サイエンスラボ α版(試作)ver1.1.0-alpha34 — 内容は未レビューです。間違いを見つけたら、お知らせください(はじめに・免責)。
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マクスウェルの方程式 v0.4・ポインティングの定理(7 章)を追加/照査済み(正確性・見やすさ。2026-10-12)・運営者の確認は未

電場と磁場のふるまいは、4 本の式(マクスウェルの方程式)にまとまっています。このページでは、1 本ずつ、図(動かない絵)と、途中を省かない式と、数値で確かめた例で読んでいきます。最後に、4 本を組み合わせると、光(電磁波)の速さが、電気と磁気の 2 つの定数から出てくることを確かめます。∇・div・rot・積分定理の言葉は、電磁気学の数式(ベクトル解析)のコーナーで説明しています。微分・偏微分・積分・線積分の記号が分からなくなったら、そのコーナーの 0 章(おさらい)へ。式のすぐ下の「ここでの記号」には、その式に出る記号の意味と単位が、毎回、書いてあります。各章のはじめの「ひとことで」は、章の中身を、やさしい言葉で言ったものです。

図は、すべて、このサイトのコード(maxwellfig.js)が、ページに書いた式から計算して描いたものです。図とページの例の数値は、自作の検算プログラム(非公開) で、数値積分・数値微分と解析的な答えの一致を確かめています。

0. はじめに: 4 本の式と、ここでの約束

微分形(各点で成り立つ形)

積分形(面や道の全体で成り立つ形)

式と名前ひとことで
① ガウスの法則(電場)電場は、電荷から湧き出し(+)、電荷に吸い込まれる(−)。
② ガウスの法則(磁場)磁場には、湧き出し口・吸い込み口がない(単独の磁極は見つかっていない)。
③ ファラデーの法則磁場が時間とともに変わるところには、それにともなって電場の渦がある。
④ アンペール・マクスウェルの法則電流と、電場の時間変化(変位電流)のまわりには、磁場の渦がある。

このページでの約束

  • 単位は SI(国際単位系)。E は電場[V/m]、B は磁束密度[T]、ρ は電荷密度[C/m³]、J は電流密度[A/m²]、ε₀ は真空の誘電率[F/m]、μ₀ は真空の透磁率[H/m = N/A²]。
  • 真空と、そこに置いた電荷・電流だけを扱います。物質(誘電体・磁性体)の中の分極・磁化を、D・H に分けて書く形は、ここでは扱いません(準備中)。導線の中の電子も、ここでは「電流 J」としてまとめて扱います。
  • 向きの約束は、数式コーナーと同じ: 座標は右手系、閉じた面の法線 n̂ は外向き、道 C とそれを縁とする面 S は右ねじで組にする(積分定理)。
  • 流束: 面 S を通り抜ける量 ∫F·n̂ dS(面の各点で、面に垂直な成分を足し合わせたもの)。閉じた面なら ∮ と書きます(数式コーナー 4 章)。電場の流束を ΦE、磁場の流束(磁束)を ΦB と書きます。
  • 「つくる」という言い方について(異論あり): 教科書では「変化する磁場が電場をつくる」と言うことが多いのですが、マクスウェルの方程式は、同じ時刻の場どうしの関係を表す式で、場の源は電荷と電流だ、とする見方もあります(Claude の知識。出典は未確認)。このページでは、なるべく「ともなう」「ある」と書きます。
  • 記号の意味: ∇· は div(4 章)、∇× は rot(5 章)、∇² はラプラシアン(6 章)。微分形と積分形は、ガウスの定理・ストークスの定理(8 章)で行き来できます。

1. ガウスの法則(電場): ∇·E = ρ/ε₀

ひとことで: 電場は、正の電荷から湧き出し、負の電荷に吸い込まれます。閉じた面から出る電場の量(流束)は、面の中の電荷の合計に比例します。

z = 0 の断面。半径 0.1 m の球面(紫)の中に +1 nC(赤)を、中心から (0.04, 0.02, 0) m ずらして置き、外の (0.115, −0.08, 0) m に −2 nC(青)を置いた。赤の矢印は、2 つの電荷がつくる電場の向き(長さ一定・濃さは |E| の対数に応じる(上限・下限あり))。球面から外へ出る電場の流束(数値積分)は、中の電荷だけで決まり、q/ε₀ に等しい。
電場 E の向き・+電荷−電荷閉じた面(球)外向きの法線 n̂

① 定義

1 行目の左が微分形(各点で、電場の湧き出し(div)は、その点の電荷密度 ÷ ε₀)、右が積分形(閉じた面 S から外へ出る電場の流束は、S の中の電荷の合計 Q中 ÷ ε₀)。2 つは、ガウスの定理 ∮E·n̂ dS = ∫∇·E dV で結ばれます(数式コーナー 8 章)。2〜4 行目は、点電荷のまわりの球面(中心に電荷)での確かめ: 球面の上では E が面に垂直で大きさが一定なので、流束 = E × 面積 4πR² = q/ε₀ で、R によりません。

② 意味

電場の「矢印の出入り」を、閉じた面で数えると、中の電荷の量だけが残ります。面の形・大きさ・電荷の位置(中にある限り)は関係ありません。外の電荷の電場は、面の一方から入って、反対側から同じだけ出るので、正味 0 です。

③ 具体例(途中を省かずに)

  1. 点電荷 q の電場の大きさは、q から距離 R のところで E = q/(4πε₀R²)(クーロンの法則)。向きは、q から遠ざかる向き(q > 0 のとき)。
  2. 中心に q がある球面では、E は、面のどこでも面に垂直(法線 n̂ と同じ向き)で、大きさが同じ(対称性)。なので E·n̂ = E で、面の上で足すとは、E × 面積の掛け算になる。
  3. 球の表面積は 4πR²。流束 = E × 4πR² = q/(4πε₀R²) × 4πR² = q/ε₀。分母と分子の R² と 4π が消えて、半径 R に関係しない。
  4. q = 10⁻⁹ C を入れる: q/ε₀ = 10⁻⁹ ÷ 8.854×10⁻¹² ≈ 112.9 V·m(次の段落の数値と同じ)。

q = 1 nC = 10⁻⁹ C のとき、q/ε₀ = 112.9 V·m。中心に置いたときの、半径 0.1 m での電場は 898.8 V/m、球の面積は 4π × 0.1² = 0.1257 m²。掛けると 112.9 V·m です。図のように中心からずらしても、球面を 200 × 400 に分けた数値積分で 112.9 V·m(相対差 10⁻⁵ 以下)。外の −2 nC だけの流束は −4.6×10⁻⁴ V·m(正しくは 0。これは数値積分の誤差で、2 nC/ε₀ ≈ 226 V·m の 10⁻⁵ 以下)。

④ よくある間違い・つながり
  • 「流束が 0 なら、面の上の電場が 0」ではありません。外の電荷の電場は、面の上で 0 ではありませんが、入る分と出る分が打ち消して、正味が 0 になります。
  • ガウスの法則だけで電場が求まるのは、対称性があるとき(球・無限に長い円柱・無限に広い平面)だけです。図のように電荷をずらすと、流束は同じでも、面の上の電場の大きさは場所ごとに違います。
  • 点電荷の電場 1/r² と、球の面積 r² が打ち消すことが、「流束が半径によらない」理由です(数式コーナーの 4 章の「広がって見えても div = 0」と同じこと)。
  • つながり: 電気力線と等電位線(電気力線は+の電荷から出て−の電荷に入る)・電位・電気力線・波のつながり・高度な動く回路図の電気力線の窓。

2. ガウスの法則(磁場): ∇·B = 0

ひとことで: 磁場は、湧き出しも吸い込みもありません。磁力線には、始まりも終わりもありません(N だけ・S だけの磁石は、見つかっていません)。

小さな棒磁石(磁気双極子 m = 1 A·m²、+z の向き)の磁力線(青。xz 面の断面)と、棒磁石(灰。上が N、下が S)を囲む球面(紫。中心を (0.02, 0, 0.03) m にずらした半径 0.1 m)。面の上の矢印は、B が外へ出るところ(琥珀)と、中へ入るところ(水色)。出る量と入る量は、ちょうど等しい。
磁力線(B の向き)閉じた面面から出る B面に入る B棒磁石(上が N)

① 定義

1 行目: どの点でも、磁場の湧き出しは 0。積分形では、どんな閉じた面を通る磁束も 0。2 行目は、図に使った磁気双極子(小さな電流のループや、小さな棒磁石を、遠くから見た形)の B です(m は磁気モーメント[A·m²]、r̂ は双極子から見た向き)。

② 意味

電場の①と比べると、右辺の「電荷」に当たるもの(磁荷・単独の N 極や S 極 = 磁気単極子)がありません。棒磁石を切っても、N 極だけ・S 極だけにはならず、それぞれが N と S をもつ磁石になります。磁力線は、どこかで始まったり終わったりしません(棒磁石や直線電流のような教科書の例では閉じた輪になりますが、一般には、閉じずに巻き続ける線や、無限の遠くへのびる線もありえます。出典の “Gauss's law for magnetism”)。

③ 具体例

図の球面で、B·n̂ を 200 × 400 に分けて数値積分すると、正味の磁束は 0.0000 T·m²(計算値 −2×10⁻¹⁰ 程度。数値積分の誤差)。比べる大きさとして、出入りの量の合計 ∮|B·n̂| dS は 1.40×10⁻⁵ T·m² で、正味はその 10⁻⁴ 以下です。磁石を球の中心からずらしても、0 のままです(自作の検算プログラム(非公開) では、直線電流のまわりの B でも確かめています)。

④ よくある間違い・つながり
  • 「磁力線は必ず閉じる」は、言いすぎです。言えるのは「始まりも終わりもない」ことまでです(上の ② と出典)。
  • ∇·B = 0 は、B = ∇×A(ベクトル・ポテンシャル)と書けることと結びついています(数式コーナー 7 章の ∇·(∇×A) = 0)。
  • 磁気単極子は、探索が続いていますが、確かな発見はありません(出典の “Gauss's law for magnetism”)。見つかれば、この式は書き換えが必要です。
  • つながり: 誘導(電磁誘導)(準備中)・高度な動く回路図の磁場の窓。

3. ファラデーの法則: ∇×E = −∂B/∂t

ひとことで: 磁場が時間とともに変わると、そのまわりに電場の渦ができます(電磁誘導)。そこに導線の輪があれば、流れる電流の向きは、磁束の変化をさまたげる向きです(レンツの法則)。

紙面の手前向き(+z)の一様な磁場 B(青の ⊙)が、0.5 T/s で増えている。紫の円(半径 a = 0.1 m)は道 C で、反時計まわり(右ねじで法線 n̂ = +z)にたどる。誘導される電場(赤。半径 0.04・0.065・0.09 m の円の上)は、時計まわりの渦で、中心から離れるほど強い(|E| ∝ ρ)。
B(⊙ 手前向き・増える)誘導電場 E(長さ ∝ |E|)道 C(たどる向き)

① 定義

左が微分形、右が積分形で、ストークスの定理 ∮E·dl = ∫(∇×E)·n̂ dS で結ばれます(数式コーナー 8 章。面 S が動かないとき、−∫∂B/∂t·n̂ dS = −dΦB/dt)。∮E·dl は、道 C をひと回りしたときの起電力[V]です。向きの約束: C をたどる向きに右手の指を巻いたとき、親指の向きが n̂ で、ΦB はその向きに貫く磁束です。

② 意味と、レンツの法則(− の符号)

磁束が増えると、−dΦB/dt は負なので、C を決めた向き(反時計まわり)とは逆向き(時計まわり)に電場が回ります。そこに導線の輪があれば、電流も時計まわりに流れ、その電流がつくる磁場は、輪の中で −z の向き、つまり増えようとする磁束を打ち消す向きです。これがレンツの法則で、式の「−」が、それを表しています。静電場(E = −∇V)は渦をもちません(∇×E = 0)が、磁場が変わるときの電場は渦をもち、ひと回りの仕事が 0 になりません。

③ 具体例(途中を省かずに)

  1. 対称性: B が z 軸のまわりに対称に変わるなら、誘導電場 E は、軸のまわりを回る向き(φ̂)で、軸から同じ距離 ρ の円の上では、大きさが同じ(Eφ)。
  2. 左辺 ∮E·dl: 円に沿って、E は道の向きと同じ(または逆)で、大きさが一定なので、Eφ × 円周 = Eφ · 2πρ。
  3. 右辺 −dΦB/dt: 半径 ρ の円を貫く磁束は、B × 面積 = B · πρ²。πρ² は時間で変わらないので、微分すると −πρ² dB/dt。
  4. 左辺 = 右辺: Eφ · 2πρ = −πρ² dB/dt。両辺を 2πρ で割ると、Eφ = −(ρ/2) dB/dt。
  5. 数値: ρ = a = 0.1 m、dB/dt = 0.5 T/s で Eφ = −(0.1/2) × 0.5 = −0.025 V/m。ひと回りの電圧は、−0.025 × 2π × 0.1 ≈ −0.01571 V(−dΦB/dt = −π × 0.1² × 0.5 と同じ)。負は、時計まわり。

B が、軸(z 軸)のまわりに対称な円柱の領域で一様に増えるとき(例: 長いソレノイド = 長いコイルの中)、電荷がなく、まわりも軸対称なら、対称性から、誘導電場は円の向き(φ̂ = 方位角の向きの単位ベクトル。数式コーナー 9 章)で、半径 ρ の円の上で大きさが一定です。1 行目はループの半径 a、2 行目は、B が一様な領域の中の任意の半径 ρ の円です。2 行目の左辺は ∮E·dl = Eφ × 円周 2πρ、右辺は −dΦB/dt(ΦB = πρ²B)で、これから Eφ = −(ρ/2) dB/dt が出ます。a = 0.1 m、dB/dt = 0.5 T/s(いまの B = 0.2 T)のとき、ΦB = π × 0.1² × 0.2 = 0.006283 Wb、dΦB/dt = 0.01571 Wb/s(時間の数値微分)。円をひと回りした ∮E·dl(数値の線積分)= −0.01571 V で、−dΦB/dt と一致します。円の上の電場は Eφ = −0.025 V/m(負 = 時計まわり)。微分形でも、この電場の rot の z 成分は −dB/dt = −0.5 T/s(自作の検算プログラム(非公開) の数値微分)。

④ よくある間違い・つながり
  • 符号は、道の向きと法線の組で決まります。道を逆向きにたどると、n̂ も逆になり、両辺の符号が同時に変わるので、物理(電場の回る向き)は変わりません。
  • 誘導電場は、導線がなくてもできます。導線の輪は、その電場で電子が動かされるのを見る「道具」です。
  • ここでの積分形は、面・道が動かない場合です。導線が磁場の中を動く場合(動く導体の起電力)は、ローレンツ力 v × B の分も入ります(このページでは扱いません)。
  • Eφ = −(ρ/2) dB/dt は、B が軸のまわりに対称な領域で一様に変わるときの式です。一様でない・対称でない場合は、積分形だけでは決まりません。
  • つながり: 誘導(電磁誘導)(準備中)・数式コーナー 5 章(rot)。

4. アンペール・マクスウェルの法則と変位電流

ひとことで: 磁場の渦は、電流がつくります。さらに、電場が時間とともに変わるところにも、磁場の渦があります(変位電流)。これが、マクスウェルの足した項です。

(a) 紙面の手前向き(⊙)に 10 A の電流が流れる長い直線の導線のまわりの磁場(青。長さ ∝ |B| = μ₀I/(2πr))。紫の円(r = 0.05 m)をひと回りした ∮B·dl(数値の線積分)は μ₀I。
(b) 充電中のコンデンサ(横から見た断面)。同じ縁 C をもつ 2 つの面: S₁(導線を横切る平らな面)は電流 I に貫かれ、S₂(極板の縁の外を回りこみ、極板のあいだを通る袋)は電流に貫かれない。代わりに、S₂ を、増えていく電場(赤)が貫く。
電流 I磁場 B電場 E(増える)道 C・面 S₁面 S₂(白の破線)

① 定義

1 行目が微分形、2 行目が積分形(ストークスの定理で結ばれる)。I貫く は、C を縁とする面 S を、n̂ の向きに貫く電流、ΦE は、S を貫く電場の流束。第 2 項の ε₀ ∂E/∂t(面で積分すると ε₀ dΦE/dt)を、変位電流(密度)と呼びます。3〜5 行目は、電場が変わらない場合(直線電流のまわり)の確かめで、軸のまわりの対称性から、B は円の向きで、半径 r の円の上で大きさが一定です。

② 意味: なぜ変位電流が要るか

図 (b) で、道 C は導線を囲む同じ輪です。面 S₁ を選べば、右辺は μ₀I。面 S₂ を選ぶと、極板のあいだには電流(電荷の流れ)がないので、変位電流の項がなければ右辺は 0 になり、同じ道 C の左辺が、面の選び方で違う値になるという矛盾が出ます。マクスウェルが足した ε₀ dΦE/dt が、ちょうどこの差を埋めます。下の具体例で、それが I に等しいことを確かめます。

1・2 行目は、ガウスの法則と電荷の保存にもとづく関係で、近似なのは、S₁ を通る電場を無視するところだけです(無視しなければ、S₁ の伝導電流と変位電流の和が、S₂ の変位電流に等しい、という厳密な関係です): +Q の極板を包む閉じた面(S₁ と S₂ を合わせた面)に、①のガウスの法則を使うと、その面を外へ出る電場の流束は Q/ε₀。導線の中と、S₁ を通る極板の外の電場を無視できるとき、この流束は S₂ を貫く ΦE なので Q = ε₀ΦE、時間で微分して I = dQ/dt = ε₀ dΦE/dt(この関係は、極板の端の電場のはみ出しがあっても成り立ちます)。

③ 具体例(途中を省かずに)

  1. 直線電流: 電流が流れる長い直線のまわりでは、対称性から、B は円の向き(導線を軸に回る向き)で、半径 r の円の上では大きさが同じ。電場は変わらないので、右辺の変位電流の項は 0。
  2. 左辺 ∮B·dl = B × 円周 2πr。右辺 = μ₀I(円が囲む電流)。B · 2πr = μ₀I から B = μ₀I/(2πr)。
  3. I = 10 A、r = 0.05 m、μ₀ ≈ 1.2566×10⁻⁶ N/A² を入れると、B = 1.2566×10⁻⁶ × 10 ÷ (2π × 0.05) ≈ 4.0×10⁻⁵ T。
  4. コンデンサ: 極板のあいだの電場を一様とすると、E = Q/(ε₀ · πR²)(面積 πR² の極板の電荷 Q から)。Q は I で増えるので、dE/dt = I/(ε₀πR²)。
  5. 円板(面積 πR²)を貫く電束 ΦE = E · πR²。ε₀ dΦE/dt = ε₀ · πR² · dE/dt = ε₀ · πR² · I/(ε₀πR²) = I。変位電流は、導線の電流 I と等しい(ε₀ も πR² も消える)。
  6. 数値: I = 0.1 A、R = 0.05 m で、dE/dt = 0.1 ÷ (8.854×10⁻¹² × π × 0.05²) ≈ 1.438×10¹² V/(m·s)。

直線電流: I = 10 A、r = 0.05 m で、B = μ₀I/(2πr) = 4.000×10⁻⁵ T。円をひと回りした線積分(4000 分割)は 1.2566×10⁻⁵ T·m で、μ₀I = 1.2566×10⁻⁵ T·m と一致。道を、導線を囲む(中心からずらした)正方形に変えても同じ、囲まない道では 0(自作の検算プログラム(非公開))。

コンデンサ(上の式の 3〜6 行目): 半径 R = 5 cm の円板の極板、間隔 1 mm、充電の電流 I = 0.1 A。極板のあいだの電場を一様(端のはみ出しなし)とすると、E = Q/(ε₀πR²) で、dE/dt = 1.438×10¹² V/(m·s)。極板のあいだの円板で ΦE を数値積分し、時間で数値微分して ε₀ を掛けると、ε₀ dΦE/dt = 0.1000 A で、導線の電流 0.1 A と一致します。極板のあいだの磁場は、軸から r < R では、半径 r の円を貫く変位電流が、電場が一様なので面積に比例して I·(r/R)² になり、B·2πr = μ₀I(r/R)² から B = μ₀I r/(2πR²)(r = 2 cm で 1.600×10⁻⁷ T)、r > R では、導線のまわりと同じ μ₀I/(2πr)(r = 8 cm で 2.500×10⁻⁷ T)です。

④ よくある間違い・つながり
  • 変位電流は、電荷の流れではありません。電場の時間変化の項で、④の式の中で、電流と同じ形で磁場の渦と結びつく、という意味で「電流」と呼びます。物質の中では、分極の時間変化の分(∂P/∂t)も加わります(このページでは扱いません)。
  • B = μ₀I/(2πr) は、無限に長い直線(と、それに近い状況)の式です。短い導線や曲がった導線では、積分形は成り立っても、B を単独では決められません。
  • 電荷の保存: ④の両辺の div をとると、左辺は 0(数式コーナー 7 章の ∇·(∇×A) = 0)。右辺に①を使うと、電荷の保存の式が出ます。変位電流の項がないと、∇·J = 0 になり、極板に電荷がたまる(∂ρ/∂t ≠ 0)状況と矛盾します(式は、この一覧の下)。
  • つながり: LC 回路(準備中)・アンテナ(電流と変位電流が、つながって輪になる)・高度な動く回路図の磁場の窓(導線のまわりの磁場の円)。

5. 電磁波へ: 波動方程式と光の速さ

ひとことで: ③ と ④ を組み合わせると、電場と磁場が、たがいに結びついた波になって進みます。その速さは、電気と磁気の 2 つの定数だけで決まり、光の速さと一致します。

+z の向きに進む平面波(波長 1 m)の、t = 0 の瞬間。赤 = 電場 E(x の向き)、青 = 磁場 B(y の向き。c 倍して E と同じ長さで描いた)。E と B は同じ位相で、互いに垂直、どちらも進む向きに垂直。E × B は、進む向き +z(緑)を向く(x̂ × ŷ = ẑ の右手系)。
電場 E磁場 B(× c)進む向き・S ∝ E × B

① 導出(途中を省かずに)

  1. ③ ∇×E = −∂B/∂t の両辺に、rot(∇×)をとる: ∇×(∇×E) = ∇×(−∂B/∂t)。
  2. 右辺: rot は空間での微分、∂/∂t は時間での微分で、順序を入れ替えてよい(場が滑らかなとき)。∇×(−∂B/∂t) = −∂(∇×B)/∂t。
  3. ④ ∇×B = μ₀J + μ₀ε₀ ∂E/∂t に、真空・電荷なし(J = 0)を入れると、∇×B = μ₀ε₀ ∂E/∂t。これを前の行に代入すると、∇×(∇×E) = −μ₀ε₀ ∂²E/∂t²。
  4. 左辺は、恒等式 ∇×(∇×E) = ∇(∇·E) − ∇²E(7 章)を使う。電荷がないので、① から ∇·E = 0。∇(0) = 0 なので、左辺 = −∇²E。
  5. 3 行目と 4 行目を等しいとおくと、−∇²E = −μ₀ε₀ ∂²E/∂t²、つまり ∇²E = μ₀ε₀ ∂²E/∂t²。これは、速さ 1/√(μ₀ε₀) の波が満たす波動方程式(∇²E = (1/c²) ∂²E/∂t²。c = 1/√(μ₀ε₀))の形。
  6. なぜ「速さ c」か: 平面波 Ex = E₀cos(kz − ωt) を入れる。z で 2 回微分すると −k²Ex、t で 2 回微分すると −ω²Ex。式に入れると k² = μ₀ε₀ω² = ω²/c²。波の山(kz − ωt が一定の点)は、z = (ω/k)t + 定数 と動くので、進む速さは ω/k = c。

上の 6 つの段を、1 つの文にまとめると(記号は、式の下の「ここでの記号」): (1) ③の両辺の rot をとります。右辺は、rot と時間の微分の順序を入れ替え(場が滑らかなとき)、④を代入(真空・電荷なしなので J = 0)。(2) 左辺に、恒等式 ∇×(∇×A) = ∇(∇·A) − ∇²A(数式コーナー 7 章。ここでは使うだけ。直交座標の成分で、∇² は成分ごと)を使い、①で ∇·E = 0(電荷なし)。(3) 2 つを等しいとおくと、E の各成分が、速さ c の波動方程式を満たします。(4) なぜ「速さ c」か: 平面波 Ex = E₀cos(kz − ωt) を入れると、z で 2 回微分して −k²、t で 2 回微分して −ω² が出るので、k² = ω²/c²。波の山(kz − ωt が一定の点)は、時間 t のあいだに ωt/k だけ進むので、進む速さ(位相速度。波の山が進む速さ)は ω/k = c です。B についても、同じ式になります(下の折りたたみ)。

B の波動方程式の導き方

④の両辺の rot をとり(J = 0)、右辺に③を入れ、左辺は恒等式と ②(∇·B = 0)で −∇²B にします。

② 光の速さ(数値)

NIST の定数のページ(CODATA 2022 の推奨値)の μ₀ = 1.25663706127×10⁻⁶ N/A²、ε₀ = 8.8541878188×10⁻¹² F/m を入れると、c = 299792458.0 m/s。光速の定義値 299 792 458 m/s との相対差は、約 6×10⁻¹³ で、表の値の丸めの大きさです。

注意(このサイトの定数の扱い): c は、1983 年から、定義された値(299 792 458 m/s。誤差なし)です。2019 年の SI 改定で、μ₀(それまでは 4π×10⁻⁷ N/A² と定義)と ε₀ が、測って決める値になりました。2 つは ε₀ = 1/(μ₀c²) で結ばれ、この関係は、定義により厳密に成り立ちます。μ₀ の値は微細構造定数 α から決まり(μ₀ = 2αh/(e²c)。h・e・c は定義された値なので、μ₀ の不確かさは α の不確かさそのものです)、CODATA の ε₀ も、この μ₀ から計算されています。そのため、上の計算は「光の速さを測った」ことにはならず、定数の組が式と食い違わないことの確かめです。このサイトの計算(model.js)は、μ₀ に CODATA 2018 の値 1.25663706212×10⁻⁶ を使い、ε₀ を 1/(μ₀c²) で決めているので、c = 1/√(μ₀ε₀) は、計算の丸めを除いてちょうど c です(299792458 m/s)。歴史的には、電気と磁気の実験で測った 2 つの定数から出した速さが、別に測られていた光の速さと合ったことが、光が電磁波であることの手がかりになりました(出典の “Maxwell's equations”)。

③ 平面波の具体例

波長 λ = 1 m なら、k = 2π/λ = 6.283 rad/m、ω = ck = 1.884×10⁹ rad/s(周波数 約 300 MHz)。E₀ = 1 V/m のとき、B の振幅は E₀/c = 3.336×10⁻⁹ T。3・4 行目は、③と④の成分を、この平面波に当てはめたもので(③の y 成分は ∂Ex/∂z − ∂Ez/∂x で、Ez = 0 なので ∂Ex/∂z だけが残る。④の x 成分は ∂Bz/∂y − ∂By/∂z で、Bz = 0 なので −∂By/∂z)、どちらも成り立つのは ω = ck のときだけです(自作の検算プログラム(非公開) で、数値微分により確かめています)。エネルギーの流れ(ポインティング・ベクトル)S = E×B/μ₀ は、進む向き +z を向き、その大きさは、山のところで E₀²/(μ₀c) = 0.002654 W/m²、時間の平均で E₀²/(2μ₀c) = 0.001327 W/m² です。

④ よくある間違い・つながり
  • E と B は、山の位置がそろっています(真空を進む平面波。反射でできる定在波では、E と B は 90° ずれます)。「電場が最大のとき磁場が 0」という、LC 回路の電圧と電流のような 90° のずれは、真空の平面波にはありません。
  • B が小さく見えるのは単位のせいです。B = E/c で、c が大きいので、T で書くと小さな数になります。エネルギーの密度は、電場の分 ε₀E²/2 と磁場の分 B²/(2μ₀) が等しくなります(E/B = c を入れると確かめられます)。
  • (2) の恒等式の ∇²E を「成分ごとの ∇²」と読めるのは、直交座標だけです(数式コーナー 6 章)。
  • つながり: 電位・電気力線・波のつながり・アンテナ(電磁波を出す・受ける)・高度な動く回路図の見方「電磁場の波形表示」。

6. 4 本の式のまとめ(微分形と積分形)

ひとことで: 4 本の式は、1 点のまわりの関係(微分形)と、閉じた面・閉じた道の全体の関係(積分形)の 2 通りに書けて、2 つは同じ内容です。2 つを結ぶのが、ガウスの定理とストークスの定理です。

式微分形積分形結ぶ定理このサイトで見られるところ
① ガウス(電場)∇·E = ρ/ε₀∮S E·n̂ dS = Q中/ε₀ガウスの定理(8 章)電気力線と等電位線・電位・電気力線・波のつながり・回路図の電気力線/等電位線の窓
② ガウス(磁場)∇·B = 0∮S B·n̂ dS = 0ガウスの定理回路図の磁場の窓(導線のまわりの円)
③ ファラデー∇×E = −∂B/∂t∮C E·dl = −dΦB/dtストークスの定理(8 章)誘導(電磁誘導)(準備中)・回路図の変圧器・発電機の図面
④ アンペール・マクスウェル∇×B = μ₀J + μ₀ε₀ ∂E/∂t∮C B·dl = μ₀I貫く + μ₀ε₀ dΦE/dtストークスの定理LC 回路(準備中)・アンテナ・高度な動く回路図

微分形と積分形が「同じ内容」だと言える理由(ガウスの法則①を例に、1 段ずつ)

  1. 積分形から始める: 任意の閉じた面 S(囲む体積を V)について、∮S E·n̂ dS = Q中/ε₀。
  2. 左辺にガウスの定理を使う(数式コーナー 8 章): 閉じた面から出る流束は、中の div の体積積分に等しい。∮S E·n̂ dS = ∫V ∇·E dV。
  3. 右辺の電荷を、密度で書く: Q中 = ∫V ρ dV。
  4. 1 つの式にまとめる: ∫V (∇·E − ρ/ε₀) dV = 0。これが、どんな体積 V でも成り立つ、というのが積分形の内容です。
  5. 「どんな V でも」から、中身が 0: もし、ある点で (∇·E − ρ/ε₀) が 0 でなく、∇·E と ρ が連続なら、その点のまわりの十分小さな体積 V の上で、この量の符号は変わらず、積分は 0 になりません。矛盾なので、その点でも ∇·E = ρ/ε₀ です。
  6. 逆向き(微分形 → 積分形): 微分形の両辺を、任意の V で体積積分し、左辺にガウスの定理を使えば、積分形が出ます。

ほかの 3 本も、同じ型です。② ∮S B·n̂ dS = 0: ガウスの定理で ∫V ∇·B dV = 0 となり、任意の V で成り立つので ∇·B = 0。③ ファラデー: ストークスの定理で ∮C E·dl = ∫S (∇×E)·n̂ dS。右辺の −dΦB/dt は、道 C と面 S が時間で動かないとすると、d/dt を積分の中に入れて −∫S (∂B/∂t)·n̂ dS。移して ∫S (∇×E + ∂B/∂t)·n̂ dS = 0 が、任意の面で成り立ちます。面の向き n̂ を x̂・ŷ・ẑ の向きにとれば、成分ごとに被積分関数が 0 になるので ∇×E = −∂B/∂t(道 C の向きと n̂ の向きは、右ねじの約束。数式コーナー 8 章)。④ アンペール・マクスウェル: 同じく、貫く電流 I = ∫S J·n̂ dS と、dΦE/dt = ∫S (∂E/∂t)·n̂ dS を使います。

③・④の積分形は、道が動かない場合の形です。③は、道が動くとき(動く導体の起電力)は、道といっしょに動く人が感じる (E + v×B) を道に沿って足す形(∮(E + v×B)·dl = −dΦB/dt)になります(標準的な結果。Claude の知識で、このサイトでは未検算。「動く導体」は準備中)。

4 本を合わせると、(a) 電荷の保存(4 章の折りたたみ ④)と、(b) 真空を速さ c で伝わる電磁波(5 章)、(c) 電磁場のエネルギーの保存(ポインティングの定理。7 章)が、式から出てきます。このほかに、電荷が場から受ける力(ローレンツ力 F = q(E + v × B))を合わせると、古典的な電磁気学の基本がそろいます(ローレンツ力の解説は、このページでは扱いません)。

前提: 電磁気学の数式(ベクトル解析)(∇・div・rot・積分定理・恒等式)。次: 物質の中のマクスウェルの方程式(準備中)。

7. エネルギーの保存: ポインティングの定理

ひとことで: 電場と磁場にはエネルギーがあり、流れます。4 本の式から、「ある領域の中の場のエネルギーの減り = 表面から外へ出ていく流れ + 電荷に渡した仕事(熱など)」が導けます。電流が流れる導線で熱になるエネルギーは、導線のまわりの空間から、側面を通って入ってくる、と読めます。

図 7: 電流が流れる導線(側面図。電流は右向き)。導線の中の電場 E(赤)は電流と同じ向き、導線のまわりの磁場 B(青)は、上では手前向き(⊙)・下では奥向き(⊗)。S = E × B/μ₀(緑)は、上からも下からも、導線の中へ向かう(右手の規則: x̂ × ẑ = −ŷ、x̂ × (−ẑ) = +ŷ)。矢印の長さと導線の太さは、見やすくした模式。
電場 E磁場 B(⊙ = 手前向き・⊗ = 奥向き)エネルギーの流れ S = E × B/μ₀

① 導出(途中を省かずに)

  1. E × B/μ₀(あとで S と名づける量)の div をとる(1〜2 行目)。この量から始めるのは、結果として、∂u/∂t と J·E が現れて、保存則の形になるからです。数式コーナー 7 章の恒等式 ∇·(E×H) = H·(∇×E) − E·(∇×H) に、H = B/μ₀ を入れる(μ₀ は定数なので、微分の外に出せる)。
  2. ファラデーの法則とアンペール・マクスウェルの法則を代入する(3 行目)。∇×E に −∂B/∂t(③)、∇×B に μ₀J + μ₀ε₀ ∂E/∂t(④)を入れる。
  3. かっこをほどいて、μ₀ を約分する(4 行目)。E の項は、−(1/μ₀)E·(μ₀J) = −J·E、−(1/μ₀)E·(μ₀ε₀ ∂E/∂t) = −ε₀E·∂E/∂t。B の項は 1/μ₀ のまま。
  4. 内積と時間微分を、1 つの微分にまとめる(5 行目)。積の微分で ∂(B·B)/∂t = 2B·∂B/∂t なので、B·∂B/∂t = ∂(B²/2)/∂t(B² = B·B)。E も同じ。よって −(1/μ₀)B·∂B/∂t − ε₀E·∂E/∂t = −∂/∂t [B²/(2μ₀) + ε₀E²/2]。
  5. 名前をつける(6 行目)。S = E×B/μ₀(ポインティングベクトル)、u = ε₀E²/2 + B²/(2μ₀)(電磁場のエネルギー密度)。
  6. 移項する(7 行目)。∇·S + ∂u/∂t = −J·E。これが、ポインティングの定理(微分形)です。
  7. 単位の確かめ(自作の計算)。S: (V/m)·T ÷ (T·m/A) = V·A/m² = W/m²。u: ε₀E² = (F/m)(V/m)² = J/m³。J·E: (A/m²)(V/m) = W/m³。∇·S: (W/m²)/m = W/m³、∂u/∂t: (J/m³)/s = W/m³。すべての項が W/m³ でそろう。

② 意味

  • u: 場が、単位体積にたくわえているエネルギー。電場の分 ε₀E²/2 と、磁場の分 B²/(2μ₀)。真空の平面波では、2 つが等しい(5 章④)。
  • S: エネルギーの流れ。向きが流れる向き、大きさが「単位面積を単位時間に通るエネルギー」。向きは、E から B へ右ねじを回したときに進む向き。
  • J·E: 電場が、電荷に対して、単位時間・単位体積あたりにする仕事。+のとき、場から電荷へエネルギーが渡る(抵抗のある導線では、J = σE なので σE²。ジュール熱)。−のとき、電荷から場へ(電池・発電機など)。
  • 式の意味: ある点で、場のエネルギーが減る(∂u/∂t < 0)なら、その分は、そこから流れ出る(∇·S > 0)か、電荷に渡される(J·E > 0)。

積分形。領域 V(時間で動かない)の全体にわたって、微分形を体積積分し、∇·S の積分にガウスの定理(数式コーナー 8 章)を使います。

読み方: V の中の場のエネルギーの減る速さ = V の表面から外へ出る S の合計 + V の中の電荷に渡す仕事の合計。

③ 具体例(数値)

(a) 真空の平面波(J = 0。5 章と同じ波: λ = 1 m、E₀ = 1 V/m)。z = 0.1 m、t = 0 の点(位相 kz = 0.6283 rad)で、S の z 成分は 1.737×10⁻³ W/m²、u は 5.795×10⁻¹² J/m³。ここで、数値微分すると、∇·S = ∂Sz/∂z = −0.01586 W/m³、∂u/∂t = 0.01586 W/m³。足すと 0(J = 0 なので)。

確かめ(解析): Sz = E₀²cos²θ/(μ₀c)、u = ε₀E₀²cos²θ(θ = kz − ωt)。cos²θ の微分は、z では −k sin2θ、t では +ω sin2θ なので、∇·S = −(E₀²k/(μ₀c)) sin2θ、∂u/∂t = ε₀E₀²ω sin2θ。ω = ck と、μ₀ε₀c² = 1(5 章)の両辺を μ₀c で割った ε₀c = 1/(μ₀c) から、ε₀ω = ε₀ck = k/(μ₀c) なので、2 つは打ち消し合います。エネルギーは、ある場所で増えたり減ったりしながら、波といっしょに進みます(増減の分が、S で運ばれる)。

(b) 電流が流れる導線(直流・定常。I = 10 A、半径 a = 1 mm、導電率 σ = 5.8×10⁷ S/m。σ は、銅の値としてよく使われる数字で、ここでは例の設定)。

  1. 電流密度 J = I/(πa²) = 3.183×10⁶ A/m²。導線の中の電場は、導線に沿って一様で、Ez = J/σ = 0.05488 V/m。
  2. 導線の表面の磁場は、4 章の直線電流の式から、B = μ₀I/(2πa) = 2.000×10⁻³ T(導線のまわりを回る向き)。
  3. S = E×B/μ₀ の大きさは、導線の表面で EzB/μ₀ = 87.35 W/m²。向きは、ẑ × φ̂ = −ρ̂(円柱座標の単位ベクトル。数式コーナー 9 章)なので、導線の中心へ向かう(図 7)。
  4. 導線 1 m の側面を、内へ通る S の合計: このサイトの計算で、E と B から S を作って、側面で数値積分すると 0.5488 W/m。
  5. 導線 1 m の中で熱になる分(J·E の合計): σEz² × πa² = I²/(σπa²) = 0.5488 W/m(断面での数値積分)。I²R′(R′ = 1/(σπa²) は、1 m あたりの抵抗)と同じ。2 つが一致します(定常なので ∂u/∂t = 0。積分形で、外向きの S の合計 = −J·E の合計)。
  6. 微分形でも確かめると、導線の中(中心から 0.5 mm)で、∇·S = −1.747×10⁵ W/m³ で、J·E = σEz² = 1.747×10⁵ W/m³。∇·S = −J·E と一致します。
④ よくある間違い・つながり
  • 「エネルギーは、導線の中を、電子といっしょに流れる」と考えると、図 7 の向きは説明できません。S で見ると、熱になるエネルギーは、導線の外の空間から、側面を通って入ります。電源から負荷へのエネルギーも、導線のまわりの場の流れ S として読めます(電流の正体の「抵抗で電圧が下がる理由」の図)。
  • S の「局所の流れ」としての読み方は、保存則だけからは決まりません(異論あり)。∇·S が同じになる別の形(S に、ある場の rot を足したもの)でも、定理は成り立つからです。確かなのは、「閉じた面の全体」についての収支。通常の形 E×B/μ₀ が、局所の流れとしても標準的に使われます(ほかの形を排除する理由を挙げる文献もあり、それを含めて、出典欄を見てください)。
  • J·E の符号: + = 場が電荷に仕事をする(熱など)。電池・発電機の中では −(電荷が場にエネルギーを渡す)。
  • 物質の中(誘電体・磁性体)では、u の式(ε₀E²/2 + B²/(2μ₀))や S = E × B/μ₀ は変わります(D・H を使う形。準備中)。
  • つながり: 高度な動く回路図の窓の要素「エネルギーの流れ(ポインティング S = E×H)」(導線のまわりを流れるエネルギー)。

出典と確認の状況・省略したこと

このページは、Claude(Anthropic の AI)の支援で作っています(Powered by Claude)。マクスウェルの方程式は、物理学の標準的な結果です。説明の文章・例・図は、このページのために自作したもので、ほかの本・資料の文章・図・例題を写していません。種別: 確認= その資料の該当部分を読んで、式・主張を照合した/書誌のみ= 存在は確かめたが、本文は読んでいない/自作の計算= このサイトのコードで計算・検算した/Claude の知識= 式の出どころ。

  • Claude の知識自作の計算 各章の具体例(点電荷の球面の流束・双極子の磁束・誘導電場 Eφ = −(ρ/2)dB/dt・直線電流の B・コンデンサの変位電流・極板のあいだの B・平面波の数値)。すべて 自作の検算プログラム(非公開) で、数値積分・数値微分と解析解の一致を確かめています。
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Maxwell's equations”(真空・SI の微分形と積分形の 4 本、真空での波動方程式の導き方と c = (μ₀ε₀)−1/2、測った ε₀・μ₀ から出した速さが光の速さと合ったこと)。https://en.wikipedia.org/wiki/Maxwell%27s_equations(2026-10-11 閲覧。本文の前半を読んだ)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Gauss's law”(∮E·dA = Q/ε₀、∇·E = ρ/ε₀、点電荷のまわりの球面での導き方)。https://en.wikipedia.org/wiki/Gauss%27s_law(同)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Gauss's law for magnetism”(∇·B = 0・閉じた面の磁束 = 0・磁気単極子がないことと同じ、磁力線は始まりも終わりもない(閉じる・巻き続ける・無限へのびる)、単極子の探索は確かな例がない)。https://en.wikipedia.org/wiki/Gauss%27s_law_for_magnetism(同)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Faraday's law of induction”(∇×E = −∂B/∂t と積分形、面の向きと道の向きは右手の規則、− の符号とレンツの法則)。https://en.wikipedia.org/wiki/Faraday%27s_law_of_induction(同。本文の前半を読んだ)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Ampère's circuital law”(アンペール・マクスウェルの法則、コンデンサの回路で変位電流が要ること、∇·(∇×B) = 0 と電荷の保存 ∇·J = −∂ρ/∂t)。https://en.wikipedia.org/wiki/Amp%C3%A8re%27s_circuital_law(同)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Displacement current”(JD = ε₀∂E/∂t + ∂P/∂t、コンデンサの極板のあいだの変位電流が導線の電流に等しいこと)。https://en.wikipedia.org/wiki/Displacement_current(同)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Electromagnetic wave equation”(真空での導き方: rot をとる・∇×(∇×V) = ∇(∇·V) − ∇²V・div の項が消える・c₀ = 1/√(μ₀ε₀)、平面波で E と B が垂直で進む向きの成分がないこと)。https://en.wikipedia.org/wiki/Electromagnetic_wave_equation(同)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Poynting vector”(S = (1/μ₀)E×B、平面波で S が進む向きを向くこと、|H| = |E|/η、時間平均 E²/(2η)、η₀ ≈ 377 Ω)。7 章では、∂u/∂t = −∇·S − J·E の式、u = (ε₀E² + B²/μ₀)/2、抵抗のある導体では S が導体へ向かいジュール熱になること、通常の S に ∇×(任意の場) を足しても定理は成り立つが、同ページは「通常の形は一意だ」と述べていること(その根拠は、同ページが挙げる文献による。未確認)、を確認。I²R の式は、同ページにない。https://en.wikipedia.org/wiki/Poynting_vector(5 章までの分は 2026-10-11 閲覧。7 章の分(u の式・抵抗のある導体・一意性の記述・I²R がないこと)は 2026-10-12 閲覧)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Poynting's theorem”(微分形 −∂u/∂t = ∇·S + J·E、積分形 −(d/dt)∫u dV = ∮S·dA + ∫J·E dV(領域の形は任意だが固定)、J·E は場が電荷にする仕事の密度、導き方: 恒等式 ∇·(E×H) = (∇×E)·H − E·(∇×H) → ファラデー → アンペール・マクスウェル)。https://en.wikipedia.org/wiki/Poynting%27s_theorem(2026-10-12 閲覧)
  • 確認 ファインマン物理学 第 II 巻 27–4(場のエネルギーの位置の不定性)・27–5(抵抗線へのエネルギーの流入)、E. Y. Tsymbal(ネブラスカ大学)講義ノート(−∮S·n da = I²R): 電流の正体のページの出典欄で、該当節を読んだ(確認)としている資料です。7 章の「導線の例」「S の局所の読み方は異論あり」は、これらと結果(側面の内向きの流れの合計 = I²R、エネルギーの流れの位置の不定性)が合うことを、自作の計算で確かめたもので、この回に改めて読み直してはいません(式・文は写していません)。
  • 自作の計算 7 章の導出(単位の確かめを含む)・平面波での ∇·S + ∂u/∂t = 0・導線の例(σ = 5.8×10⁷ S/m は、銅の値としてよく使われる数字で、Claude の知識未確認。例の設定)。導線の側面を内向きに通る S の合計 = J·E の合計 = I²/(σπa²) は、このサイトのコードでの数値積分。自作の検算プログラム(非公開) で確かめています。
  • 確認 NIST “CODATA Value: vacuum magnetic permeability”(μ₀ = 1.25663706127(20)×10⁻⁶ N A⁻²、CODATA 2022)・“vacuum electric permittivity”(ε₀ = 8.8541878188(14)×10⁻¹² F m⁻¹、CODATA 2022)。https://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mu0 ・ https://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?ep0(同)
  • 確認 NIST “CODATA Internationally recommended 2018 values”(アーカイブの一覧。μ₀ = 1.256 637 062 12(19)×10⁻⁶ N A⁻²・ε₀ = 8.854 187 8128(13)×10⁻¹² F m⁻¹・c = 299 792 458 m/s(exact)。このサイトの model.js が使う値)。https://physics.nist.gov/cuu/Constants/ArchiveASCII/allascii_2018.txt(2026-10-11 閲覧)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“2019 revision of the SI”(c が定義値になったのは 1983 年の第 17 回 CGPM のメートルの再定義、2019 年の改定で μ₀ は 4π×10⁻⁷ の定義値から測定値になり、ε₀ も同じ)。https://en.wikipedia.org/wiki/2019_revision_of_the_SI(同。本文の前半を読んだ)
  • 確認 Wikipedia(英語版)“Vacuum permeability”(μ₀ = 2αh/(e²c)、2019 年から測定値、c² = 1/(μ₀ε₀))。https://en.wikipedia.org/wiki/Vacuum_permeability(同)
  • 書誌のみ R. P. Feynman ほか『The Feynman Lectures on Physics』Vol. II(マクスウェルの方程式の章)、D. J. Griffiths『Introduction to Electrodynamics』7 章。本文は、このページのためには確認していません。

省略したこと(大きさつき)

  • 物質の中(誘電体・磁性体・導体の中の D・H・分極・磁化)は扱っていません(準備中)。導線の中の電子は「電流 J」として扱い、電子 1 個ずつの場は考えません。
  • 図は断面か、斜めから見た模式です。図 1 は z = 0、図 2 は y = 0(xz 面)の断面で、球面の流束の数値は 3 次元の球面全体で計算しています。図 3 の B は、軸に対称な円柱の領域で一様と仮定しています。
  • コンデンサ: dE/dt と極板のあいだの B の数値は、電場が極板のあいだで一様で、端のはみ出しがない理想化(間隔 1 mm が半径 5 cm よりずっと小さいとき)です。I = ε₀ dΦE/dt そのもの(+Q の極板を包む面での関係)は、はみ出しがあっても成り立ちます。導線の中の電場(抵抗による)と、極板の外の電場は無視しています。
  • ポインティングの定理(7 章): 真空(分極・磁化を分けない形)で、領域は時間で動かない場合。導線の例は、導線の中の E を一様(直流・表面と同じ値)、外の B を直線電流の式とした模型で、導線の外の電場の、導線に垂直な成分(表面の電荷がつくる)は入れていません(その成分は、S の導線に沿った成分には効くが、側面を通る分には効かない)。数値の検算: 側面は 720 分割、J·E は断面を 60 × 60 に分けた中点則、微分は中心差分。
  • ファラデーの法則: 面・道が動かない場合だけ。動く導体の起電力(v × B)は扱っていません。
  • 数値の検算: 球面は 200 × 400 分割の中点則(流束の相対誤差 10⁻⁵ 程度)、円の線積分は 4000 分割、時間・空間の微分は中心差分。ページの数値は、表示のけた数で丸めています。
  • 間違いがあれば、教えてください。