百 m より低くなると、リーダーの作る地表の電場(先端の高さ 1 km で 約 15〜20 kV/m、300 m で 約 0.05〜0.1 MV/m)より、ずっと小さくなります(②のグラフでも比べられます)。
- 2 次元の断面: 経路を 1 つの鉛直な面の中に置いた 3 次元の計算で、その面の上の値を描いています(実際の雷の経路は、面の外にも曲がります)。電気力線は、その面の中の線なので、本数の疎密は、3 次元の電束とは厳密には一致しません。
- 放電の物理は、未解明な部分が大きい: なぜ負のリーダーがステップで進むのか、空間ステムがなぜ先端から離れた所にできるのかは、分かっていません(Dwyer & Uman 2014 は「理解されていない」と書き、リーダーの伝わり方の物理機構を、雷研究の十大問題の 2 番目に挙げています)。枝分かれの仕組み(どこで・なぜ分かれるか)も、この図では乱数で決めており、物理から決めたものではありません。ストリーマ(細い放電の筋)が、電場が強いと枝分かれすることは、D&U に記述がありますが、リーダーの枝分かれをそれで説明できるかは、確認していません〔未確認〕。
- ステップの長さには、異論があります: Rakov & Uman の表の典型値は「長さ 50 m、間隔 20〜50 µs」ですが、割ると 1〜2.5×10⁶ m/s で、同じ表の平均の速さ 2×10⁵ m/s より 5〜12 倍速く、そのままでは両立しません。高速度ビデオ(Hill ら。Dwyer & Uman の紹介)は、1 本の自然の雷で、平均 5.2 m・16.4 µs と、ずっと短い値を報告し、古いストリーク写真の値は過大評価だった可能性を論じています(ただし、距離の推定に 0.7〜2 km の幅)。この図は、速さと間隔を文献値にし、長さはその積(2〜10 m)にしました。文献の範囲は 3〜200 m と広い(D&U)。
数値と説明
作り方・省略したこと
- ①の計算: 避雷針を、地面に立つ回転楕円体の上半分(高さ h = 半軸 a、半径 b、先端の曲率半径 ρ = b²/a)で近似します。接地面の鏡像で、これは「一様な電場 E₀ の中の、導体の長楕円体」と同じ問題になり、厳密な解析解(長楕円体座標。ルジャンドル関数 Q₁)があります。先端の電場は E先端 = β E₀、β = 1/nz(nz は反電場係数)。細長いとき β ≈ m²/(ln 2m − 1)(m = a/b = √(h/ρ))、半球(m = 1)で β = 3。雲は十分に遠い(h ≪ 雲の高さ)という近似です。
- 検算(自作の検算プログラム(非公開)): 導体の表面で電位 0、遠方で一様、ラプラス方程式を満たす(差分で確認)/β が 2 通りの式(Q₁ と反電場係数)で一致、半球で 3、細長いとき漸近式に一致/先端のすぐ外の電場が β に一致、表面で電場が表面に垂直/独立な数値解(静電場のソルバー)が軸上の電場の解析解に一致(先端から離れた点で 1 % 以内)。
- ②の計算: リーダーを、鉛直な線電荷(密度 λ、先端の高さ zb から上端 5 km まで)で近似し、真下の地表の電場を、接地面の鏡像を含めて E = (λ/(2πε₀))(1/zb − 1/zt) とします(点電荷の数値和で検算)。λ ≈ 10⁻³ C/m は、Dwyer & Uman(2014)の「約 5 C が長さに分布、地面近くで約 10⁻³ C/m」にもとづく値。降りる速さは、平均 2×10⁵ m/s(R&U、D&U。ステップの長さ(3〜200 m)や間隔は文献で幅があるので、ステップは描かず、連続して降りるとしました)。棒の先端の電場は、その場所の電場を一様として β 倍したもの。
- ③の計算: リーダーの経路(乱数で作った形の例)を折れ線にして、線分ごとの線電荷と地面の鏡像から、電位・電場を解析式で足し、電流(電荷の保存から)から、磁場をビオ・サバールの式で出します。準静的(遅れなし)。詳しくは、③の折りたたみ「この図の作り方」「できること・できないこと」。検算(自作の検算プログラム(非公開)): 線分の電位・電場が数値積分と一致・接地面で電位 0 と電場が面に垂直・全電荷の保存・形が種で再現し、先端が単調に降りる・遠方で双極子の場・磁場がビオ・サバールの数値積分と一致し、長い直線で μ₀I/(2πr)・電流の時間積分が降ろした電荷に一致・電気力線が等電位線と直交・電位をそろえる解が中点でそろう。
- この図が言えること・言えないこと: 先が細いほど、先端の電場は大きい(β ∝ ほぼ 1/ρ に近づく)。リーダーが近づくと、地表の電場は桁違いに大きくなり、先端の電場が Eb を超えうる。言えないこと: 実際に上向きの放電が出て、リーダーと結びつく条件(受雷過程)は、Dwyer & Uman が「粗い理解しかない」と述べる未解明の部分が大きい。Eb を超えただけでは、リーダーとつながる放電になるとは言えません。また雷の開始(雲の中でなぜ破壊が始まるか)も未解明(雲内で測られた電場は、通常の破壊電界より小さい。Dwyer & Uman)。
- 避雷針の先端の形は、議論がある: Franklin 以来、「先の尖った棒が良い」と考えられてきましたが、Moore・Aulich・Rison(2003)は、鋭い先端が受雷に有利だという根拠は確立していないと述べ、ニューメキシコ州の山の野外試験(7 年間)で、丸い先端の棒に雷が落ち(13 本)、近くの鋭い棒には落ちなかった(0 本)と報告しています(単一のサイトでの結果。理由として、鋭い先端の近くでは電場が数 mm 離れると急に弱まり、上向きのストリーマが育ちにくい、という説明)。このページの①は「先端の電場」だけを示し、受雷しやすさを予測するものではありません。標準規格は、先端形状ではなく、回転球体法(準備中)などで受雷部の配置を決めます。
- 省略: 雷雲の電荷の分布・空間電荷(コロナが出ると先端のまわりの電場が弱まる)・導体の有限の抵抗・風や雨・放電そのもの(電子雪崩・ストリーマ・リーダーの形成)は含みません。Eb = 3 MV/m は目安で、出典で 2〜3 MV/m 台のばらつきがあります(絶縁破壊のページ(準備中))。また、Eb は、先端の曲率半径によらず一定としています。実際は、先端が細いほど、コロナの始まる電界は高くなる傾向があります(Peek の式。出典・参考文献。この図では、その大きさは見積もっていません)。
出典と確認の状況: このページは、Claude(Anthropic の AI)の支援で作っています(Powered by Claude)。①の式(長楕円体の解析解)は〔自作の計算〕として 自作の検算プログラム(非公開) で検算しています。式そのものの出どころは〔Claudeの知識〕です(教科書の本文は読んでいません)。数値の出典は、下の表に種別つきで書きました(調査は AI(Claude)による出典調査 2026/10/04。私が個別に再取得はしていません)。間違いがあれば、教えてください。凡例と全出典は出典・参考文献。